"女性の貧困化"が深刻--20代独身女性の56.5%が「生活が苦しい」、21.1%が月収赤字

GVが運営する、お金の情報サイト「まねーぶ」は、全国の20代独身女性350人を対象に実施した生活収支に関する意識調査を発表しました。

「働き方改革」や「女性活躍推進法」の施行により、若者や女性の雇用安定と活躍しやすい職場環境への支援が進む中、いまだ非正規雇用や低所得に悩む若年女性も多く、"女性の貧困化"が問題視されていることも事実です。お金の情報サイト「まねーぶ」では、エフピーウーマン山本麗子氏監修のもと、全国の20代独身女性を対象に生活収支調査を実施し、月々の生活に関しての実態と若年女性が抱える悩みと苦労を明らかにしました。

(1)月収額の平均値は173,325円、中央値は180,000円

全国20代独身女性350人を対象に生活収支に関する調査を実施したところ、ひと月あたりの収入額は以下の通りで、最も割合の多かった回答が「20万円以上~23万円未満」20.3%、次いで「18万円以上~20万円未満」16.9%であり、平均値173,325円、中央値180,000円という結果でした。

今回の調査では無職の回答者が4.9%いることから月収0円という回答もみられ、収入には大きな開きが生じています。





<ひと月あたりの収入(総額)>
0~1万円未満 1.4%
1万円以上~5万円未満 2.9%
5万円以上~10万円 未満 10.3%
10万円以上~15万円未満 13.4%
15万円以上~18万円未満 16.0%
18万円以上~20万円未満 16.9%
20万円以上~23万円未満 20.3%
23万円以上~25万円未満 5.7%
25万円以上~30万円未満 9.4%
30万円以上  3.7%

(2)最も回答の多い仕事内容は「オフィス系」、次いで「サービス系」

仕事・収入の内容については、「オフィス系(公務・営業・企画・事務・受付・データ入力 等)」が204件(33.4%)と最も多く、次いで「サービス系(販売員・レジ・オペレーター 等)」81件(13.3%)、「在宅系(データ入力・モニター 等)」58件(9.5%)と上位3項目で全体の半分以上を占める結果です。





<仕事・収入の内容(一部)>
オフィス系(公務・営業・企画・事務・受付・データ入力 等) 204件
サービス系(販売員・レジ・オペレーター 等) 81件
在宅系(データ入力・モニター 等) 58件
飲食系(調理師・ホールスタッフ・バーテンダー 等) 56件
医療・専門系(医療・薬剤・介護・福祉・栄養士 等) 44件
美容系(美容師・エステティシャン・ネイリスト 等)  27件
工場系(製造・物流・品質管理 等)  26件
水商売系(キャバクラ・ラウンジ・ガールズバー 等) 20件
教育系(教師・塾講師・家庭教師・保育士 等) 15件

(3)36.6%が「副業・掛け持ち労働をしている」と回答

副業・掛け持ち労働の有無に関する調査では「副業・掛け持ち労働なし」63.4%、「副業・掛け持ち労働あり」36.6%と3人に1人以上が副業・掛け持ち労働をしていることが明らかになりました。

「副業・掛け持ち労働をしている」と回答した人の内、仕事・収入源の数は、「2つ」85.9%、「3つ」10.2%、「4つ」3.9%で平均仕事数は2.18という結果です。

「副業・掛け持ち労働あり」と回答した36.6%は、同業種で複数掛け持ち労働をする人の他、異業種やSNSを使ったメディア系を収入源として選択している人もみられ、幅広い仕事・収入内容であることが明らかになりました。

▼FP山本 麗子氏 考察

「20代では社会人になって間もない人も多く、一般的に20代前半と後半では月収差があるものです。当調査の結果では20代女性のひと月あたりの収入額は中央値が180,000円となっていますが、中央値よりも収入が低い人が約44%程度いるのは、年齢差によるものとも考えられます。一方で、調査対象者の約3割はパートタイムなど正社員ではない雇用のもとで働いていることや、3人に1人以上が副業・掛け持ち労働をしていることを見ると、複数の仕事を持つことで低収入をカバーすることが必要であると考えられます。」

(4)月支出の平均値は143,685円、中央値は143,000円

ひと月あたりの支出額について最も割合の多かった回答が「10万円以上~15万円未満」28.6%で、その他5万円以上~23万円未満の回答まで大きな差はなく、平均値143,685円、中央値143,000円という結果でした。





<ひと月あたりの支出額>
1万円未満 1.4%
1万円以上~5万円未満 5.1%
5万円以上~10万円 未満 19.1%
10万円以上~15万円未満 28.6%
15万円以上~18万円未満 12.3%
18万円以上~20万円未満 12.3%
20万円以上~23万円未満 13.7%
23万円以上~30万円未満 5.1%
30万円以上 2.3%

支出額の内訳については以下の通りで、実家暮らしが42.3%いることもあり食費の平均値は2万円以下でした。また、支出割合の高い家賃に関しては、本調査の回答にて最低額9,000円~最高額115,000円と大きな差があり、社宅・寮やシェアハウスで出費を抑えている傾向もみられました。

さらに、「ローン・奨学金」については64人が選択回答しており、平均値21,656円、中央値15,000円と支出項目の中で大きな割合であることがわかりました。





<支出内訳>
項目名 回答数(n) 平均値 中央値
家賃 186 ¥55,110 ¥55,000
水道光熱費 189 ¥11,105 ¥10,000
通信費 303 ¥10,376 ¥10,000
交通費・車両費 275 ¥10,444 ¥10,000
年金・保険料(義務・任意) 275 ¥29,049 ¥30,000
食費 301 ¥19,852 ¥20,000
日用品費 319 ¥7,960 ¥5,000
衣服費 270 ¥10,811 ¥10,000
美容費 270 ¥9,120 ¥7,000
医療費 84 ¥4,758 ¥3,000
交際費 245 ¥14,552 ¥10,000
趣味・娯楽費 235 ¥12,772 ¥10,000
子ども費 5 ¥7,500 ¥7,500
ローン・奨学金 64 ¥21,656 ¥15,000
雑費 176 ¥8,761 ¥5,000

▼FP山本 麗子氏 考察

「支出額の大小は、ひとり暮らしか実家暮らしかによって分かれるところです。回答割合が多い金額帯が5万円以上~23万円未満と幅広いのはそのためでしょう。しかし「10万円以上~15万円未満」という回答が28.6%で最も多いことから、ひとり暮らしの人もしっかり節約に努めていることがみてとれます。

生活費以外では「ローンや奨学金返済」が平均値21,656円、中央値15,000円と目立ちます。長ければ20年近く続く支出ですから通信費やその他費目を節約し、こまめに繰上げ返済して早期完済を目指してみましょう。」

(5)月収支の平均値は全体の21.1%が赤字

月収入額から月支出額を引いた収支額については、全体の21.1%が赤字(マイナス)収支、14.6%が分岐、64.3%が黒字(プラス)という結果でした。

最も割合の多かった回答が「黒字5万円以上~10万円未満」24.0%であり、月間収支の平均値は黒字29,640円、中央値は黒字24,000円でした。





<ひと月あたりの収支額>
赤字10万円以上 1.4%
赤字5万円以上~10万円未満 2.3%
赤字3万円以上~5万円未満 2.3%
赤字1万円以上~3万円未満 10.9%
赤字1万円未満 4.3%
分岐0円以上~1万円未満 14.6%
黒字1万円以上~3万円未満 18.3%
黒字3万円以上~5万円未満 11.7%
黒字5万円以上~10万円未満 24.0%
黒字10万円以上~15万円未満 8.0%
黒字15万円以上 2.3%

▼FP山本 麗子氏 考察

「生活収支は黒字(プラス)が64.3%、そのうち最も多い回答が「黒字5万円以上~10万円未満」ということで、やりくり上手な人が多いことがみてとれます。一方で、収支トントン状態が14.6%、赤字(マイナス)が21.1%と3人に1人以上は貯金がまったく出来ない状況です。
赤字対策として生活費を削るなら通信費や保険料などの固定費を減らすのが効果的です。なお、消費者金融を利用すると利息がかかりその分支出が増えてしまい、支払滞納に繋がります。将来的にクレジットカードの申込などが出来なくなる可能性もありますから、まずは支出の見直しに努めましょう。」

(6)およそ6割(56.6%)が「生活が苦しい」と回答

今の生活について、収支面を理由に調査したところ「まったく苦しくない(余裕・贅沢できる)」11.4%、「あまり苦しくない(生活できている)」32.0%と全体のおよそ4割が「苦しくない」と回答するも、「やや苦しい(ギリギリ)」47.1%、「とても苦しい(赤字)」9.4%と全体のおよそ6割が「生活が苦しい」と回答する結果となりました。

回答者の意見には「正社員になれず雇用(収入)が安定しない」、「どれだけ働いても収入内に自分の支出が収まらない」などといった声があり、雇用や低所得の問題が浮かび上がる実態が見てとれます。

また、お金を使わない努力として、「キャッシュカードやクレジットカードを持ち歩かず、お金を使えないようにしている」、「趣味を辞め、友達付き合いをなくした(友達がいなくなった)」という声もあり、20代女性にとってはとても辛い現実が本調査で明らかになりました。

(7)FP山本 麗子氏 総括

「全体のおよそ6割が「生活が苦しい」という回答ですが、当調査結果を見ると、贅沢をしているわけではないのに収支がギリギリ~赤字になってしまう人の多さを感じます。改善のためには収入アップを目指すことが望まれます。

世の中は業務委託や有期契約社員など正社員ではない雇用が多くなっている傾向にあります。その分収入は低めの場合が多く、また社会保険(年金・国保)を自分で払わなければならないケースも多くあります。今、会社で社会保険に加入できるかどうかは現在の支出額にも直結しますが、病気で働けなくなったときの経済保障、老後にもらう年金なども違ってきます。今年の4月からは非正規社員と正社員の待遇差を改善すべく法律が改定されますが、そのためには労働者自身のスキルアップも必要になりそうです。」

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