パワハラで困っている人は都道府県労働局に相談を!<br>「個別労働紛争解決制度」が使えます!

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一般企業に留まらず、スポーツ、アイドルの世界にまで広がっているパワーハラスメント。パワハラが原因とみられる自殺報道が相次ぎ、ドラマのテーマにも取り上げられるほどの社会問題となっています。ではもし自分が被害を受けたらどうしたらいいのでしょうか。「裁判はさすがにちょっと...」という人にこそぜひ知ってほしいのが、職場のトラブル解決をサポートしてくれる国の「個別労働紛争解決制度」です。

都道府県労働局が設ける職場トラブル解決のセーフティネット

個別労働紛争解決制度は、解雇・労働条件の引き下げ・ハラスメントなどの職場トラブルを迅速に解決するために都道府県の労働局が無料で行っている支援サービスです。具体的な支援方法には、(1)総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談、(2)都道府県労働局長による助言、(3)紛争調整委員会によるあっせんの3つの制度があります。制度に関する問い合わせや申し込みは、労働局や労働基準監督署などに設けられている総合労働相談コーナーで受け付けています。

(※総合労働相談コーナー
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html)

(1)総合労働相談における情報提供・相談

「総合労働相談コーナー」では、職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供をワンストップで行っています。個別労働紛争の多くは、当事者が法令を知らなかったり、誤解していたりすることにより生じていることから、労働問題に関する情報を入手したり、専門家に相談したりすることで、紛争の未然防止や早期解決に繋がります。相談は相談者のプライバシーの保護に配慮して行われます。相談内容によっては女性相談員を希望することもできます。紛争解決援助の対象となる事案と認められれば、都道府県労働局長による助言あるいはあっせんへと移行できます。

(2)都道府県労働局長による助言

都道府県労働局長による助言・指導を希望する場合はその申出を行います。申出を受けた都道府県労働局長は、紛争当事者に対し、紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示すことによって、紛争当事者による自主的な解決を促進します。助言・指導で解決しない場合は、あっせん制度に移行できます。なおこの制度は、当事者間の話し合いによる自主的解決を促すものであり、当事者に何らかの措置を強制するものではありません。

(3)紛争調整委員会によるあっせん

総合労働相談コーナーでの相談や都道府県労働局長による助言・指導で問題が解決しない場合は、あっせんの申請を行います。都道府県労働局長が申請を受理すると、弁護士・大学教授・社会保険労務士など労働問題の専門家によって組織された「紛争調整委員会」が、双方の主張の要点を確かめ、調整を行い、話し合いを促進することで、紛争解決を図ります。あっせんの手続きは非公開で行われ、当事者のプライバシーが保護されます。

個別労働紛争相談トップは「いじめ・嫌がらせ」

具体的にはどんな相談が多いのでしょうか。厚生労働省がまとめた2017年度の統計によると、総合労働相談件数は約110万件で、そのうち法制度の問い合わせが約70万件、労働基準法等の違反の疑いがあり、労働基準監督署や公共職業安定所などへの取次ぎしたものは約20万件、民事上の個別労働紛争相談件数は約25万件でした。

個別労働紛争相談件数で一番多かったのが「いじめ、嫌がらせ」(23.6%)で、ここからもパワハラが身近な問題として存在していることがうかがえます。そのほかでも「自己都合退職」(12.8%)、「解雇」(10.9%)、「労働条件の引き下げ」(8.5%)、「退職勧奨」(6.8%)などが上位を占めました。なお、個別労働紛争の相談者の就労形態別の内訳は、正社員が約48%、短時間労働者が約14%、有期雇用労働者が約12%、派遣労働者が約5%となっています。

厚生労働省のホームページには、同制度についての説明のほか、パワハラや解雇などのトラブルに対する具体的な解決事例も掲載されています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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