三菱UFJ銀行が、2020年度より2年出し入れしていない不稼働口座に対し年間1200円の手数料を導入する計画を発表しました。また2018年1月に施行された「休眠預金等活用法」により、2019年から長年使われていない預金が預金保険機構に移管され始めています。
放置している口座からこのような原因で、知らないうちにお金が動いているかもしれません。
利用のない口座に手数料がかかっているかも?
「2年間取引がない不稼働口座に年間1200円の手数料を導入する」という三菱UFJ銀行の計画。新規開設の口座が対象となり、既にある口座への手数料は検討していないようです。不稼動口座への手数料導入は、これが実現すればメガバンクとしては初ですが、りそな銀行や信用金庫では既に実施されています。今回の発表に追随して、いずれほかの銀行もこのような体制を取るかもしれません。
りそな銀行では、2004年から新規開設口座に未利用口座管理手数料を導入しています。未利用口座とみなされるのは、最後の預け入れまたは払戻しから2年以上、利用のない普通預金口座です。残高が手数料未満の口座に関しては、残高を手数料として口座自体が解約されます。
自分の利用する口座が未利用口座に該当する場合には、事前に届け出ている住所にその旨の案内文書が届けられます。文書到着後3ヶ月以内に口座を利用、もしくは解約すれば手数料がかかりません。ただし、住所変更をしたなどの理由で文書が届かなくても、到着扱いとみなされてしまうので、通知がきちんと届くように登録情報が最新のものか確認すべきでしょう。
休眠預金等活用法って何?
これ以外にも、利用のない口座に手数料をかけるなどの特別な措置をとる動きは進められています。2018年1月に施行された「休眠預金等活用法」により、2009年1月1日以降の取引から10年以上取引がない預金は休眠預金として預金保険機構に移管されます。
つまり、すでに2019年1月時点から移管が始まっているということです。自分の口座が休眠預金の対象となっていないか、しっかりと確認しておきましょう。
休眠口座の対象はどんな口座?
休眠口座とは、預け入れや引き出しなどの取引があった日から10年が経った預金口座のことを指します。普通預金の他にも、通常預貯金、定期預貯金、当座預貯金などが対象となります。記帳や残高の照会については基本的には取引扱いとなりませんが、金融庁の認可を受けて、金融機関がそれらについても取引として定義する場合があります。各金融機関によって対応が異なりますので、HP等で確認しておきましょう。また、預金額には基準は設けられていません。
休眠口座とみなされた口座預金は、金融機関から預金保険機構に移管され、社会課題の解決のために活用されます。
休眠口座にさせないためには?
「異動」と呼ばれる入出金などの利用があれば休眠預金にはならないので、10年が経過する前にこれらの操作を預金口座で行う必要があります。また、対象となりうる預金がある場合には、金融機関からHP等で公告が行われます。1万円以上の残高がある預金口座に対しては、郵送やメールなどで通知されます。
この通知を受け取れば、その後10年間は休眠口座になりません。書類やメールは金融機関に登録している情報を元に行われるので、登録情報が正確かどうか、いま一度確認すると良いでしょう。また、1万円未満の口座預金に関しては、公告のみで通知はありませんので、入出金などの利用をしておきましょう。金融機関が公告を開始した日から2ヶ月~1年の経つと移管が行われてしまいます。
休眠口座になってしまったら?
休眠預金等となった後も、引き続き金融機関で預金を引き出すことができます。通帳やキャッシュカードなどの本人確認書類などを持参して、金融機関の窓口で手続きをしましょう。必要となる手続きについては、各金融機関で異なります。また、引き出しの際に現金で受け取る場合と、口座を引き続き利用する場合とがあります。
期限はありませんので、預金の引き出しは任意のタイミングで可能です。また、払い戻しという形で行われるので、財産が減ってしまうということはありません。
また、休眠口座を今後利用する予定がなく解約をしたい場合には、本人確認書類や登録のある印鑑など必要書類を持参し、金融機関の窓口で手続きを行いましょう。解約の際には手数料はかかりませんが、残高を0にする必要があるので、その際の引き落とし手数料などがかかる場合があります。
まとめ
学生時代にアルバイトの給料振り込み用に作った口座や、引越し後に転居手続きをせず放置してしまっているケースはないでしょうか。こういった口座から管理手数料が引き落とされていたり、休眠口座扱いとなっていたりすることがあります。使わないからと言って放置せず、自分の資産を把握するためにも未利用の口座がないかチェック・整理してみましょう。
プロフィール
回遊舎(かいゆうしゃ)
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。