SNSでの炎上を補償する

SNSでの炎上を補償する"ネット炎上保険"、その種類と補償内容とは!?

SNSが主要なコミュニケーションツールとなり、企業にとっては便利な販促ツールになる一方で、従業員による不適切な投稿など、企業イメージを損なうリスクとも隣り合わせとなっています。一度SNSが炎上してしまうと、それを収束させるための対応が必要となり、企業にとっては大損害を被る可能性があります。近年、そうしたSNSでの炎上を収束させるためにかかった費用を補償する保険が登場しています。

ネット炎上保険ってどんな保険?

ネット炎上保険とは、主に企業の商品やサービス、あるいは従業員の労働環境などに関してのネガティブな情報や噂が拡散され、ネット上で厳しく批判されるいわゆる「炎上」が発生した場合に、事態を収束させるために支出した費用を幅広く補償してくれる保険です。

例えば、異物が混入した商品画像がSNS上で一斉に広まってしまったという場合、企業イメージを損ない業績や株価にまで影響を与える可能性もあるため、企業は早急に対策を講じる必要があります。具体的な対応としては、「問い合わせ窓口の設置」「商品回収」「謝罪会見の実施」「コンサルタントや弁護士への相談」などが挙げられます。ネット炎上保険では、これらの対策にかかった費用が補償されます。

どんな保険があるの?

ネット炎上保険には、主に損害保険会社が提供している商品と、ネット監視サービスに保険が付帯された商品があります。具体的なネット炎上保険の一部をご紹介します。

(1)損害保険会社提供の保険

・日本初!ネット炎上保険の先駆け

◯「ネット炎上対応費用保険」損害保険ジャパン日本興亜(株)

2017年3月に登場した保険で、企業が一般加入できる炎上対策の保険としては国内で初めての商品です。企業に関するネガティブな情報がSNSなどで拡散されてしまった、または拡散しそうな場合に、拡散防止やメディア対応に必要な費用を補償してくれます。具体的には、原因調査費用、コンサルティング費用、炎上拡散防止に必要な費用、超過勤務手当、コールセンター設置費用、メディア対応のコンサルティング費用、各メディアへの広告掲載費用などです。これに、ネット炎上対応支援(株式会社エルテスが提供)と、緊急時マスコミ対応支援(SOMPOリスケアマネジメントが提供)の2つが自動付帯されています。保険金の限度額は1000万円で、保険料は年平均50万~60万円程度です。



対象となる主な事例

会社内部から発生する事例

  • 不適切行為(例:自社の商品や職場での悪ふざけ)
  • 情報漏えい(例:著名人の来店情報などを漏洩)

会社外部から発生する事例

  • 商品の不具合
  • 不衛生(例:異物混入・欠陥が疑われる事象)
  • 従業員の対応(例:営業時の不適切な勧誘)
  • 広告における問題(例:配慮に欠けた表現・誇大広告と思われる表現)
対象となる費用
  1. 炎上対応費用

    原因調査費用、コンサルティング費用、炎上拡散防止に要する費用、 超過勤務手当、コールセンター設置費用など

  2. メディア対応費用

    メディア対応のコンサルティング費用、各メディアへの広告掲載費用など

・企業のブランド価値や評判に関わるリスクを迅速にカバー

〇「レピュテーションリスクを包括的に補償する保険」東京海上日動火災保険(株)

2019年4月に発売。レピュテーションリスクとは、企業に対する悪意のある、または否定的な評価による評判リスクのことを指し、企業における信頼やブランドの毀損に発展し得るリスクのことです。このようなリスクが顕在化する前に早期発見・予防し、迅速かつ適切な対応をサポートする商品です。また、ネット投稿などを有人で監視する「有人監視サービス」を導入している場合、有人監視サービス会社から対策が必要な状況であると通報がなされれば、補償対象とすることができます。補償対象は、 報道状況分析費用、ネット投稿削除費用、検索エンジン対策費用、弁護士相談費用、緊急会見支援費用、社告費用、原因調査費用、第三者委員会設置費用などです。



対象となる事故
  1. マスメディアにおいて、異物混入、個人情報の漏えい、プライバシーの侵害、セクハラ・パワハラ行為等の発生または発生する"おそれ"が報道された場合
  2. 社内調査または外部機関からの通報によって、異物混入、個人情報の漏えい、プライバシーの侵害、セクハラ・パワハラ行為等の発生または発生する"おそれ"を認識し、選定コンサル会社の推奨に基づき、その事由の発生またはその"おそれ"を記者会見等を通じて公表した場合
  3. 「有人監視サービス」において、対策の必要を検討すべき危険な投稿状況であるとして危機通報がなされた場合

    (※別途、ネットモニタリング会社等による「有人監視サービス」を契約する必要がある。)

対象となる費用

報道状況分析費用、ネット投稿削除費用、検索エンジン対策費用、弁護士相談費用、緊急 会見支援費用、社告費用、原因調査費用、第三者委員会設置費用など

(2)ネット監視サービスに付帯された保険

・ネット炎上対策にかかる費用負担を軽減

〇「炎上監視サービスwith保険」(株)エルプランニング

2017年11月に発売。ツール監視と有人監視を組み合わせることで低価格化を実現した監視サービスに加え、炎上が発生した場合には再発防止や改善広告などの対策にかかる費用に対して、最大で500万円まで補償する保険が付帯されています。価格は月額9万8000円です。監視サービスでは、監視対象サイトの指定、報告方法や頻度、報告内容などを設定して必要な情報だけをもらうことができるので、情報把握に対する企業側の負担を軽減させることができます。



監視対象報告方法・頻度報告内容

Twitter

5ちゃんねる

ブログ

掲示板

など

アラートメールの有無

有人監視報告メールの頻度

レポート集計

全量データ

ネガティブデータ

ポジティブデータ

頻繁ワード

キャプチャー

など

・風評被害対策の専門家が対応

〇「定期監視報告サービスα」「24時間365日監視サービスα」ソルナ(株)

2018年8月に炎上対応費用補償サービスを開始。内閣府認証協会認定資格「ブランドドクター」の有資格者が対応する監視サービスに、炎上保険(あいおいニッセイ同和損保が提供)が付帯されています。監視サービスでは、24時間のシステム監視・有人監視に加え、ブランドドクターによる定点監視が行われます。問題が発生した際には、トラブルの危険度をサイトの悪質性などの観点から3段階で分析し、適切な対応案を提案してもらえます。炎上発生時には、ブランドドクターへの相談はもちろん、対策費用から再発防止策まで、最大で500万円まで保険金が支払われます。



対象となる費用

拡散防止費用

コンサルティング費用

原因調査費用・分析費用

臨時費用

社告宣伝活動費用

ニーズに合わせてプランが選べる

〇「炎上保険」シエンプレ(株)

保険付帯型モニタリングサービスです。炎上してから保険を申請する一般的な監視サービスよりも対応スピードが早いことが特徴です。リツイート数などをもとに、事前に「炎上」の基準を定義し、明確に判断されます。補償対象は、シエンプレで実施する炎上対策に係る費用、マスコミとのコミュニケーションに係るコンサルティング費用、社告・謝罪等の会見を実施する費用です。月額費用は8万円〜35万円で、補償金額はグレードに合わせて最大250万〜1000万円となっています。



対象となる費用
  • シエンプレで実施する炎上対策に係る費用
  • マスコミとのコミュニケーションに係るコンサルティング費用
  • 社告・謝罪等の会見を実施する費用

多彩なネット炎上保険が台頭

SNSで誰もが簡単に情報発信できる時代ですから、会社の内部・外部問わずに思わぬところでリスクが浮上してきます。誰かがSNSに上げたたった一言が、会社の信頼やブランド価値を大きく落とすことにもなりかねません。こうした時代に合わせて、ネット炎上保険は今後ますます盛り上がっていくのではないでしょうか。

また、ネット炎上保険は新しいタイプの保険でもありますから、加入の際は複数のサービスの詳細を比較し、企業規模や状況に適したサービスを見極める必要があるでしょう。

プロフィール

回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。 近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、
「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点1
0」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。