社会人でも気軽に参加可能、<br>海外支援ボランティアのいろいろ

社会人でも気軽に参加可能、<br>海外支援ボランティアのいろいろ

社会人として働いている中、当然会社への貢献を求められる中、何かへの貢献という意味で、自らの幅を広げられる体験がある。それがボランティアだ。ボランティアというと、小難しいもの、少し敷居が高いものと感じられるかもしれない。だが、比較的手軽に、ボランティア、しかも海外支援ボランティアができる方法がある。今回は2つの海外支援ボランティアを紹介したい。

葉田甲太氏の意志を引き継ぎ、グラフィス小・中学校を支援

まず紹介するのが、学生ボランティア団体の『Michiiii(ミチ)』。「Michiiii(ミチ)」は、2011年に東映から映画化された『僕たちは世界を変えることができない』の原作者である葉田甲太氏に意志を託され、2012年1月に創設された。創設目的は、2006年に葉田甲太氏とその友人達によって建てられたグラフィス小・中学校(カンボジア王国・コンポントム州・ストーン郡・ベン村)を継続的に支援することだ。

団体名である「Michiiii」の由来は、支援先のカンボジアへと続く"道"、"未知"への可能性への挑戦、笑顔で〝満ち〟溢れるようにという想いから来ている。"i"が4つあるのは"愛"がたくさん、幸せの"し(四)"という意味を込めている。「Michiiii」をどう読んだらいいか分からない人もいるかもしれないが、道と同じ発音の「ミチ」と読む。

グラフィス中学校

街頭での募金活動、チャリティイベント、年2回の「スタディーツアー」を実施

同団体で活動する学習院大学の河野理彩さんによると、河野さんが「Michiiii(ミチ)」に入ったのは、普通の大学生が入る楽しい系のサークルだけでなく、高校生の時から国際支援などの国際的な活動をしたいと思っていたからだという。「昔から地雷などに苦しむカンボジアという国がニュースなど気になっていて何か支援できないかと思っていたのと、子どもが好きなので小中学校を支援していると聞いて、『ここだ!』という決めて入りました」(河野さん)。

学習院大学の河野理彩さん

"生"の経験を通してカンボジアの現状を肌で感じ取る

これまで「Michiiii(ミチ)」では、グラフィス小・中学校の遊具、溜池、パソコンとカーバッテリーの設置、電力の供給、教室・グラウンドの建設を行ってきた。現在グラフィス小・中学校には7つの教室があり、カンボジア語、数学、理科、社会などの12科目を先生達が教えている。

「Michiiii(ミチ)」では、これらの活動の資金を集めるため、街頭での募金活動、チャリティイベントなどを行っているほか、年2回、春と夏に約10日間の「スタディーツアー」という活動も行っている。支援先のグラフィス小・中学校の子どもたちとの様々なアクティビティ、スラム街、孤児院などを訪問するといった"生"の経験を通してカンボジアの現状を肌で感じ取っているという。

カンボジアの子どもたち

生徒数が大幅に増加、総額で180万円近くの費用が必要

ネットやテレビから流れてくる情報だけではカンボジアに住んでいる方たちの目線に立っての活動はできないので、実際に現地に行って自分の目で見て感じることで、カンボジアの現状を理解し今後の活動に繋げていくために「スタディーツアー」を行っているが、河野さんによると、実は、支援先のグラフィス小・中学校では、児童・生徒が毎年120人ほど増えているという。

グラフィス小・中学校の設備も子どもの数に対応できなくなっていて、増築が必要になっている。だが、学校の増築には、総額で180万円近くの費用が掛かる。

溢れた子供たちが使ってる簡易教室

グラフィス中学校の増改築の費用を集めるため「クラウドファンディング」を実施

そのために、「Michiiii(ミチ)」では、グラフィス小・中学校の増改築の費用として、100万円を目標に、「クラウドファンディング」を4月27日から6月27日まで実施。「学生にとって、100万円は大変なお金です。街頭募金で集まるのは月3~4万円なので、なかなかまとまったお金を集めることが難しく、ぜひ社会人の方に協力していただきたいと思っています」(河野さん)。

クラウドファンディングは、インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指すが、「私達のサークルは約40人という小さな集まりですので、ぜひ協力していただきたく思っています」(同)。以下がクラウドファンディングのサイトとなっている。
https://readyfor.jp/projects/15422

「Michiiii(ミチ)」のクラウドファンディングのサイト(2018年5月7日 14時35分時点)

チャリティ運動会「狂喜祭」なども実施

資金を提供していただいた人には、カンボジアでの写真や、手紙、動画などが贈られる。「社会人の皆さんにも、カンボジアという国とそこで暮らす子どもたち、さらには海外ボランティアに、関心を持っていただけたらと思っています」。

「Michiiii(ミチ)」はそのほかにも、社会人が参加できるボランティアとして、チャリティ運動会「狂喜祭」なども行っている。

チャリティ運動会「狂喜祭」

「旅するように働く」をテーマにカンボジアの教育問題に取り組む「HERO」

一方、2011年2月に設立されたNPO法人HEROも、同様にカンボジア支援を行っている。代表の橋本博司さんが、20才の時に一人旅で訪れたカンボジアで子どもたちに囲まれ「学校の先生が戦争で殺されたから勉強を教えて欲しい」とせがまれたことが設立のきっかけとなったという。

橋本さんは、教育を受けることができない、世界の現実を目の当たりにし、そこから途上国で活動することを決意。 「どんな場所で生まれても、自分の可能性に挑戦できる社会を作りたい。可能性0%を1%に変えること、それが私たちのミッションです」(HEROホームページより)。橋本さんは法政大学経済学部卒業。 「旅するように働く」を人生のテーマにカンボジアの教育問題に取り組んでいる。

「HERO」ホームページ画像

社会人でも参加できるスタディーツアーを実施

具体的には、学校建設、スタディツアー、ビジネスインターンシップ、マイクロ養豚バンク、ソーシャルクリニックなどを行っている。HEROが建設している学校は子ども達が無料で通えるカンボジアの公立の学校。 建設する前に各地域の教育省の担当者と共に現地調査に行き、校長先生との 面談や村の子ども達の増加率などを考慮したうえで建設する箇所を決めていく。 公立なので、教員学校を卒業したカンボジア人の先生が働いてくれており、 学校の運営費や先生の人件費はカンボジアの政府が賄ってくれている。 建設後にはスタディーツアーなどで定期的に学校に訪問して運動会や化学 実験教室などを開催して学校の運営状況などを確認しているという。

スタディツアーは、HEROの新しい学校の建設作業や、既存の学校で運動会、音楽教室、科学実験教室など、観光ツアーではいかないような村へ訪問しカンボジアの小学校で子ども達と遊ぶツアーとなっている。2018年の社会人向けスタディツアーは以下の日程で行われる。

2018年9月14日(金)~2018年9月17日(月)

また、マイクロ養豚バンクは、1日1ドル以下で生活している貧困家庭に、子豚・豚小屋・エサの養豚セットを貸し出し、 養ってもらい、業者に売却することで雇用の創出と貧困からの脱却を同時に解決できるソーシャルビジネスとなっている。現在トライアル実施中で、1家庭の支援1口10万円からスポンサーを募集中している。

いかがだろうか。

学生時代には勉学やサークル活動で忙しかったという人にも、学生が中心となったこうした団体に関与することで、「社会貢献」「海外支援」が可能だ。社会人としての幅を広げたいという方は、こうした活動に参加することを検討してもいいかもしれない。

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