東京オリンピックのボランティアが足りそう!<br>その背景に「ボランティア休暇」

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東京オリンピック・パラリンピック開催が来年に迫りました。東京オリンピック・パラリンピックを支えるボランティアの募集が2018年9月から12月にかけて行われました。(Misa)

東京オリ・パラのボランティア募集

東京オリンピック・パラリンピックのボランティアは、式典や競技運営、メディア対応、会場案内など、大会の運営に関わる「大会ボランティア」(組織委員会)と、空港や駅、観光地などで観光・交通案内を行う「都市ボランティア」(東京都)に分かれます。応募条件のハードルの高さや、欧米と比較して日本ではボランティア活動の文化が根付いていないことなどから、11万人を集めるのは難しいのではないかという見方もありました。

しかし、ふたを開けてみると、大会運営に携わる大会ボランティアに応募が偏り、都市ボランティアの募集期間が延長されるなどはあったものの、最終的には大会ボランティアは8万人募集に対して204,680人(組織委発表)、都市ボランティアでも、2万人に対して28,689人(東京都発表)の応募があり、無事に目標数を達成しました。これに2019年開催のラグビーW杯の都市ボランティア1万人が加わります。ちなみに、前回の東京オリンピック当時は市民ボランティアという概念がなかったため、東京近郊の企業に協力要請して人員を集めたそうですが、今回はその必要はなさそうですね。

ボランティア休暇制度とは

東京オリンピック・パラリンピックのボランティアは、都市ボランティア5日以上、大会ボランティア10日以上の参加が基本となり、ミーティングなどへの参加も必須となります。拘束時間の長さや頻度が、会社勤めの人にとっては高いハードルになります。こうした問題を解消するため、東京都が取り組んだのが「ボランティア休暇」の普及です。

ボランティア活動に参加する従業員の休暇取得や休職を認めるボランティア休暇制度は、企業の社会貢献への取り組みとして増えはじめ、阪神・淡路大震災後の市民ボランティアの活躍を機に広がりました。企業によって条件は異なりますが、1年以上の長期(休職)を認める会社もあります。しかし、経団連加入企業の76%がボランティア休暇・休職、表彰などの制度を導入しているのに対し、平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)では、社員数100人未満の企業の導入は2.4%に過ぎません。そこで、東京都ではボランティア休暇制度整備助成金(助成額20万円、先着500社)を給付して、普及を後押ししています。

ボランティアで得られるものも大きい

ボランティア=無報酬と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、営利目的ではないということであって、無報酬でなければいけないということではありません。ボランティアが定着した欧米諸国では、旅費交通費や実費程度の報酬を支給する形も珍しくありません。ボランティア活動の目的は金銭ではありませんが、金銭的な報酬の代わりに、活動を通じて得られる体験や人との出会いなど、得るものは多いでしょう。こうした部分が仕事に役立ったり、人生の転機となったりする可能性もあります。

社会人のボランティア活動には、企業と職場、周囲の理解が欠かせません。多くの人が気軽に参加できればベストですが、すぐには難しいのも事実です。まずは、職場の中でボランティア活動に取り組もうとする人を特別視せず、快く送り出すことから始められるといいですね。東京オリンピック・パラリンピック開催をきっかけに、日本でもボランティア文化が根づくことを期待したいものです。

原稿:Misa

ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。

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