パソコンや周辺機器など、eスポーツ向けの商品が増えています。専門学校のプロゲーマー養成コース、eスポーツをとりあげたテレビ番組なども話題です。急速に定着してきたeスポーツについての調査結果が発表されました。(Misa)
eスポーツの認知度と関心についての調査結果
マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した「eスポーツに関する調査(2019年版)」の結果が発表されました。それによると、「eスポーツを知らない」という人は、調査対象(全国47都道府県に在住する15歳~69歳の男女、1200サンプル)の19.7%で、名前だけ認知している人、内容も認知している人、大会参加経験者など「eスポーツを知っている」という人の合計は8割にのぼりました。
eスポーツ(esports)とは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略称で、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般などをさし、現在はコンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦型の競技に対して使用されることが多いです。
アメリカ、韓国、中国では非常に発展しており、市場規模も日本とは桁違いに大きくなっています。アメリカでは、すでにeスポーツはスポーツと認知されており、プロゲーマーは「スポーツ選手」として認められています。世界各国で、100万ドル単位の賞金がかかる大規模な国際大会が開催され、1万人を超える観客を集めています。
出典:eスポーツに関する調査(2019年版)/株式会社クロス・マーケティング
eスポーツの現状
eスポーツの競技人口はすでに1億人以上といわれ、観戦、視聴者は3億8,000万人ともいわれています。世界での市場規模は2017年に770億円に達し、2020年には1,600億円を超えるという予想も出ています。その一方で、日本の競技人口は390万人、観戦、視聴者は160万人。多くの名作ゲームタイトルを生み出してきた国でありながら、日本のeスポーツ人口はかなり少ないといえるでしょう。
こうした現状に対して、ゲーム制作会社、ハードベンダーなどのeスポーツ関連企業は、大会運営や競技チームへの支援、メディアでの広報活動など、さまざまな形で普及に取り組んでいます。高校でのeスポーツ部設立を支援する動きもあり、eスポーツ部を新設する学校に高性能のゲーム用パソコンなどを2年間無償でレンタルする支援プログラムも発足しています。
eスポーツの展望
eスポーツは競技者数、観戦者数ともに多くのユーザーを獲得しており、興行としての基盤はすでに築かれています。あくまでもスポーツとしての認知にこだわるのは、いまだに根強く残っている、コンピューター、ビデオゲームに対する否定的な意見を和らげることが狙いかと思われます。過去にはゲームにのめりこみすぎて生活が破綻した、健康被害に至ったなどの例も報告されていますので、ネガティブな印象を払しょくするには努力と時間が必要でしょう。また、スポーツとして認知されていく過程で、ゲームとの正しい向き合い方が周知されていくとよいと思います。スポーツとしての認知に関わらず、eスポーツは商業的には確立しつつあり、有望な市場であるといえます。
プロフィール
Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。