昨年から投資のキーワードとして注目されているSDGs経営とESG投資。これから投資をするならこの2つのキーワードはぜひ抑えておきたいトレンドです。しかし、言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどんなことのなかわからないという方も多いのではないでしょうか?SDGs経営とESG投資について、そのメリットなども含めて改めて解説します。
1.SDGs経営、ESG投資とは?
そもそも「SDGs(持続可能な開発目標)」とは、2016年から2030年までの国際目標のこと。貧困や差別などを解決するための17のゴールと169のターゲットかが決められていて、これからも長く続いていく世界を実現するために、発展途上国だけでなく先進国も積極的に取り組んでいこうと定められたものです。ただ目標として持つだけではなく、観測も含めて取り組むのが特徴的で、日本でも政府も企業も積極的に活動を推進しています。SDGs経営とは、こうした持続可能な開発目標を企業等の経営戦略へ盛り込むことを言います。
一方で、ESG投資とは、投資に当たって検討するような財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素も考慮して行う投資のことです。日本国内でもSDGsというワードをよく耳にするようになりましたが、投資の世界でも例外ではありません。その投資額は日本国内だけでも年々増えていて、2018年時点で232兆円の規模になっているのです。
2.ESG投資のメリットとは?
とはいえ、投資上のメリットがなければ投資対象としては魅力的に映らないですよね。ESG投資のメリットとしてまず、長期的に安定したリターンが期待できるということが挙げられます。環境意識や人権意識がますます高まる中で、投資家や消費者の意識も変化が起こっています。ESGへの取り組みを行う企業は、こうした社会の意識変化によって企業価値を損なうリスクが少ないといえます。
近年では、ダイベストメントと呼ばれる、非倫理的または道徳的に不確かだと思われる株、債券、投資信託を手放す動きもあり、ESGに対する意識があるかないかで、企業のリスクも大きく変わるのです。この先も、SDGsなどの動きは加速していけば、EGSに取り組む企業は価値がますます高くなることも考えられます。
また、単純に投資を通じて環境や社会へ貢献できるというメリットもあります。投資や預金など含め、お金に対して自分ごとだけで考えるのではなく、そのお金がどう動いて何に使われているのかまで意識して投資をすると、単なる投資とは違った満足感も得られそうです。
3.ESG投資は具体的にどこでできるのか?
ESG投資をするには、株式や債券、投資信託など様々な商品から選択できます。株式投資をする場合には、投資にあたって十分なESGに関する情報を自分で得る必要があります。情報は、ESG指数やESGスコアといった評価を参考にしていきましょう。代表的な指数にはいくつかあり、「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス(DJSI World)」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「SNAMサステナビリティ・インデックス」などがあります。また、統合報告書を見てみるのも一つの方法です。統合報告書とは、企業の財務情報はもちろん、EGSへの取り組みなど財務情報以外の情報も含めてまとめられている資料のこと。こうした情報を参照して信頼できる企業の株式を購入することができます。
また、投資信託の場合には、ESG投資を対象とした商品が提供されています。「CAM ESG日本株ファンド(キャピタル アセットマネジメント)」、「損保ジャパン・グリーン・オープン(損保ジャパン)」、「三井住友・日本株式ESGファンド(三井住友DSアセットマネジメント)」、「朝日ライフSRI社会貢献ファンド(朝日ライフ)」などがその例です。この他にも複数あるので、比較のうえ検討してみましょう。「女性活躍応援」「水資源」「次世代医療」「バイオテクノロジー」などテーマ型のものが多いので、自分の関心のある分野で貢献している企業を選ぶのも良いですね。
ESG投資をこれから始めたいという方は、比較的知識がいらない投資信託・ETFを選ぶと簡単です。
4.まとめ
ESG投資で高いリターンを得られるかどうか、については意見が分かれるところですが、長期的に考えれば、メリットも多くあります。ただ、ESG投資額は年々増加していて、トピックとして上がることもしばしば。この先重要性が高まると考えられるでしょう。長期的に安定して投資をしたい方は、検討してみても良いのではないでしょうか。
回遊舎(かいゆうしゃ)
回遊舎(かいゆうしゃ)
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。