営業の仕事には誇りを持って取り組んでいるのに、「向いていないのではないか」と感じたり、先輩・上司から「営業に向いていない」と言われて、仕事を辞めたい...と悩んでいませんか?本当の向き不向きを判断し、今後の仕事に生かして欲しい!向き不向きの3つのチェックポイントと、転職する場合のおすすめの職種を紹介します。
「向いていない」は思い込み?本質を見極める方法
営業の仕事をしていて、思うように成果が出なかったり、上司に怒られたりしたときに「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と思ったことがある方もいることでしょう。しかし、それは一時の「思い込み」によるものなのでしょうか?それとも本当に向いていないのでしょうか?営業の仕事で悩んでいる方は、ピラミッドストラクチャーを使い、本当の「理由」を探してみませんか?
ピラミッドストラクチャーとは、ビジネスシーンにおいて良く使用される、自分の主張とその根拠を図で示す方法です。図を見ながら、ピラミッドストラクチャーを実践してみましょう。
(1)まず、課題として①に、自分の主張やその根拠となる事実を入れ込みます。今回の課題は「営業に向いていないのか?」ということになりますね。その後、②にサポートメッセージとして、実際の情報なども加えましょう。たとえば、「営業をするのが苦痛」「社内でも営業成績が上がらない」などが主張や実際の情報になります。
(2)③のキーラインメッセージには、①②に挙げた主張や情報から、どのようなことが言えるのか、考えられるのかという理由を論理的にとらえ、「何が言えるのか」を書いてみましょう。たとえば、「ノルマがあるから」や「実力主義は向かない気がするから」などのメッセージが入るかもしれません。
(3)キーラインメッセージから何が言えるのかを考え、抽出したメッセージが④のメインメッセージとなります。前述の例で言うならば、「ノルマさえなければ楽になる」や「実力主義ではない職種の方が向いている」というようになるかもしれません。
(4)ピラミッドストラクチャーでは、③~④に当てはまるメッセージが、向いていないと考える本当の理由になるといわれています。この中身を確認してみて、向かない理由が「自分の性質・性格以外」のことが現れている部分はないでしょうか?上記の例でいうと、「ノルマがあるから苦痛で、それさえなくなれば楽になる」という考えは、自分の性格以外の会社側の問題です。営業にノルマはつきものですが、ノルマがそんなに厳しくなかったり、飛びこみ営業のない会社であれば、「営業に向いていない」と感じることも少なくなるかもしれません。
このように、ピラミッドストラクチャーは、トップのメインメッセージから考えるのではなく、課題や情報、キーラインメッセージと下から上に積み上げて考えていくやり方を取ります。自分が認識していることや事実から考えていくことで、本当の意味を見失いにくいことが長所と言えるでしょう。
【会社側に問題がある例】
- ・1日中何件も電話をかける新規テレアポ
- ・目標達成を厳しく問われる社風
- ・高額な商品を無理やり売りつける営業手法を会社から強要されている
- ・顧客を金でしか見ず、契約金額が高い顧客のみ相手にする方針
- ・飛び込み営業ばかり強いる営業スタイル
- ・営業の労働時間が長すぎる
- ・新人が入社しても、先輩や同僚が何もサポートせず、質問しても真剣に教えない
「自分の性質や性格は、営業に向いていないわけでもない。しかし、現在働いている会社の営業方針や人間関係などの環境が自分に合わずに苦しい。」と感じているのなら、転職し、新しい環境の会社で働くと状況が好転することも大いにあります。性格以外の理由で「営業が向いていない」と考えるなら、思い切って環境を変えてみるのも1つの方法です。
営業に向いている・向いていないを判断する3つのポイント
営業に向いているといえば、コミュニケーション能力が高く、清潔な身だしなみや礼儀正しさなどを備えている人といわれることがあります。しかし、これだけではなく、上昇志向や実力主義などに馴染める人が、営業に向いているということも言えます。本質的な営業への向き・不向きとは一体どういうものがあるでしょうか?
(1)キャリアアップ志向がない
営業は物を売り込むというのが主な仕事なので、経験の有無や年齢のハンディーがない場合もあります。目的は、営業成績を上げることですから、成績が良ければ短期間で年収や地位が上がることもめずらしくありません。つまり、成績を上げれば上げるほど働きやすくなるのです。そのようにどんどんレベルアップをし、上昇志向が強い方なら、営業は夢のような仕事だと感じることもあるでしょう。しかし、成績を上げることに執着できず、スピード感のあるキャリアアップに喜びを感じることができない方は、向かない可能性が高いでしょう。
(2)実力主義社会になじめない
地位や年齢に関係なく自分の能力を評価されたい方は、営業に向いていると言えますが、年下に追い越されたくないと考えたり、与えられた仕事だけをやっていきたいと考える方もいるでしょう。そのようなタイプの人は、年功序列に従い、競争をせずに、堅実に働きたいという望みを持っています。このように仕事に対して、大きな冒険を望まない方は、実力主義的な考えが強い営業にはやりがいを感じられない場合が多いと言えます。
(3)変化のある仕事が苦手
人間は総じて変化に弱いといわれています。つまり、何かしらの変化があり、それに順応するまでには時間がかかるのです。また、変化という刺激はストレスにもなり得ますので、変化がきっかけで体調を崩す方もいます。しかし、営業は変化が多い仕事です。さまざまな人と会ったり、多くの場所に出かけたりする必要がありますし、給料も自分の出した成果しだいで大きく左右されます。このような変化を好まず、決められた仕事を同じ場所でコツコツと取り組みたいというタイプの方は、営業という仕事自体に苦痛を感じるかもしれません。
コミュニケーション能力や身だしなみなどは、心がけや訓練しだいで改善することも多いですが、上記のような本質的な問題が原因で苦痛を感じているのなら、本当の意味で営業に向いていないのかもしれません。
元営業職が活躍できる職種は?
営業が本質的に向かないと感じ、違う業界に転職する方もいるかと思います。しかし、営業で培った経験は、さまざまな仕事に役立つともいわれています。元営業職の活躍が期待される職種をご紹介します。
(1)コンサルタント
コンサルタントとは、さまざまな職種の専門家や経営者に対して、彼らの経営上の悩みや商品のより良い販売の仕方などをアドバイスする仕事です。相手の立場に立ち、彼らが経営する会社の理念や扱っている商品を詳細に分析し、その強みや弱みを把握したうえで、抱える課題を解決したり、サポートしたりする役割を持ちます。元営業職だった方は、コミュニケーション能力が高く、顧客の立場に立つという習慣を身に付けていることが多いものです。直接販売に携わるわけではなくても、間接的にアドバイスするコンサルタントも適任と言えるでしょう。
(2)広報・マーケティング
元営業職の方は、商品を売り込みたい会社や個人を分析し、どのようにアプローチしていけば成功するかという戦略を練りながら、仕事を進めていたことでしょう。この戦略的思考が広報・マーケティングの分野に生かされることが多いものです。多くの会社では、自社のサービスや商品を売り込むために、より良い方法を考えることのできる人材を重宝します。元営業職の方は、顧客のニーズや売り込み方法を肌で感じ体験していますので、頭の中のみで理解している場合と比べ、大きな強みを持っているといえるでしょう。また、コミュニケーション能力を生かし、商品のPR活動にも長けている点も長所となり得ます。
(3)人事業務
数えきれない人と出会ってきた元営業職の方は、初対面の人と接しただけでも相手がどのような人物かが、ある程度理解できることも多いものです。さまざまな人と会うことで、人を見る目も磨かれますし、似たような特徴を持つ人と出会うこともあるので、人の性質を見抜くことができる能力が研ぎ澄まされていくのです。そのため、会社の相性に合った人材を採用したり、社員の能力開発のために、適切な研修制度を構築したりする企業の人事業務にもふさわしいと言えそうです。
転職先に悩んでいる場合は、エージェントに相談してみるのもいいでしょう。
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営業は向き・不向きによって、そのやりがいが異なってきます。もし、営業に向いていないと思っても、環境を変えることで解決することもありますし、培った経験を他の職種で生かすことも可能です。営業を続けるにしても辞めるにしても、あなたが自分自身をしっかりと見つめ直し強みを知ることで、自分だからこそできることが多いということに気付けるはずです。その強みに目を向け、後悔のない仕事をしていきましょう。
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ライタープロフィール
久木田(くきた)みすづ 精神保健福祉士・社会福祉士
福祉系大学で心理学を専攻。
卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング、ソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。
現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。