転職を意識すると、失業保険(※)のことが気になってきますよね。でも、失業保険の制度を正しく理解している人は少ないようです。失業保険は失業中の生活を支えてくれる大切な制度なので、失業保険を上手に使って転職を成功させるためにも、制度をしっかりとチェックしておきましょう。
(※正確名称は「雇用保険」ですが、「失業保険」と呼ばれることもあるため、本記事では、「失業保険」との名称を使用させていただいております)
失業保険の給付金をもらうための条件とは
毎月の給料から失業保険の保険料が天引きされているので、仕事を辞めたら必ず失業保険の給付金をもらえると思っている人も多いのではないでしょうか。実は、保険料を払っているからといって、すべての人が失業保険の給付金をもらえるわけではありません。
【失業保険の給付金を受け取るのに必要な4つの条件】
■失業していること
■本人に働く意思があること
■本人に働く能力があること
■本人が積極的に求職活動をしていること
そのため、本人に働く意思がない場合はもちろんのこと、転職先がすでに決まっている場合も「失業」とみなされないため、失業保険の給付金は受け取れません。
参照:ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html#jukyuyoken
失業保険でもらえる金額
失業保険の給付金にはいくつかの種類があります。
■最も重要な「基本手当」
一般的に「退職したら失業保険の給付金がもらえる」といわれていますが、これは「基本手当」のことを指している場合がほとんどです。基本手当の金額は退職前の6ヵ月間の給料をもとに計算され、それまでもらっていた給料の6割~7割程度がもらえます。年齢や勤続年数によってもらえる日数や金額が細かく決められているので、事前にチェックしておくといいでしょう。
■就職先が早く決まるともらえる「再就職手当」
新しい就職先が決まったときに基本手当の受給期間が残っていたら、残りの期間に応じて「再就職手当」がもらえます。再就職手当は早く就職先が決まるほど金額がアップするので、「基本手当を全部もらわないと損をする」などと考える必要はありません。
・基本手当の所定給付日数を3分の2以上残して再就職した場合
→基本手当支給残日数の70%の額
・基本手当の所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合
→基本手当支給残日数の60%の額
※平成29年1月1日に失業保険制度が改定され、給付率が10%引き上げになりました。
※給付要件はこの他にもあります。
※失業保険の制度は頻繁に変更されるので、最新の情報をチェックしましょう。
参照:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135058.html
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/saishuushokuteate.pdf
■キャリアアップを目指す人には「教育訓練給付制度」がある
厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講すると、支払った費用の一部がもらえる「教育訓練給付制度」があります。制度の利用には一定の条件がありますが、転職をきっかけにキャリアアップを目指してみるのもいいですよ。
参照:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/kyouiku/
失業保険の手続きに必要な「離職票」
失業保険の給付は、離職票をハローワークに提出してからスタートします。離職票は退職後に郵送で送られてくることが多いので、手元に届いたら早めに手続きを進めましょう。
退職理由を会社から聞かれたとき、本当の理由が言いづらいため「自分で仕事をはじめます」「実家の仕事を手伝います」などと答えてしまうと、会社によっては離職票をなかなか発行してくれない場合があります。これは会社が嫌がらせをしているわけではなく、開業の準備期間や家業の手伝いをしている間は失業保険の給付金がもらえないので、離職票は必要ないと判断されてしまうためです。スムーズに失業保険の給付金をもらうためにも、退職理由は差し障りのない範囲で正確に伝え、「離職票をお願いします」と一言添えておきましょう。
ルール違反には重い罰則がある
失業保険は失業者の再就職をサポートするための制度なので、ルールに反していると「不正受給」とみなされ重い罰則があります。
【こんな場合は不正受給と認定されます】
■失業保険の給付金受給中、アルバイトや内職などをしたのにその事実を申告しなかった場合
■副業をしているのにその事実を申告しなかった場合
■実際にしていない求職活動を偽って申告した場合
【不正受給と認定されると......】
■その後の基本手当などが一切支給されません
■不正に受給した受給金額の返還が命ぜられます
■不正受給した金額の2倍相当額の納付が命ぜられます
失業保険の給付金をもらっている間にアルバイトなどをした場合も、一定の範囲内なら申告すれば認められます。不正を指摘されないよう、ハローワークに提出する書類には事実を正確に記入することが大切です。
失業保険の制度を正しく利用し、転職を成功に導きましょう!
参照:ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_dishonesty.html