65歳以上の人と働くこと、<br>若くなるほど「一緒に働きたくない」人が増える傾向

65歳以上の人と働くこと、<br>若くなるほど「一緒に働きたくない」人が増える傾向

経済団体や日本を代表する企業の社長から「終身雇用を続けていくことは難しい」といった趣旨の発言が相次いでいる一方で公的年金の受給開始年齢は引上げが検討されているということを踏まえ、エアトリは20代~70代の男女825名を対象に「終身雇用」に関する調査を実施しました。今までの日本の雇用慣行が崩れ去ろうとしていることに対して、世間はどのように思っているのでしょうか?

「終身雇用という制度が無くなること」、半数が「不安を覚える」と回答

まず、「終身雇用という制度が無くなることに不安を覚えるか」と質問したところ、「とても不安」と回答したのは23.6%、「やや不安」の27.0%と合わせると半数以上が不安を抱いていることが分かりました。一方、「不安ではない」も29.8%おり、意見は大きく分かれる結果となりました。

また、定年後にやりたいことが「ある」と回答した人と「ない」と回答した人で分けて集計したところ、定年後にやりたいことが「ある」人の中で終身雇用がなくなることを「とても不安」「やや不安」と回答したのは46.4%だったのに対し、やりたいことが「ない」人は57.5%と10ポイント以上の差が出ました。定年後の生活を想定できている人ほど終身雇用に対する執着がないようです。

終身雇用に「賛成」は50代が最多、若くなるにつれ漸減

さらに、「終身雇用という制度についてどう思うか」と質問したところ、どの年代においても「賛成」が「反対」を超え、50代では「賛成」が44.4%で最多となりました。そこから年齢が下がるにつれ、「賛成」の割合も減っています。定年が近づくとともに、終身雇用をしてほしいと願う人が増加しているようです。

「賛成」と回答した人の意見としては、「終身雇用によって愛社精神が生まれ、一生懸命働けた」「心も金銭面も安定する」といったものが多く見られました。一方、「反対」意見としては「若者の昇進・昇給が阻害される」「能力のない人が権利にしがみつく」といったものが目立ちました。

自由に定年を決めて良いとしたら...「70歳以上」が33%

「自由に定年を決めて良いとしたら何歳まで働きたいか」との質問に対して、最も多かった回答は「65歳以上70歳未満」の26.1%、続いて「60歳以上65歳未満」(24.7%)となりました。「60歳未満」と回答した人も16.2%いる一方で、「70歳以上」も33.0%おり、うち、9.7%は「80歳以上」と回答。意見が大きく分かれる結果となりました。

「70歳以上」と回答した人の理由は以下などとなっています。

  • 体力的に問題がなければ、仕事量は若いときより落ちたとしても働くべき。責任や緊張感がなくなると人は衰えるから。(40代・男性・「75歳以上80歳未満」)
  • 年金だけの生活では不安が有り、生活のために働く必要が有れば、仕方なく働く。(60代・女性・「70歳以上75歳未満」)
  • 一生仕事だけでは人生はつまらない、残りの人生を満喫できる内に退職。今は長寿の時代だから75歳くらいなら良いかも。(60代・男性・「70歳以上75歳未満」)
  • 自分で働けると思えるまで働くので、法律で決めないで欲しい。(40代・女性・「80歳以上」)

また、「65歳未満」と回答した人の理由は以下などが挙げられます。

  • 旅行とか趣味など第二の人生を楽しみたい。(60代・男性・「60歳以上65歳未満」)
  • 元気なうちに一旦退職し、 その後給料が下がっても良いのでゆっくりと余裕をもって働きたい。(50代・女性・「60歳以上65歳未満」)
  • そんなに働きたくない。欧米のように50でリタイアできる環境を目指すべき。(30代・男性・「60歳未満」)

「定年後にしたいこと」の1位は「旅行」、体力の必要なものが上位に

定年後にやりたいことが「ある」人に、定年後に何がしたいか聞いたところ、1位は「旅行」(90.3%)、続いて「運動」(30.9%)、「食べ歩き」(30.5%)、「ボランティア」(25.7%)と体力が必要な趣味が上位を占めました。多くの人は、体力があるうちに退職をしたいと考えているようです。

65歳以上の人と働くこと、若くなるほど「一緒に働きたくない」人が増える傾向

定年退職前の人に、「65歳以上の人が同じ会社で働くことに対してどう思うか?」と質問したところ、「一緒に働きたい」と回答したのが、60代以降は43.8%だったのに対し、50代では40.9%、40代では39.1%、20・30代では32.4%まで減少しました。20・30代では「絶対一緒に働きたくない」と回答した人も7.0%おり、定年の引き上げを実施する前に若者の理解を深める必要がありそうです。

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