自己PRや自己分析をする際に「集中力」を自分の長所として挙げる方、実はけっこう多いのです。集中力が仕事の精度や効率を高めるために有効であると認知されていることの表れでもありますが、それでは、集中力とはどのようなものなのでしょうか。(Misa)
[仕事の効率をあげる集中力とは]
集中力とは、ひとつの事柄に気持ちや注意を集中して物事に取り組む能力です。長時間にわたって、ある場所で、ひとつの作業を突き詰めて続けられる能力をさして「集中力が高い」と評価されることが多いです。
また、ひとつの作業に集中するということは、一時的に他の物事への注意や関心を捨て去ることでもあります。そのため、極度に集中した状態では時間感覚や周囲の状況に気づきづらくなることもあります。これは自然界で生物が生きていくには非常に危険な状態です。人類が狩猟採集生活を送っていた時代はあちこちに注意を払い周囲の状況を把握できないと、天敵や災害から身を守ることが難しくなります。すなわち、現代まで生き延びている私たちの祖先は安全を確保しつつ、注意力を適度に分散したり集中したり調整することによってリスクを避けて生き延びてきたと考えられます。
そうしたことから、人間の集中力は環境に影響されやすく、なかなか持続しないのも自然であるといえます。
[「集中力がない」はトレーニングや工夫で改善できる]
集中力そのものは、訓練や習慣によって高めることができるといわれています。前述のとおり、人間の「本能」は外からの刺激、欲求に反応するという特徴があります。そうした本能からくる雑念を抑え、目の前の仕事に集中するのが「理性」の働きです。集中力アップのカギは、理性の力で本能の欲求を抑えて脳を効率的に働かせることです。また、集中力を持続するためには留意すべきことがあります。
①モチベーションを形成する。
理性を優位にするには、具体的な目標設定が有効です。集中することのメリットを意識することから始めましょう。
②集中したいことをひとつだけに。
複数の物事に集中することはできません。取り組みたい作業以外の情報を遮断するとよいでしょう。個室にこもったり、ヘッドフォンで音楽を聴いたりなど、聴覚をマスクするのは効果的です。
③集中を阻害する条件を取り除く。
視覚や聴覚の情報によって注意力が喚起、維持されます。雑然とした環境では余計なものが目に入ったり、作業が中断されたりと集中の妨げになりやすいです。デスク周りの整理整頓をしておくと、自然に集中を阻害する条件が取り除かれます。
④適度に休憩をとる。
集中力と持続時間の長さは反比例し、長く続けるほど集中力は低下します。たとえば、休憩なしで60分続けるよりも、15分の休憩を含めて45分仕事をするほうが高い集中力を維持できるといわれています。適度に休憩をとることはマストです。
[より効率よく集中するために]
以上が基本原則となりますが、個人差もありますから、ご自身にとって効率のよい集中の仕方を探してみましょう。やはり、人間は本質的には集中することが得意ではありません。過度な集中は心身ともに負担がかかります。長時間にわたる集中を持続する場合には、糖質補給や20分程度の仮眠を入れると効果的です。
また、ストレスや病気が原因で集中力が低下することもあります。心身の健康や適度な睡眠・休息が効率の良い集中につながり、仕事の成果にも反映されます。ムリ、ムダ、ムラのあるスケジュールにならないよう、仕事のマネジメントも重要です。
プロフィール
原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。