5月1日、約200年ぶりに「譲位」という形の改元を迎えました。江戸時代より前には珍しくありませんでしたが、明治維新後は初めてのことです。祝賀ムードの中で、早くも新元号「令和」を社名に冠する企業が生まれています。(Misa)
新元号発表からわずか2日で「令和」企業が誕生
明治、大正、昭和、平成と、社名や団体名に元号を含む法人は実は意外と多いのです。メーカーや銀行などの企業、学校や病院など、少し考えただけでも両手の指でも余る数の名称が思い浮かぶのではないでしょうか。新元号を社名に含む企業の調査結果が発表されました。
さて、新元号が発表された時点で「令和」を社名に含む法人登記はゼロでした。個人では同名の方が話題になっており、法人名でも偶然の一致があってもおかしくはなかったのですが、2019年4月1日現在では1社も登記されていなかったそうです。そして、最初に会社名に漢字で「令和」を含む企業が登記されたのは、発表から2日が経過した4月3日、所在地は長崎市でした。それから4月26日までに、全国29都道府県で73社が登記されたということです。
(出典:「東京商工リサーチ、社名に「令和」を含む企業の調査結果を発表」(株式会社東京商工リサーチ))
「令和」を冠するのはどのような会社か
「令和」を社名に含む法人73社の中で、新設の法人は44社、社名変更された法人が29社だったそうです。このうち4月1日付が新設法人8社、社名変更19社でした。11時30分の政府発表を受けて、その日のうちに登記申請されたことになります。すごい早さですね。
業種別では不動産業、建設業が多く、これらの業種は「験を担ぐ」傾向があるからではないかという見方もあります。ちなみに社名変更された法人のひとつ、令和書籍株式会社(平成書籍から社名変更)は明治天皇の玄孫として知られる竹田恒泰氏が経営する出版社です。また、都道府県別でみると東京都(12社)が最多となっていますが、これは単純に法人の数が多いからではないかと思われます。それに対して、2番目に多いのは福岡県(7社)でした。地域別でも近畿や中部をおさえて、九州が関東に次ぐ順位につけていますので、九州では元号を含む社名が好まれるのかもしれません。
社名に新元号をつける意図
こうした企業は、どのような意図で新元号を社名に取り入れたのでしょうか。
根底には、新しい時代を寿ぐ(ことほぐ)気持ちや心機一転などの想いがあることは間違いないと思います。譲位という形で天皇陛下の崩御がないぶん、手放しにお祝いできるムードがあり、よりポジティブなイメージが強いことも理由のひとつかもしれません。
加えて、天皇陛下の譲位に伴う改元については、日本国内はもちろん海外のニュースでも取り上げられ、新元号は、世界中で圧倒的多数が知る言葉となっています。新元号を取り入れることで話題性、知名度の向上が期待でき、インターネットの検索ワードとしての強みもあります。単なる縁起かつぎだけでなく、広報やブランディングとしての取り組みであるとも考えられます。
原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。