今年ふるさと納税するなら5月中にって、どうして?

今年ふるさと納税するなら5月中にって、どうして?

応援したい自治体に寄付をし、申告することで、その分税金が控除される「ふるさと納税」。寄附した金額のうち、自己負担分の2,000円を引いた残りの分の寄附金が、所得税や住民税から控除されます。給与をもらっている人なら、基本絶対に使った方がお得な仕組みです。通常は1月~12月までの1年の間のいつしてもよい制度なのですが、今年だけは例外。5月末までにするほうがお得になるかもしれません。

ふるさと納税の制度が見直されたのが理由

なぜ、5月中がお得なのでしょうか。実は、過度な返礼品競争を規制する目的で、監督官庁である総務省が「ふるさと納税制度の見直し」を実施することになったからです。4月上旬のニュースで泉佐野市の市長さんの記者会見が取り上げられたこともあり、ご存知の方も多いかもしれません2018年9月に発表され、2019年3月26日に「改正地方税法」が成立。これによって、今年の6月以降は、ふるさと納税の指定をうけた自治体のみがふるさと納税の税控除の対象になることになるのです。

指定を受けられる自治体の条件は、

① 寄附金の募集を適正に実施する地方団体

②(①の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体

・返礼品の返礼割合を3割以下とすること

・返礼品を地場産品とすること

とされています。

制度の見直しで何が変わる?

今までは、返礼割合が寄付金額の50%を超えていても、そしてその自治体と縁もゆかりもない商品、例えばアップルウォッチやバルミューダのトースター、はたまた旅行券やギフトカードでも問題はなかったのですが、こういった返礼品は、6月以降は認められなくなります。

つまり、今までお得とされていたあの自治体の返礼品や、サイトからの手続きでAmazonギフトカードプレゼントといった特典は6月になると確実に無くなってしまうということなります。また、返礼品として使える、「地場産品」の定義も、細かく決められています。

そのため以下のような製品は地場産品と認められず、返礼品にはなりません。

  • 材料の一部は地元産。でも、地元の外で作られたデザート
  • 調味料だけが地元産。具材は地元産ではなく、しかも地元の外で加工された鍋セット
  • スチール缶の原材料となる鉄が地元製造で、そのスチール缶に入った飲料
  • 地元の茶商が監修している、地元外の会社生産・販売の抹茶ケーキ
  • 地元外で生産されたビールに、地元の会社のオリジナルステッカーを貼ったもの
  • 地元の工場で生産されたものと他県の工場で生産されたものが、全国の店舗で区別なく流通しているスナック菓子
  • 一般に市販しているご当地キャラグッズをつめあわせたもの

うーん、なんだか窮屈な感じになってしまいましたね。なんとも残念です。

新制度はいつから?

でも、ちょっと待ってください。この制度が実際に運用されるのは、今年の6月から。
つまりそれ以前、そう5月末までに手続きが完了したならば、6月以降に指定を受けられなかった自治体への寄付でもふるさと納税の対象になるのです。

既に6月以降の新基準に返礼品をあわせている自治体も多いのですが、まだギリギリまで粘っているという自治体もあり、それを考えると狙い目は今のうちかもしれません。

また、この波に乗り遅れ、6月以降にふるさと納税をする場合には、本当にその自治体がふるさと納税の指定自治体になっているか、確認を。

というのも、対象自治体の指定は、原則として1年単位で、指定対象期間は毎年10月1日からその翌年9月30日までの期間となっています(省令第1条の16第2項)。ただ、指定制度開始の今年だけは、指定対象期間が2019年6月1日から2020年9月30日までの1年4カ月間と長くなってしまいます。そのため、総務大臣が指定を受けようとする自治体について、1年4カ月の期間を指定対象期間とすることが適当でないと認める場合、ざっくりいうと、そんなに長い間指定しておいたら、なんかやらかしそうだぞと総務大臣に目をつけられてしまった自治体の場合、2019年6月1日から同年9月30日までの4カ月間の指定にする...というのです(改正省令附則第2条第2項)。つまり、6月に指定を通ったから大丈夫と思って、年末に駆け込みでふるさと納税をしたら、10月1日に指定がはずれていた!なんてことが起きてしまうかもしれません。

残念ながら応援したい自治体が指定から外れてしまった場合、今年はその自治体へのふるさと納税は諦め、別の自治体を応援したほうがいいかもしれません。

プロフィール

回遊舎(かいゆうしゃ)

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

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