使わない日はないと言えるくらい、私たちの生活に身近な存在となったアプリ「LINE」。いまや日本人ネットユーザーの8割以上が利用しているといわれているサービスです。メーン機能であるトークはもちろんのこと、最近ではLINEポイントや送金などの機能も増え、日常のあらゆることがLINEで済ませられるようになってきました!
LINEは、日本のみならず台湾でも人気です。街中を歩いていると、日本以上に「LINE!」という起動時の音声を耳にしたり、大きな広告看板が目についたりと、LINEアプリの存在が大きいことがよくわかります。
そんなLINEアプリの中でも台湾ユーザーによく利用されている機能が決済サービスの「LINE Pay」。日本でも5月下旬から300億円キャンペーンが始まったことで、新たに本人確認をして友達と1,000円送りあった!という方も多いのでは?
このLINE Pay、台湾の産業情報研究所の調査によると、台湾で利用できる決済サービスの中で最も使われているようです。
(街中によくあるドラッグストアのレジ画面にLINEPayの広告が)
スマホ決済サービスでラクラク旅行すべし!
日本で暮らしていると、まだまだ現金主義社会。電車に乗る時にはICカードを利用するものの、スマホで買い物の決済をする、もしくはスマホで支払っている人を見かけるという機会はまだあまり多くはないのではないでしょうか?しかし、そういう方でも海外に行った際にはスマホ決済サービスを利用するのがオススメ。その理由を説明します!
・まずは両替でつまづく
海外に行って困ることの一番が、レジでの支払いに関わる問題でしょう。今までの海外旅行でこんな経験がある方も多いのではないでしょうか?
まず、海外で物を買うためには、日本円を外貨に両替する必要がありますが、両替には大抵手数料がかかります。しかも、両替する場所で手数料の金額が異なることも多く、一番手数料がお得なのはどこか調べておかないと損をすることも。また、両替する際のレートも両替する場所で異なります。レートはどこがいいのか、手数料はどこがお得か、総じて両替するのにどこを使うのが一番得なのか、あらかじめ考えておかなければなりません。
そして、考えておいたとしても、実際に現地に行ったら、その両替場所が思いのほか遠く、そこへわざわざ行くのはかなりの手間。仕方なく市中の銀行で両替をしようとしたら、断られた!もしくはパスポートの提示を求められ、持っていなくてできなかった、手数料がビックリするほど高かった!なんてことにも...。
・通貨がよくわからない!
苦労していざ手にした現地の通貨。見慣れないお札やコイン。どれがいくらなのかわかりづらく、レジ前でもたつきます。そして後ろに人が並んでいるから、ついお札で払ってしまい、なかなかコインを出せず、お財布の中はコインだらけに。しかも、ご存知ですか?コインは再両替ができません。お財布パンパンになったコインは、日本に持ち帰ることに。
常にお金の事情は楽しい旅行でストレスとしてついて回ります。
キャッシュレス決済サービスの良いところは、こうしたストレスを解決してくれるところでしょう。
台湾にもさまざまなスマホを使った決済サービスがありますが、今、台湾で日本人が使うならLINE Payです。私たちが日本で普段使っているLINEアプリから使えるので、面倒な手間がかかりません。
ここでは台湾でLINE Payを使う方法や注意点、そのほかオススメのサービスをご紹介します。
台湾でのLINE Payはクレジットカード連携のみ利用可能
まず日本と台湾のLINE Payの違いで理解しておくべき点は、日本の銀行口座から日本円でチャージしたLINE Pay残高は台湾では利用できないということです。
台湾でLINE Payを利用する場合、どうすればいいかというと、クレジットカードの連携が必要となり、LINE Payでコード決済をすると、そのクレジットカードから決済されるという仕組みになります。その点さえ注意すれば、あとは日本でコード決済を利用する場合と同じように決済ができます。
だったら普通にクレジットカードで決済すればいいのでは...と思いました?LINE Payでコード決済すれば、クレジットカードを相手に渡さないで済みます。また、クレジットカードが使えないお店でもLINE Payは導入しているという場合がありますので、より安心・便利というわけ。
コード決済の方法はとても簡単!LINE Pay加盟店の店頭で自分のLINE決済画面(=LINEウォレット)でバーコードを作成し、差し出すだけ。すると、店員がレジの機械でそれをピッと読み取ってくれます。すると、支払い用に設定したクレジットカードから購入額が引き落としされる仕組みです。LINE Payでの決済履歴も、もちろんLINE内の画面で確認することができます。
これからに期待したい!台湾でのスマホ決済事情
(日本人に人気のあのかき氷ショップもLINE Payに対応)
ただし、現在の台湾ですが、キャッシュレス決済がメーンの決済方法ではありません。ゆえにまだまだLINE Payを利用できるお店は限られています。キャッシュレスの水準としては日本と同じか、それ以下くらいの普及具合。特に台湾に行ったらぜひ体験したいB級グルメや夜市ではスマホ決済ができないケースも多く、買い食いなどを楽しみたいという方は、現金が必須。たとえスマホ決済を活用しようと思っていても、あらかじめ空港などで円を台湾ドルに両替して持っておく方が安心です。
ただし、現地では個人所得税の納付にもLINE Payが使われていることから、これから徐々に普及していくと思われます。もしかしたら、数カ月後には街中のいたるところでLINE Payが使えるようになっているかもしれませんね。
尚、日本同様にスマホの充電が切れたらLINE Payは使えませんし、ネットに繋がっていない状態でも使うことができませんので、その点は注意が必要。レンタルWi-Fiや充電器を準備しておきましょう。
・そのほかにも便利な台湾の電子マネー
日本にSuicaやPASMOがあるように、台湾も同じく交通系の電子マネーが存在します。旅行には移動がつきもの。LINE Payの使い方と合わせて事前に知っておくと、よりスムーズに台湾を移動できます。
台湾で最も流通している交通系ICカードは、悠遊卡(ヨゥヨゥカーと発音)です。英語だとEasyCardというのですが、なぜか英語だと基本通じません。これ、台湾あるあるです。
悠遊卡は台湾の地下鉄であるMRTやバスでSuicaやPASMOと同じように使えるカード。そして、対応している店舗などでの支払いにも利用することができます。
(画像の上段の左から2番目が悠遊卡のマーク。アメックスとVISAに挟まれています)
駅の発券機や窓口、コンビニなどで100元(5月20日現在1元は約3.5円。ですので350円)で販売しているので、手軽に購入できます。尚、購入したカードには一切チャージはされていませんので、自分で現金をチャージして使います。コンビニでカードを購入する場合、一緒にチャージもしてもらうのが一番簡単です。ちなみMRTの初乗りは20元と、とってもお安く、しかも悠遊卡を使うと16元になるので、MRTの運賃にしか使わないという人は、とりあえず200元もチャージしておけば十分です。
地下鉄の乗り越しOK!?日本の交通系カードとの違い
悠遊卡には、日本の交通系カードではあまりみられない特徴があります。それは、マイナス残高という機能です。乗り越しをしてしまった場合でも改札を出ることができ、不足分は次にチャージをする際に清算される仕組み。日本の場合は乗り越し金額が発生してしまった場合、改札を出る前にいちいち精算をしなければなりませんが、そのストレスがありません。旅行中はあちこちを回るため、1日に何度もMRTを使いますので、この仕組みはとてもラクですよね!これ、日本にも導入して欲しい!
しかし、この便利な悠遊卡、1つだけ弱点が。以前はカード代がデポジットで戻ってきたので旅行客にも使いやすかったのですが、今はデポジット制がなくなり、純粋にカード代100元がかかるようになったのです。なので、ちょこっとだけの滞在や、次回来る予定がないような人にはあまり向かないかも。そういう方は、1日乗り放題のICカードを購入して利用するか、日本でいう切符にあたる「トークン」を利用するなど、別の方法を取ったほうがよさそう。でも、逆にまた来る機会がありそうな人は、1枚購入しておくと便利です。チャージした金額は、2年半キープされますので、その前に訪台すれば、残金をそのまま使えます。
また、コンビニなどでは台湾ならではのキャラクター絵柄の悠遊卡などが買えるので、記念に持ち帰るのもおすすめですし、誰かが台湾に行くときにお餞別として渡すのもいいですね。
ここでご紹介したサービス以外にも、Apple PayやGoogle Payなど、日本でもおなじみの決済サービスで使えるものがあります。台湾に行く際には、普段のアプリの利用事情を踏まえて決済サービスの利用を検討してみると良いでしょう。せっかくの滞在、余計な手間にお金や時間を使うのはもったいない。よりコスパよく楽しい旅行にするためにも、こうした便利なサービスをどんどん利用してみましょう!
プロフィール
回遊舎(かいゆうしゃ)
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。