中小企業庁では、創業に無関心な層を対象に、創業・起業を身近に感じ興味関心を持ってもらう事を目的として、潜在的創業者掘り起こし事業を行っています。2019年4月より順次、働き方改革関連法が施行され、多様な働き方を選択できる社会に変わりつつあり、副業・兼業を認める企業が徐々に増えてきています。今回同庁では、「起業と副業」についての意識調査の結果を発表しました。
日本人の起業意識はまだまだ低いが、"隠れ起業意識"は高い
「起業・副業について、あなたのお気持ちに近いものを、それぞれお知らせください」という質問の中で、「今後、起業をしたいですか?」と、20~60代の一般男女7,780名(現無職者を除く)に、日本人の起業意識を聴取したところ、12.6%にとどまり、既にしていると答えた8.6%を除く、約78.8%の方が興味をしめさないという結果となりました。
しかし、回答者の中から起業に関心のない「起業無関心者」250名を選抜し、会社を辞めずに起業する「副業起業」の意向を聴取したところ、37.6%、約4割近くの人が「興味あり」と回答しました。
中でも4割を超える世代は20代~40代という結果となり、比較的若い世代で興味度が高く、特に30代の起業無関心者において最も興味度が高く、5割弱の人が「興味がある」と回答しました。
中小企業庁では、「副業ワードが入ることで、心理的な障壁が軽減されると考えられ、潜在的な起業意識"隠れ起業意識"は高いという結果となりました。少しずつではありますが、多様な働き方が世の中に認知されてきているのでは」と分析しています。
「副業起業」について、「自分を客観視できる」など意欲的な回答も多数
「副業起業」に興味があると答えた人で、自由回答した人には、「在職中の会社は辞めたくないが、収入を増やしたい」、「現在、育休中で収入がないため副業などで少しでも家計の足しにしたい」等の現実的な回答のほか、「副業として、職を広く持つことは人生が広がる」、「楽しみながら収入が得られるのは理想的、なかなか実現しにくいが興味深い」、「自分を客観視できる」、「小額でも構わないので自分の力で収入を得ていきたい。」など、意欲的な回答も多数みられました。
年齢が若いほど、「副業」への意識が高い結果に
起業の質問と同様に、20~60代の一般男女7,780名(現無職者を除く)に、「副業をしたいですか?」と意向を聴取したところ、27.8%となり、起業意識の約2倍となりました。「起業」は30代で最も高く、「副業」は20代が最も高い結果となりました。年齢が若いほど、「副業」への意識が高くなっています。
20~60代の一般男女7,780名(現無職者を除く)の中から「起業家」250名を選抜し、「起業すると決めてから、どのくらいで実際に起業(開業)しましたか」と行動について聴取したところ、起業を決意してから開業まで、78.4%の人が3年未満と回答しました。
起業決意から収益化までトータル6年
また、「起業した会社が黒字化するまでに、どのくらいの期間を要しましたか」という質問に対しては、74%の人が3年未満と回答。起業決意から収益化までトータル6年という結果となりました。なお、「何人で起業(開業)しましたか」の質問については「1人で起業」が過半数の60.4%をしめました。
選抜された「起業家」250名と、「起業無関心者」250名に対して「自分を表現する言葉」を聴取したところ、起業無関心者と特徴的に差があった主な言葉は「誠実」「信頼」。これらの言葉は大切にされている傾向。また、「情熱」も、起業無関心者と比較して大きく差がみられました。