映画「ボヘミアンラプソディ」が若年層に人気--<br>

映画「ボヘミアンラプソディ」が若年層に人気--<br>"自分らしく生きる"とは何か!?

伝説のバンド「クイーン」のリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生き様を描いた映画「ボヘミアンラプソディ」が異例のヒットとなっています。12月6日放映の「NHK クローズアップ現代+」によると、公開から右肩上がりで観客数が増え、リアルタイムに「クイーン」の音楽を聴いていた「クイーン」世代以外にも、若年層から多くの支持を得ているということです。なぜなのでしょうか。

「突破力」で既成概念を打ち破る

フレディは、当時イギリス領だった、タンザニアにあるザンジバル島のストーン・タウンで生まれ、インドで幼少期を過ごしました。1963年にザンジバルに戻り家族と一緒に暮らし始めましたが、その翌年ザンジバル革命が起こり、イングランドのミドルセックス州フェルサムに移り住みました。

その後、空港勤務などを経て、1970年4月に運命の日が訪れます。ギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラーが所属するバンド、スマイルに加入したのです。スマイルは、フレディの提案した「クイーン」を新たなバンド名とし、新たな出発をします。

ここから、「クイーン」はヒットを飛ばし成功への道をたどり始めます。映画のタイトルにもなっている「ボヘミアンラプソディ」では、ロックミュージックにオペラを導入し、楽曲の時間も約6分。ラジオでかけられる楽曲は1曲せいぜい3分だという既成概念も打ち破り、大ヒットします。

フレディと「クイーン」の生き様が問う"自分らしく生きる"とは何か!?

「クローズアップ現代+」によると、若い世代には、この部分が、フレディと「クイーン」の生き様が「信念を貫く」箇所として、印象に残るようです。若い世代にとっても、現実の社会で「信念を貫く」難しさは十分知っています。そこで「自分らしく」「突破力」を持って生き抜くフレディの生き様が輝いて見えるのではないでしょうか。

一方、音楽的な成功とは裏腹に、フレディの私生活は破綻し始めます。メイの紹介で知り合ったメアリーとは破局し、自暴自棄な生活に陥ります。フレディの「孤独」は、信頼していた人々の裏切りによって加速します。ここに若い人は、現代の「孤独」、自らの「孤独」と重ね合わせるのではないでしょうか。

メールやチャットやSNSでつながっているつもりでも、会社や家庭での人間関係の希薄さに「孤独」を感じている若い世代は多いのではないでしょうか。そうした若い世代にとって、フレディの「孤独」は、共感できるものかもしれません。

フレディ自身の言動がバンドを崩壊寸前に陥らせる中、20世紀最大の音楽イベント「ライブ・エイド」出演の話が持ちかかります。そこで、フレディは、「クイーン」は自らの家族であったことを悟ってメンバーと和解、永遠に語り継がれるライブに臨みます。このラスト21分で観客の多くが、「クイーン」が「家族」であること、自暴自棄に陥っていたフレディを受け入れたフレディとメンバーとの絆に、涙するのです。

「ライブ・エイド」のシーンは圧巻です。涙なしには観られなかったという人は多いでしょう。周知の通り、1991年11月24日に、フレディは死去しました。45歳という若さでした。映画「ボヘミアンラプソディ」は、孤独に悩みながらも、多くの感動的な楽曲を突破力で生み出し、「クイーン」という家族とともに生きたフレディの生き様を、余すところなく伝える名作です。ぜひ、より多くの方に観てほしいと願わずにはいられません。

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