世界最悪クラスの"食品ロス大国"日本、対策に新しいアイデア続々

トレンド・ニュース

日本は世界でも最悪クラスの食品ロス大国。食品衛生的な観点から、日本では食べ残しを持ち帰ることを禁止している店も多く、食べ残しや売れ残りのほとんどが廃棄処分にされてしまっています。こうした状況を背景に広がっているのが食品ロス対策です。今回は次々に生まれている新しいアイデアをご紹介します。

【関連記事】「「洋服ロス (衣服ロス)」とは? 実は食品ロスより深刻!」

1.食品ロスとは?

そもそも食品ロスとは、本来食べられるはずの食べ物を捨ててしまうこと、あるいは捨てられてしまった食べ物そのものを指します。食品ロスは世界的な問題となっていますが、もちろん日本もその例外ではありません。

平成28年の環境省の推計によれば、年間2,759万トンの食品に由来する廃棄物のうち、まだ食べられるにも関わらず廃棄されている食品、すなわち食品ロスに当たるものは643万トンにものぼります(参照: 環境省「食品廃棄物等の利用状況等(平成28年度推計)」)。

大量の食品ロスが発生することは、多くの問題を引き起こしています。経済の観点では、食品ロスを含めて多くのごみを廃棄するためには、ごみ処理に多額のコストがかかります。また可燃ごみとして燃やすことは、CO2排出や焼却後の灰の埋め立てなどによる環境負荷の原因となります。あるいは人や社会への観点では、多くの食品ロスを発生させている一方で、7人に1人の子どもが貧困で食事に困っている状況があります。

2.SDGsに向けて、食品ロス対策は欠かせない問題!

2015年に国連サミットでは、「SDGs(持続可能な開発目標)」として17のターゲットを掲げています。その中には、「2030年までに世界の一人当たりの食料廃棄を半減させる」という内容が組み込まれていて、この目標の達成に向けてさまざまな取り組みが始まっています。

このような動向を受け、日本でも2019年「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されました。この法律では、(1)国民がそれぞれの立場において主体的にこの問題に取り組み、社会全体として対応していくよう、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていくこと、(2)まだ食べることができる食品については、廃棄することなく、できるだけ食品として活用するようにしていくことが明記されています。

3.おしゃれに楽しく、食品ロスを減らす新たなサービスに注目!

食品ロス問題に対してはさまざまな取り組みがありますが、近年では、ユーザーが食品ロスを減らすという義務感からではなく、新たな食の選択肢として楽しみながら食品ロスを減らせるようなサービスが増えてきています。

(1)rebake

2018年に開始された、パンに特化したフードシェアリングサービス「rebake」。全国150店舗以上のパン屋で、まだ食べられるのに廃棄になりそうなパンを2~3割安く買えるというサービスです。普段はなかなか行くのが難しい人気店のパンを楽しみながら、食品ロスの削減にも取り組めるのが特徴。また通販だけでなく、パンのマルシェに出店するなどといった活動も展開しています。

(2)カンブライト

缶詰製造会社カンブライトが、2019年10月に東京・銀座に設置したのが「カンナチュール自販機」。食品ロスを活用した商品の自動販売機を東京の銀座に設置した。規格外のサツマイモや製造過程で割れた蒸しがきをペーストにした缶詰などが並んだ自動販売機です。東京五輪でのインバウンドを見込み、同様の自販機を全国に設置していくことを狙っています。

アプリを使って売れ残りをお得に買う

また、最近では食品ロス解決に向けたさまざまなアプリが登場している点も注目です。

(3)Reduce GO

Reduce GO 」は、食品ロスを削減したい小売店や飲食店と、安く食品を買いたいユーザーをつなぐプラットフォームです。2018年にスタートしたサービスですが、東京の都心を中心に現在の加盟店舗は215店となっています。

Reduce GOのアプリでは、登録加盟店で発生している余った食品のリストを見ることができます。リストは現在地から近い順に表示され、内容も更新されていきます。リストから気に入ったものを選択・注文をして、指定されている受け取り時間内に店舗に行って商品を受け取ります。月額1980円のサブスクリプションの仕組みなので、毎月初回注文時にクレジットカードで決済をすれば、各店舗での支払いは不要です。ただし注文は1日2回まで。

(4)TABETE

TABETE 」は、まだおいしく食べられるのに、閉店時間や賞味期限などの理由からお店が捨てざるを得ない状況廃ある食品を、ユーザーが安く購入することで「レスキュー」することができるプラットフォームです。現在、東京を中心に全国7都府県に展開していて、加盟店舗は506店、登録者数は約21万人となっています。

先ほどのReduce GOとは異なり、こちらは月額制ではなく、店舗ごとにそれぞれ割引率が決められています。価格は店側が自由に設定できますが、250円から680円までと下限と上限は決められています。

アプリの上で食品をチェックし、気になるものがあったら選択。引き取り予定時間や個数を選び、「お会計してレスキューに向かう」をタップ。お店に着いたら、「レスキューを完了する」ボタンをお店の人に押してもらえば、食事を受け取れるという仕組みです。

また、2019年には東京農業大学と連携し、学生食堂にTABETEを導入するというユニークな試みも。学生や教員はもちろん、近くで働くビジネスマンなど幅広く利用されています。

(5)No Food Loss

見切り販売や値引き販売が基本的に行われなかったり、季節限定の商品を大量に販売したりするコンビニでは、とくに廃棄量が大きいとされてきました。そうしたコンビニや小売店などで発生している食品ロスをお得な価格で購入できるサービスが「 No Food Loss 」です。

このサービスでは、加盟しているコンビニなどの店舗が廃棄されてしまう商品をクーポンとして発行。アプリをダウンロードしたユーザーには、近隣店舗のクーポンが表示されるので、欲しいものがあったら店舗に赴き、クーポンを認証させることで、商品を購入することができます。支払い方法に制限はなく、購入はいつも通りの方法で行えます。

4.まとめ

今後ますます重要な問題となっていくであろう食品ロス。一人ひとりが気にかけることが、一番効果的な解決策といえそうです。今回紹介したサービスを活用して、ぜひ自分でも食品ロスの削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。

プロフィール

回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。 近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、
「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点1
0」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

この記事をシェア

  • facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • X(旧Twitter)

同じカテゴリから
記事を探す

トレンド・ニュース

同じキーワードから
記事を探す

求人情報

TOPへ