「STOP!セクハラ」女性社労士監修セクハラ対策講座<br>第1回 基礎知識編

「STOP!セクハラ」女性社労士監修セクハラ対策講座<br>第1回 基礎知識編

皆さんは、普段働いているなかで、「これってセクハラ?」と思う場面に遭遇したことはあるでしょうか。言葉は知っていても、実際にどこからがセクハラなのか、その境界線は曖昧なところが多いと思います。今回は、男女雇用機会均等法に定義される「職場におけるセクシュアルハラスメント」について、働く女子がおさえておきたいポイントを解説していきたいと思います。

■そもそもセクハラって?

まず、男女雇用機会均等法(以下、均等法)では、セクハラの定義を、「対価型セクシュアルハラスメント」と「環境型セクシュアルハラスメント」の2つのタイプに分類しています。

「対価型セクシュアルハラスメント」とは、職務上の地位を利用しておこなわれるセクハラで、職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けることをいいます。典型例は、性的な関係を求められて断ったらクビにされた、身体を触られて拒否したら部署を異動させられた、などです。

「環境型セクシュアルハラスメント」とは、性的な言動で周囲を不快にさせるセクハラで、その行為が行われることにより、職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じることをいいます。典型例は、胸やウエストのサイズをしつこく聞かれたため、仕事へのモチベーションが下がった、私生活に関する性的な噂を流されて業務に集中できなくなった、などがあります。

セクハラは、正社員に限らず、パート、契約社員など、どのような身分であっても、上記の行為が認められれば、セクハラに該当します。

■オフィスだけじゃない!こんな場所でもセクハラに該当します

では、「どこ」で受けたらセクハラになるのでしょうか。均等法では、業務を遂行している場所であれば、「通常就業している場所」に限られない、としています。それは、会社のオフィスだけではなく、例えば、取引先の事務所や出張先、外回りに使用する車の中、といったような場所も含まれるということです。業務時間外に参加した飲み会も、職務との関連性や、参加者、また、参加が強制的か任意か、などによって判断が分かれるものの、そこで行為を受ければ、セクハラに該当する可能性が十分にあります。

そのため、セクハラの加害者は、上司や同僚に限られず、取引先や顧客のほか、女性から女性、女性から男性などのケースであってもなり得るのです。

■不快に思うかどうかが重要!セクハラのボーダーライン

セクハラは、身体を触られた!など、明らかなものでない限り、その判断は難しいものであると考えられます。自分は不快だと感じていても、他の人にとっては普通のことなのかもしれない、と頭を悩ませる方もいることでしょう。

均等法では、セクハラの判断基準について、行為がおこなわれたシチュエーションや頻度など、一定の客観性を必要とするとしながらも、受け手側の気持ちを重視しています。「不快です」「やめてください」などと、はっきり抗議しているのにも関わらず放置されていた場合、働く環境が害されていると判断し、セクハラに該当しうるとしています。

このように、意思表示があったかどうかで、セクハラの判断が分かれることもありますので、言動や行動に対して、「苦痛だな」と感じているような場合には、言葉に出すことも必要です。

以上、男女雇用機会均等法に示されるセクハラの定義をご紹介しました。次回は、身近なシチュエーションをもとに、"どんな場面からセクハラが生まれるのか"、その具体的をご紹介していきます。

プロフィール

齋藤 誠子

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アウトソーシング事業部所属。
下町生まれ、下町育ち。大学卒業後に就職した街の法律事務所で、労働問題に触れたことがきっかけとなり、社会保険労務士に。上場企業の人事対応から、社員との一対一のやりとりまで、多種多様なクライアントの社会保険手続きを担当している。
著名人を招いて開催する、人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」の企画・運営にも携わり、企業に繋がりの場を提供、また、自身の活発なコミュニケーションの場としている。
その親しまれやすいキャラクターを活かし、初めての方にも法律を理解してもらえるよう、わかりやすく伝えることに力を注いでいる。目指すは、「商店街のお肉屋さんのような社労士」。

この記事をシェアしよう!