いよいよ始まる「世界で第三のスポーツ大会」を見逃すな!

いよいよ始まる「世界で第三のスポーツ大会」を見逃すな!

「ワールドカップ(W杯)」と言うと、「サッカーW杯」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、世界には「もう1つの大人気のW杯」があります。それは、9月20日から日本で開かれる「ラグビーW杯」のこと。世界のトップ20チームが参加し、楕円の覇権をかけて戦うこの大会は、よく「世界で第三のスポーツ大会」と呼ばれます。前回2015年のイングランド大会の観客数は248万人で、テレビ視聴者数は40億人超。今大会は、海外から40万人を超えるラグビーファンが訪れる見込みで、「祭典」の盛り上がりが期待されます。

一番の見どころ 8強入りを目指す日本代表!

大会の見どころとしてまず注目したいのが、日本代表(ジャパン)の活躍です。「ラグビー史上最大の番狂わせ」。前回大会で優勝候補の南アフリカを破り、1次リーグで3勝を上げる躍進を見せた日本代表ですが、下馬評は前回よりも上です。2大会連続で主将を務めるFLリーチ・マイケル、不動の司令塔であるSO田村優、世界レベルのスピードを誇るWTB福岡堅樹をはじめ、ベテランと若手がバランスよく揃った布陣は「史上最強のジャパン」と呼ばれます。世界ランキングは過去最高の9位。チームを率いるジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、目標を「ベスト8入り」とし、初の決勝トーナメント進出に意欲を見せます。

とはいえ、これは簡単な課題ではありません。決勝トーナメントへ進出するには、5チーム総当たりの1次リーグで、上位2位に入ることが絶対条件。日本代表は、初戦でロシア(世界ランキング20位)、第2戦でアイルランド(同3位)、第3戦でサモア(同16位)、最終戦でスコットランド(同8位)と当りますが、1つとして弱いチームはないのです。

特に難敵と見られているのが、アイルランドとスコットランド。昨年、テストマッチで王者ニュージーランドを破ったアイルランドは、今大会の優勝候補の一角とされる強豪です。スコットランドは過去8大会で7度も8強に進出し、前回大会、日本は45-10で敗れています。8強進出のためには、この2チームから少なくとも1勝を奪い、プール3勝を上げる必要がありそうですが、専門家やファンの間では、スコットランドに勝機を見出すシナリオを書く人が多いようです。

もう一つの見どころ オールブラックスの3連覇なるか?

大会前半の見どころが日本の8強進出だとすれば、後半の焦点は「ウェブ・エリス・カップ」を巡る攻防です。10月19日に始まる決勝トーナメント、決勝は11月2日、横浜で行われます。

そこで、優勝候補の本命と見られるのが、ニュージーランド代表オールブラックス。2011年の自国大会、2015年のイングランド大会に続く3連覇はなるのか、世界のファンが注目しています。しかし、8月のテストマッチでオーストラリアに完敗、2009年11月以降、約10年間保ってきた世界ランキング1位の座から陥落するなど、「らしくない」面も見せています。

昨年来、黒衣軍から勝利を上げたチームとして、南アフリカ(世界ランキング4位)、アイルランド(同3位)、オーストラリア(同6位)があります。オールブラックスの優位性は動かないとしても、この3カ国に加え、今年の欧州王者で世界ランキング1位のウェールズ、名将エディ・ジョーンズHCが指揮を執るイングランド(同5位)にも栄冠を掴むチャンスはありそうです。

ここでW杯の活躍が見逃せない世界のスター選手を紹介しましょう。まずは、オールブラックスのSOボーデン・バレット。バレットは、2016年と2017年の世界最優秀選手に輝いた世界ナンバーワンSOです。同じオールブラックスでは、WTBリーコ・イオアネも忘れてはなりません。世界最高のウイングとされるイオアネは、今大会トライ王の本命です。フォワードで注目されるのが、ウェールズの主将を務めるLOアラン・ウィン・ジョーンズ。チームの精神的支柱であるジョーンズは、ウェールズを初の世界ランキング1位に導いた立役者の1人です。

何が起こるか分からないのがW杯の面白さ

ところで、日本代表が1次リーグを2位で通過した場合、決勝トーナメントの初戦、準決勝の相手は、プールBの1位チームとなることが決まっています。その相手はニュージーランドと南アフリカの勝者となる公算が大ですが、ここはオールブラックスの勝ち上がりに期待しましょう。日本代表とオールブラックスには、浅からぬ因縁があります。1995年、第3回南アフリカ大会で「145対17」で敗れた「ブルームフォンテーンの悪夢」。W杯史上最多失点による屈辱は、ある年齢以上のラグビーファンにとって今も残る心の棘で、越えなくてはならない高い壁です。

もちろん、返り討ちに合う可能性もあるでしょう。やや醒めた目で見るのが大人の知恵かもしれません。しかし、リベンジの可能性はゼロではありません。

前回W杯で活躍した五郎丸歩は、今大会の優勝候補として日本を挙げています。あるスポーツ番組で、発言の真意を問われた時、「あの時、日本が南アフリカに勝つなんて誰も想像していなかった。何が起こるか分からないのがW杯で、これほど夢があることはありません」と答えています。もう1つのW杯、もう1つの「史上最大の番狂わせ」が起きても不思議ではありません。

※世界ランキングは2019年8月20日時点

プロフィール

回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

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