ビジネスにおいて、大切なお客さまや職場の人間関係が悪くなったり、ひいては仕事に行き違いが生じたりするのは、多くの場合、不用意な言葉遣いが原因です。聞き手の感情を害さない、話し手の思いやりが自然と伝わるような、好感を持たれる言葉遣いの3つのポイントをご紹介します。
ポイントその1:「クッション言葉」を使いましょう
「クッション言葉」とは、クッションのように衝撃を和らげるための言葉です。頭につけることで次に続く言い回しに気配りを感じさせることができます。クッション言葉はたくさんありますが、まずは、汎用性の高い「恐れ入りますが」と「失礼ですが」の2つを使えるようにしましょう。
■クッション言葉の【例】
お断り | 「恐れ入りますが」 、「申し訳ございませんが」、 「あいにくですが」、 「せっかくですが」、「誠に申し上げにくいのですが」 |
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依頼 | 「恐れ入りますが」、「失礼ですが」、「お手数ですが」 |
「お忙しいところ」・「お取り込みのところ」・「お急ぎのところ」 +「恐れ入りますが」 |
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質問 | 「恐れ入りますが」、「失礼ですが」、「お差し支えなければ」 |
提案 | 「お差し支えなければ」、「よろしければ」 |
ポイントその2:「依頼形」で伝えましょう
人は指示や命令されたことには簡単に従いたくないものですが、お願いされたことには「してあげようかな」と考えるものです。「依頼形」で伝えることで、相手は心理的に優位に立ち、すんなりと受け入れてもらえる可能性が高くなります。
■依頼形の【例】
「書いてください」 → 「お書きいただけますでしょうか」や「ご記入をお願いできますか」など
場合によっては、「理由」や受け入れることの「メリット」を添えましょう。
「お待ちください」 → 「アツアツ揚げたてをご用意いたしますので、お待ちいただけますか」
ポイントその3:「肯定表現」に替えましょう
否定表現はインパクトが大きいもの。否定的なことを伝える場合であっても、肯定表現にすることで前向きに捉えてもらうことができます。ただし、否定的なことを伝えることに変わりはないため、必ず、代わりの案や提案をするようにします。相手から聞かれる前に、がポイントです。
■依頼形の【例】
「わかりません」 → 「わかりかねます。代わりにわかる者を呼んでまいります」
「ありません」 → 「切らしております。他のお色目ではいかがでしょうか」
「17時まで戻りません」 → 「17時には戻りますので、お待ちいただけますか」
他にも、二重否定は肯定になります。以下の(1)と(2)は同じことを伝えていますが、印象が異なります。合わせて確認しておきましょう。
(1)「印鑑がないとお手続きできません」
否定表現のほうが印象に残りやすいので、注意喚起の際はこちらでもいいでしょう。
(2)「印鑑があるとお手続きできます」
前向きに捉えやすい、優しい表現です。
ポイント3つを盛り込んでみましょう
「こちらではわかりません」
↓
「申し訳ございませんが、(クッション言葉)こちらではわかりかねます。(肯定表現)
お問い合わせ先をお調べいたしますので、(代替案)恐れ入りますが、(クッション言葉)
少々お待ちいただけますでしょうか(依頼形)」
いかがでしょうか?人は感情を持った生き物です。せっかくの素晴らしい提案や説明も「頭ではわかるが、言い方が気に入らない」と相手の心で受け入れられなければ、成果にはつながりません。たった3つのポイントを押さえるだけで、ぐっと好感度はアップします! 早速、取り入れてみてくださいね。