モンスター上司やモンスタークレーマー、モンスターペアレンツ......公の場で理不尽な要求を押し通そうとする人が増え続けています。強圧的な態度や物言いで他者を圧迫し、要求を通そうとする人から自分を守るにはどうすればよいのでしょうか。(Misa)
モンスターたちの特徴
いまや、モンスター○○といわれる人はどこにでも存在し、どのような仕事をしていても出会ってしまう可能性があります。そうした人たちにはいくつかの特徴があります。自分の要求を通すことが目的である場合が多いのですが、なかには金銭やサービスなどの利害ではなく、自分の優位を示すことにすり替わっているケースもあります。
・自分の尺度で解釈した正論を展開する。
・自分にとって都合の悪い事実は出さない。
・顧客、上司などといった、自分の立場を特権的に認識している。
・交渉を勝ち負けと考えている。
・立場の弱い相手を攻撃することで自分の優位性を確認している。
モンスターたちが展開する論理には整合性がない場合も多いのですが、顧客や上司など優位性のある立場を確保しているので、ある程度までは対応せざるをえません。もちろん、相手が顧客や上司だからといってすべてを受け入れる必要はありませんが、仕事に支障をきたさないよう、折り合いをつけていけるのがベストです。
1、仕事や常識の枠組みのなかで対応すべき範囲、手順をはっきり決める。
個人の判断ではなく、職場のルールや関係者内の取り決めを共有する。
2、1で決めた範囲を適切かつ誠実に実行する。
3、言葉遣いや態度は穏やかに、しかし毅然としているよう心がける。
相手の話を聴く姿勢が大前提ですが、低姿勢になりすぎないことが重要。
4、経緯を第三者に共有できるよう、記録(音声・動画・メールなど)しておく。
録音、録画は記録していることを事前に相手に説明する。
4、経緯を第三者に共有できるよう、記録(音声・動画・メールなど)しておく。
録音、録画は記録していることを事前に相手に説明する。
5、第三者を介入させる手段があることを認識させる。
相手の目に入る場所に警察や弁護士、公的機関などの連絡先を掲示しておく。
6、モンスターの攻撃を個人の感情で受けとめない。
罵詈雑言を浴びせられることがあっても、仕事と自分自身を切り離して考える。
「お客さまは神様」の弊害
理不尽な要求や相手の尊厳を傷つけるような発言、脅迫的な物言いなどは、どのような立場だったとしても、パワーハラスメントや威力業務妨害などの犯罪行為に該当します。
モンスタークレーマーは「お客さまは神様」という言葉が大好きですが、お客さまはあくまでもお客さまであり、それ以上でも以下でもありません。実際、欧米では悪質なクレーマーを「あなたは客ではない」と追い返してしまうこともめずらしくはないそうです。旅客機で暴言を吐いたり、暴力をふるったりした乗客が機長の権限で強制的に降ろされるケースもあります。
サービス業や部下だからといって何もかも受け入れる必要はありませんが、仕事として果たすべき役割や責任は存在します。自分が受けた仕事上の注意や指導をパワハラと考えるのは、自分自身にとってチャンスロスとなることもあります。
仕事として受け入れるべき範囲を見きわめるために、しっかりした職業観や責任感、対人的な距離感なども養っていく必要があるでしょう。
プロフィール
原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。