グーグルで学べる、マーケティングの肝

グーグルで学べる、マーケティングの肝

2020年東京オリンピックの前哨戦とも言えるアジア大会が、つい最近、インドネシアで開催された。各種目の選手の活躍により、注目を浴びた競技も多い。では、そういった各種競技の中で、今後、日本選手がもっと活躍していけるような分野は何だと考えられるだろうか?マラソン、水泳、いや、陸上といろんな意見が出るだろう。こういった疑問が生まれたときに、最適な答えを導くために必要なのが、マーケティング・スキルだと言える。マーケティングと言うと、そのようなことを仕事にしている人にしか関係がないようなことに思えるかもしれないが、全くそうではない。

水泳とバドミントン、どちらが急成長する?!

例えば、もし、あなたのクライアント企業が、これから飲食業に進出したいと考えているのですが、ラーメン屋とイタリア料理屋のどちらが良いでしょうか、と聞かれたとき、感覚的ではなく論理的な思考によって、最適な答えを提供できることにこしたことはないだろう。

そんなことは不可能なことだと思うかもしれない。ところが、Googleが無料で提供しているデータを活用すると、そうした最適な答えも、慣れれば1分程度で導くことが可能だったりする。

具体的に考えてみよう。

水泳と、バドミントンとでは、今後、どちらの方が日本として、急成長する可能性があると考えられるだろうか?

Googleは、毎月、どのようなキーワードが毎月、何回、検索されているかを、キーワードプランナーというツールを通じて、無料で公開してくれている。それによると、「水泳」は毎月数万回、「バドミントン」は数十万回検索されている。

つまり、バドミントンに関心を持っている人の数が水泳よりも10倍多いことになる。

だからといって、バドミントンが10倍可能性があるとは言えない。

なぜならば、そこには、それぞれのスポーツの分野における成熟度が考慮されていないからだ。成熟度とは、それぞれのスポーツに対して、どれだけ多くの人が関わり、より強くなるために何ができるかを貢献してきた結果の蓄積だと言える。

水泳とバドミントン、1回当たりのクリックに対して何円払って良い!?

では、そのような貢献の蓄積結果を知ることはできるのだろうか?!

実は、これも実は、Googleが無償提供してくれている、キーワードプランナーを使うと分かるのである。

Googleの大きな収益源の1つに、検索エンジンでの検索結果の最上部に広告を出せる、というサービスがある。

例えば、今、Googleで、「住宅」と検索すると、数社ほど最上部に、「広告」という形で、広告が表示されるだろう。

では、この広告は、どういう会社のものが表示されるか、お分かりだろうか?

当然のことながら、こうして、検索結果の最上部に広告として表示された場合には、非常に大きな宣伝効果があるわけなので、多くの企業がここに出したいと考える。が、そのような企業が大半であるのは言うまでもない。

そんな中、Googleは、そこに広告を出し、1回クリックしてその企業のホームページに送客した際には、1クリック当たりに対して、何円払っても良いかということを、自己申告するような入札制度を導入しているのである。

では、「バドミントン」と「水泳」とでは、こうした、1回当たりのクリックに対して、何円払って良いというようなデータが出ているのだろうか?

誌面に限りがあるので、結果をお伝えすると、「バドミントン」では約30円程度、「水泳」では、120円程度である。その差は4倍!

この差は何を意味するかというと、積極的に広告宣伝してまで、支援しようとする企業の数が、バドミントンよりも水泳の方が4倍多いということだとも言える。

Googleはマーケティングを学ぶための最高の教材

ところで、前述の通り、バドミントンは水泳よりも関心を持っている人口は10倍あると言える。ということは、バドミントンは、水泳の4×10倍=40倍ほど、まだまだ潜在的なマーケットが眠っているとも言えるのである。

これは、当社で、2005年より13年に渡り、6,000社をコンサルティング支援する過程で、このようなシンプルな計算式を通じて8割方の予測が可能であることが検証されている。

前述した通りの、ある地域で、ラーメン屋とイタリアンの、どちらに参入した方が良いかという質問を受けたとき、まさに、この方法で論理的に、どちらの方が何倍上手くいきやすいのかという予測を行うことができるのである。

強調しておきたいのは、こうしたデータが、Googleが提供しているキーワードプランナーを使うと、慣れれば1分程度で知ることができるという点だ。

直感や思いつきで、どちらが上手くいきやすいのかを予測するのではなく、Googleのデータを使ったリサーチを継続的に行うことで、マーケティングのスキルが確実に培われていくことは間違いない。

こうしたスキルを自分のものにできたら、毎日のビジネスはきっと、心躍るものになるのではないだろうか。

まさに、Googleはマーケティングを学ぶための最高の教材と言えるのではないか。

プロフィール

中山 匡(なかやま ただし)

栃木県生まれ。東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻修士課程修了。経営コンサルティング会社に入社後、31歳で独立。「広がる事業には、美しい方程式が秘められている」という理念のもと、ビジネスモデルのロードマップを描けるコンサルタント養成にも力を入れ、「ビジネスモデル・デザイナー認定講座」をスタート。
また、2009年より、一般社団法人一般社団法人シェア・ブレイン・ビジネスを設立。結婚・出産をきっかけに、フルタイム勤務を断念した女性を在宅勤務スタイルで起業家とつなぐ「在宅秘書サービス」や「シェア秘書サービス」を立ち上げる。現在、150社以上に導入。1,500名以上の秘書が登録。

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