「STOP!セクハラ」女性社労士監修セクハラ対策講座<br>第3回 「おさえておきたいセクハラ対策」編

「STOP!セクハラ」女性社労士監修セクハラ対策講座<br>第3回 「おさえておきたいセクハラ対策」編

3回にわたってお伝えするセクハラ講座も、いよいよ最終回です。今回は、セクハラを行っている当人にセクハラをしている自覚のないパターンの場合、どのようにして切り抜けるのか、その対策法をお伝えしていきたいと思います。

■方法はひとつじゃない!意思表示の仕方

「褒めたつもりだった」、「言い合える仲だと思っていた」。 セクハラと言われるまで、"セクハラをした"という自覚がない人は少なくありません。こちらが嫌な顔をしていても、相手には全く伝わっていないケースがあるのです。

厚生労働省は、不快に感じた場合に、相手に対して明確な意思表示をするよう呼びかけています。意思表示がないと、不快な思いをしていることに気づかれなかったり、"この人は大丈夫なんだ"と相手に誤解を与え、言動がエスカレートしてしまう可能性があります。

しかし、相手が上司や先輩となれば、仕事の立場上、"嫌だ"という意思を伝えることに抵抗があるかと思います。また、お酒の席などの楽しい場面であれば、場の空気を壊さないよう我慢してしまうこともあるでしょう。

上司のように、はっきりと意思を伝えるのが難しい相手の場合は、一度、ソフトな表現で伝えてみてください。「その話、得意じゃないんです...」「パスさせてください」などとさりげなく伝えておけば、相手がよほど鈍感なタイプでない限り、その意思は伝わります。

また、シチュエーションの問題で意思表示をためらってしまう場合は、自分から思い切って話題を変えてしまうのもひとつの手です。特に男性は、自分の興味のある話になると熱心に語り出す傾向があるので、嫌な話題だなと感じたら、相手が興味ある話を振ってみましょう。政治やスポーツなど、普段から相手がどのようなことに興味を持っているのか観察しておくと、いざという時に役に立ちます。個人的な見解ですが、相手が年配の男性である場合、"健康"に関する話題がおすすめです。

■ひとりで悩まず相談を

自分は不快に感じていても「もしかして自意識過剰?」と悩んでしまう場合もあるかと思います。そのような時は、まず信頼できる先輩や同僚に相談してみると良いでしょう。「私もそれは嫌だな」など、第三者の目線から意見をもらえるだけでなく、再び不快に感じる場面があった際、それを回避する手助けをしてもらえることもあります。

また、男女雇用機会均等法では、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止のため、事業主に対して、セクハラ相談窓口の設置を義務付けています。ハラスメントは、個人の問題ではなく会社の問題なので、ひとりで抱え込まずに、会社のサポートを活用するようにしてください。もし、社内の人に知られたくないなど、内部への相談が難しい場合は、都道府県労働局など外部の機関を利用するのも有効です。

■最後に

セクハラは、個人の尊厳を傷つける社会的に許されない行為であり、働くうえでその能力を発揮することの妨げにもなる行為です。セクハラの被害に遭った場合に対策をするのはもちろんのこと、自分自身が"する側"に陥ってしまうことのないよう、セクハラについての理解を深めることも重要です。この記事が皆さんのお役に立てることを願っています。

プロフィール

齋藤 誠子

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アウトソーシング事業部所属。
下町生まれ、下町育ち。大学卒業後に就職した街の法律事務所で、労働問題に触れたことがきっかけとなり、社会保険労務士に。上場企業の人事対応から、社員との一対一のやりとりまで、多種多様なクライアントの社会保険手続きを担当している。
著名人を招いて開催する、人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」の企画・運営にも携わり、企業に繋がりの場を提供、また、自身の活発なコミュニケーションの場としている。
その親しまれやすいキャラクターを活かし、初めての方にも法律を理解してもらえるよう、わかりやすく伝えることに力を注いでいる。目指すは、「商店街のお肉屋さんのような社労士」。

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