タクシーに乗りたいとき、都市部では通りを流しているタクシーに手をあげて捕まえる、もしくはタクシー乗り場まで行けば、大抵乗車できます。また、住宅地や駅から離れた場所などでタクシーに乗りたいときは、タクシー会社に電話をかけて呼ぶというのがこれまでの常識でした。そんな常識が今、変わっているのをご存知でしょうか?
運が良ければ0円でタクシーに?!
2018年12月にどん兵衛ラッピングの0円タクシーが運行し、無料で乗れちゃう0円タクシーが一躍有名になりました。ニュースなどでも取り上げられていたのでご存知の方も多いことでしょう。これは、タクシー配車アプリ「MOV」のキャンペーン。企業とコラボした広告付きのタクシーに限り、乗車料金が無料になるという仕組みです。
このキャンペーンに参加したくて、思わずアプリをダウンロードした、という人も多いのではないでしょうか。そう、0円タクシーのキャンペーンが話題となり、今、タクシー配車アプリが注目を集めています。
タクシーアプリとは、今自分のいる場所にタクシーを簡単に呼ぶことができるもの。もう道端でイライラしながらタクシーを見つけなくてもいいのです。
どんなタクシーアプリがある?
現在、タクシーを呼べるアプリには、各タクシー会社が個別で運営しているアプリ、提携しているタクシー事業者の一番近くにいるタクシーを呼べるアプリなど様々なタイプがあります。
・絶対に捕まえたいときに
まず、挙げられるのが、日本初のタクシー配車アプリ「JapanTaxi」。2011年12月に「全国タクシー」としてサービスを開始、2018年9月12日(水)より「JapanTaxi(ジャパンタクシー)」にアプリ名を変更しています。その名の通り、日本最大級のタクシー配車アプリです。提携事業者数は883、タクシー台数は61991台。47都道府県をあまねくカバーしています。しかも混み合う時間帯や悪天候などでタクシーが捕まりにくいときに、ネット決済を通じて980円を追加支払いすると、別エリアのタクシーを予約することができる機能があり、絶対に捕まえたいときはコレ!と噂です。とはいえ、別エリアのタクシーでも捕まえられないこともありますが、その場合、980円はかかりません。
https://japantaxi.jp/
・地図が読めなくても大丈夫
タクシーを呼ぶとポイントが貯まるのが「タクシーチャンピオン」。こちらも配車カバー率はほぼ100%。というのも、アプリを起動すると、GPS機能を使って、現在いる場所を特定し、その最寄りのタクシー会社を自動的にピックアップ。画面内の丸い緑色のボタンを押すと、最寄りのタクシー会社に電話をかけてくれ、繋がったら通話で配車依頼するだけ。地図上で自分の位置を指定したりするのが苦手な人にはもってこいです。
http://taxichampion.jp/
・世界を股にかけるなら
日本ではなく、主に海外で使いたいなら、「Uber」でしょう。日本国内では東京、横浜、名古屋、京都、京丹後、大阪、神戸、淡路島、福岡で使えます。海外旅行においては、流しのタクシーを拾うより、タクシーアプリを利用することで、より安心安全なタクシー利用となる場合もあるので、まずは国内でアプリを使い慣れておくのもひとつの手です。
https://www.uber.com/jp/ja/
・次の0円タクシーは?
どん兵衛ラッピングの0円タクシーで一躍有名になったのが、「MOV」。現在、神奈川県内、東京23区および武蔵野市、三鷹市(一部地域を除く)でサービスを展開しています。アプリの地図上でタクシーが動いているのが見えるので、近くにどのくらいタクシーがいるのかを視覚的に確認できます。
なお、0円タクシーを実施したPROJECT MOVでは、タクシー事業者、コラボレーション企業と共に全く新しい発想で移動の「ちょっと先の未来」を実現し続けるそうなので、またビックリするようなことが期待できるかも。
https://m-o-v.jp/
・金曜日は初乗り料金が無料だった?
大阪エリアで2018年9月27日にカットオーバーした配車アプリ「DiDi」は、11月に金・土曜日の初乗り分の料金が無料になるキャンペーンを行っていました。そして12月からはキャンペーン期間中の金曜日にアプリを利用してタクシーに乗車すると1日5回まで初乗り料金相当(680円)が無料となるサービスを実施していました。
残念ながら2019年1月11日(金)をもって金曜日初乗り無料キャンペーンは終了してしまいましたが、また今後のキャンペーン展開がありそう。引き続き要チェックが必要ですね。
https://didimobility.co.jp/
・車内で広告を見るだけで移動料金が無料?
また、福岡では、2019年3月カットオーバー予定の新サービス「nommoc(ノモック)」に注目。「移動を無料に」というキャッチコピーの下、スマートフォンアプリで配車して、目的地まで無料で乗れるサービスの開始が予定されています。まだ2019年3月のサービス開始を目指し、開発が始まったとのことなので詳細はわかりませんが、ユーザーが性別と年齢を登録することで、車内に乗客をターゲットにした広告が流れます。さらに、ユーザーの嗜好や過去の行き先データが蓄積されるため、スポンサーが効率よく広告を流すことができるようになります。つまり、乗客の方も、AIによって分析されたデータによって自分が欲しい情報をピンポイントに受け取ることができ、オススメの場所や行き先についても新しい提案を受けることができ、スポンサーも、広告を見せたい相手にピンポイントで広告できるという仕組みになるそうです。ありそうでなかった画期的な新サービス。福岡から東京・大阪、将来的にはアジア展開も視野に入れているとか。楽しみですね。
https://nommoc.jp/
・日本国内だけでなく台湾でも使える
アジアと言えば、台湾のタクシーを日本のタクシー会社のアプリで呼べることをご存知でしょうか(もちろん台湾にいるとき限定ですが)。
大和自動車交通と台湾大車隊の提携で、それぞれの配車アプリが日本と台湾でそのまま利用できるようになっているのです。台湾大車隊の配車アプリ「55688」の利用者は、訪日した際の成田・羽田空港からの大和タクシーの送迎サービスを事前予約できるほか、日本国内でのタクシー即時配車サービスをアプリから依頼することができます。同様に、大和タクシーの配車アプリを使っている日本の利用者は、台湾へ行った際に、台湾大車隊の配車サービスを受けられます。
台北市内なら、どこでも大抵は流しのタクシーがいて、すぐに捕まえられるので、そこまでアプリの必要性を感じないと思われますが、ちょっとはずれの方にあるお店に行った帰りや、夜中にスーパーでうっかり大量買いした後にホテルまでタクシーを使いたいというようなときには便利。しかも行き先もアプリに指定できるので、言葉が通じなくても大丈夫。流しのタクシーが少ない、台中や台南ではこのアプリ、大活躍しますよ。
https://www.daiwaj.com/
・迎車料金を払わないで済む
東京23区・武蔵野市・三鷹市を営業区域とする国際自動車グループ(kmタクシー)を呼ぶためのアプリが「フルクル」。世界初の、スマホを振ってタクシーを呼ぶアプリです。自分の周辺半径500m以内にいる空車のkmタクシーを、スマホを振ることで呼び寄せることが可能。しかも、特定の1台を呼ぶのではなく、周辺の空車タクシーに、「ここに乗りたい人がいるよ」と知らしめて、ゆるーく空車タクシーを呼び寄せるもの。なので、先に来た別の会社のタクシーに乗車しても怒られません。逆に、タクシーが来なくても怒らないでください。フルクルは、流しのタクシーを捕まえるのと同じ感覚。でもその分いいことがあります。迎車料金は不要なんです。ただし厳密に言うと、タクシー配車アプリではないので、早く確実に乗りたいという時には向いていません。
https://www.fulcul.com/
ここでご紹介した以外にも、多種多様なタクシーアプリがあります。でも、現時点ではどれを使えばいいか悩んでいるうちに面倒になって、それならタクシー乗り場で乗車する、流しのタクシーを拾う、電話番号を登録してあるタクシー会社に電話して呼んでしまえという人の方が多いかもしれません。しかしアプリの使い方やキャンペーン次第では、便利なだけでなく、普通に乗るよりもぐっとお得にすることが可能。
もはやタクシーアプリは「当たり前」の世界です。キャンペーンをきっかけに、そろそろタクシーアプリデビューしてみてはいかがでしょうか。
プロフィール
回遊舎(かいゆうしゃ)
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。
近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」、「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。