新入社員は10年後のエース!
新入社員を、面倒のタネと思ってはいないでしょうか。まだまだ学生気分の抜けない彼らは仕事が遅く、初歩的な質問ばかり繰り返す、手間のかかる存在...。悪いところばかりが目について、足を引っ張られるのはたくさんだとばかりに距離を置いてしまいがちなあなたは...残念ながら、ビジネスマンとして大きな損をしています。
入社してすぐの頃は先輩たちの助けなしでは仕事ができない新入社員の中からも、5年後10年後には、会社を変えるほど素晴らしい人材が現れます。圧倒的な業績を上げ、会社の成長に多大な貢献をもたらすエースプレーヤー。あるいは、目立たなくても丁寧で正確な仕事ぶりで社内の信頼を一身に集める縁の下の力持ち。あなたはその時、彼らと親密な関係を築くことができているでしょうか。それとも、疎遠でしょうか。リーダー、マネージャーとして、「人を使う」役割を求められる立場になったときに、どちらが有利なのかは言うまでもありません。
本記事では、新入社員を大きく5つのタイプに分類。それぞれのタイプの見分け方と、その手なずけ方をお伝えします。新入社員のうちからしっかりとした関係作りを心がけましょう。
芸術家肌の「ブツブツくん」は褒めて伸ばす。
◆見分け方
最後列を好む。
ひとりでの作業を好む。
身なりに気をつかわず見た目は冴えない。
やたらとITにくわしい。
◆手なずけ方
仕事中は放任する。
困っていても手を貸さない。
小さい手柄も必ず褒める。
得意なことを教えてもらう。
◆ブツブツくんはこんなタイプ
コミュニケーションがヘタで、何やら独り言をつぶやきながら作業しているブツブツくん。とっつきにくい印象から、ついつい接触を避けてしまいがちです。しかし、あらゆる新入社員の中でもっとも創造性を発揮するのはこのタイプ。「孤独」を愛し、独自の思考回路を発達させた人間こそ、既存のマニュアルにはとらわれず、真新しい技術や商品を世に送り出す、スペシャリストの卵。クリエイティブな才能をいかんなく発揮し、ある分野の第一人者として社の有名人になることも少なくありません。この芸術家タイプと、仲良くならない手はないでしょう。
◆ブツブツくんは「放任×褒める」の合わせ技でキマリ!
プライドの高いブツブツくんは、型通りの干渉を嫌います。細かい指示、指導は右の耳から左の耳へ流れるのがオチ。小うるさい先輩と嫌われるくらいなら、いっそ放任しましょう。マニュアルを疑うブツブツくんは、トライアンドエラーを繰り返すうち自ら新しいマイルールを構築することで真価を発揮します。あきらかに失敗しそうな場合も、余計な手出し口出しをせずに、自らカベを乗り越えるところを見守ってあげたいものです。きっと周りの予想を超えるようなクリエイティブなアイデアを生み出してくれるはず。
そして、プライドが高いブツブツくんは褒め言葉が大好物。小さな成果でも構いません。「仕事が早くなってきたんじゃない?」、「今日は遅刻をしなかったな!」、「そのアイデア、誰も思いつかないよ!」などなど「いいね!」サインを1日に数回送っておくと、目に見えてあなたに向ける表情が柔らかくなるでしょう。
また、このタイプは他人に「自分の好きなモノ」の良さを教えるのが大好き。ITにくわしいブツブツくんなら「最新のスマートフォンではどれが良いの?」と聞いてみると、人が変わったかのようなロングトークが始まるはずです。自尊心をくすぐりつつ、信頼関係を築き上げてみてください。
のんびりマイペースな「フワフワさん」とは仕事外で。
◆見分け方
よそ見をしていることが多い。
ボーッとしている。
いつの間にか一人になっている。
歯に衣着せぬ物言いをすることがある。
◆手なずけ方
教えるより見守る。
リラックス時を狙ってコミュニケーションを取る。
マイペースさを生かす。
感情の動きに気を配る。
◆フワフワさんはこんなタイプ
いつも笑っていて人当たりが良く、のんびりした雰囲気のフワフワさん。新入社員のときにはたくさんの失敗がつきものですが、フワフワさんはいくら失敗しても全然気にしてない様子。そんなフワフワさんですが、会議の席では良い意味で「空気を読まない」発言によって議論に一石を投じたり、一度物事にのめり込むと驚くほどの集中力を発揮し、圧倒的な質・量のアウトプットを出してくれたりという、心強い一面も持ち合わせています。マイペースぶりを敬遠することなく見守って、仕事に集中できる環境づくりに協力してみましょう。
◆フワフワさんとは、ランチや飲みで関係を築こう。
フワフワさんは、ブツブツくんと違って干渉されるのを嫌うわけではありませんが、いきなり細かい指導をしようとしてもあまり意味がありません。あくまでマイペースに、自分が思う方法で進めていくからです。そこで仕事上でのやりとりはそこそこに、合間の休憩時間やランチの時間など、リラックスしているときを見計らってコミュニケーションを取ってみましょう。意外と気が合って、仕事終わりに飲みに行ったり、休日に一緒に遊ぶような関係性が築けたりするかもしれません。
良好な人間関係が基礎になれば、仕事上のアドバイスや指導にも次第に耳を傾けるようになるでしょう。そうやって本人の良さを生かしつつ正しい仕事の仕方を身に付けていくことで、将来的には持ち前のマイペースぶりを存分に発揮し、大舞台でのプレゼンや役員との折衝など、他の人なら臆してしまうような場面で堂々とした立ち振る舞いを見せてくれるでしょう。
ただ、いつものんびりしているゆえに注意したいのが、仕事が増えたり責任を負ったときの本人の感情。一見、何も気にしていないように見えるかもしれませんが、ただ感情を表に出していないだけかもしれません。不機嫌になると途端に仕事を放り出してしまうなど、マイペースならではの行動を取ってしまうことも往々にしてあるため、感情の動きには気を配り、不機嫌にならないよう話を聞いたり仕事の一部を手伝ったりしてサポートしましょう。
マジメな「ガチガチくん」は密着マークで熱血指導。
◆見分け方
控えめで目立たない。
勤務態度はマジメで雑用も厭わない。
出社、退社の時間が早い。
言葉遣いや文書の書き方が丁寧。
◆手なずけ方
仕事の指示は丁寧すぎるくらい丁寧に。
肯定的な言葉で成果を褒める。
目を見てあいさつする。
仕事帰りの飲み会には積極的に誘う。
◆ガチガチくんはこんなタイプ
「普通」を自認するガチガチくんは、先輩の指示を忠実に守り黙々と作業をこなすマジメなタイプ。細かいことも確認しないと気が済まない彼、質問が多すぎるきらいはありますが、相手の話を真剣に聞いて積極的に学ぼうという姿勢から、適応力が高く即戦力に一番近い存在と言えるでしょう。不器用で面白みに欠ける第一印象から、どうしても他の新入社員を可愛がりたくなる本能をグッと抑えて、根気強く、熱心に指導を続けることで、あなたにとって扱いやすい、腹心の後輩・部下に育ってくれることでしょう。
◆ガチガチくんには過剰に丁寧な指導で自信を植え付ける!
ガチガチくんは工夫するのが苦手なので、まずはマニュアルを熟知して、失敗の少ない最短距離を習得したがる傾向があります。そのため、仕事の指示は細かく具体的に、を心がけましょう。わざわざ言う必要がないと思えることまでも時間をかけて説明することで、ガチガチくんはあなたに信頼感を抱くはずです。
彼のマジメっぷりは、自信のなさの裏返し。丁寧な指導をすれば、必ずそれに応えて正確な仕事をこなすタイプなので、期待に応える成果を出したときにはしっかり褒めて自信を芽生えさせ、本来の実力を発揮できる準備を整えてあげましょう。
ただ、いつまでも何年もこんな懇切丁寧な指導はやってられません。「この業務は完全にマスターしたな?もうこの件で教えることはない。つぎ、行ってみよう!」といった調子で、身につけた成果は随時、確認と承認のステップを踏むようにしましょう。もともと、ミスなく確実に仕事をこなせるガチガチくんは、その都度たしかな自信をつけて、短期間のうちにテキパキくんへ進化してくれるはずです。
派手な人間関係を好まず、口下手なガチガチくんは、時に社内で孤立してしまいがち。普段から目と目を合わせてあいさつしたり、飲み会などの集まりにも積極的に誘うなど、仕事外でのコミュニケーションを活発化させることで、ともすれば陥りがちな「事務的な関係」を脱した信頼関係を構築することができるようになるでしょう。
イマドキ新入社員!「キラキラさん」には、良き相談として。
◆見分け方
ちょっとカワイイ。(と本人も自覚している。)
積極的で目立ちたがり。
先輩からも同期からも人気。
ケアレスミスが多い。
◆手なずけ方
指導するというよりも相談に乗る。
叱らない。
褒めない。
目立つ役割を与える。
◆キラキラさんはこんなタイプ
見た目も性格も愛されキャラで目立つタイプのキラキラさんは、その人気ぶりから仕事への期待もついつい大きくなってしまいがち・・・ですが、実は非常に扱いが難しいタイプであることを忘れてはいけません。
何でも器用にこなすため頼もしく感じてしまいますが、自分の意見をハッキリと主張し通す、負けず嫌いな一面をもっています。たとえ自分のミスであっても肚落ちする理由がなければ反省もできず、感情的になってしまうことも。軌道修正できなければ暴走を繰り返し、想定外のおそろしいミスを犯してしまう素質を秘めています。
ただポテンシャルは豊かで本人にも上昇志向があるため、経験を積めば将来の「憧れの先輩」に育つダイヤの原石。繰り返し痛い目を見て成長してくれるまで、苦楽をともにする覚悟が必要でしょう。
◆キラキラさんには、「褒める」をお預けにしたまま仕事を頼む。
自分の意見を強く持っているキラキラさんに、丁寧な指導は逆効果。アレコレ制約を与えるより、まず一度やらせてみて、困ったとき、失敗したとき、相談に乗るような接し方が正解です。すべての正解を用意してあげるのではなく、あくまで「どうしたら失敗しなかったと思う?」と、自ら解決法を見つけるように仕向けると、キラキラさんは自分で納得のいく答えを出すことができ、仕事への理解が進みます。叱る際にも、同期たちの面前で名指しするなどはもってのほかです。
注意したいのは安易に褒めないこと。普段から褒められ慣れているキラキラさんは、ちょっとやそっと褒められたところで心を動かしません。あなたという先輩が特別な存在であることを示すためには、「なぜ褒めてくれないのだろうか、つぎこそ褒められたい」という、キラキラさんが持っている負けず嫌いの心理的欲求を促すのが効果的です。
また、キラキラさんは責任ある立場や、他人とは違うポジションが大好き。仕事の面ではまだ任せることが少なくとも、飲み会の幹事や会議の進行など、ちょっとした役割を与えてみると、張り切って期待以上の活躍をしてくれることでしょう。目立つ役割であれば面倒を苦にしないのもこのタイプの特徴です。
仕事がデキる「バリバリくん」は、任せて責任を取る。
◆見分け方
さわやかで声が大きい。
身なりが整っており靴もピカピカ。
男女から人気がある。
なんせ仕事ができちゃう。
◆手なずけ方
仕事は任せる。
失敗は自分の責任として引き受ける。
プライベートでも面倒を見てとにかく仲良くなる。
バリバリくんは早い者勝ちと心得る。
◆バリバリくんはこんなタイプ
新入社員の中には、ひとりくらいはこういう完璧なタイプがいますね。お前どこで習ったんだ?ってくらいに、なんでもできちゃうスーパーマン。偉ぶるところもなく謙虚で、だけどユーモアもある。入社してすぐに人望を集めちゃうこういうタイプは、案の定、出世します。そう遠くない将来、自分と一緒に仕事を進める頼もしいパートナーにもなり得る彼・・・いや、たとえ自分と直接仕事を共にすることがなくても、彼と仲良くしているだけで、彼の元に集まる人たちによってあなたの人脈は豊かになるはず。早いうちにしっかり関係を築き上げておきましょう。
◆バリバリくんには熱く語れ!
バリバリくんは、その天性の能力に加えて仕事への熱い情熱も持ち合わせています。細かいビジネスマナーや業務の指導ばかりではなく、その根底に流れる燃えるような想いを汲み取るのです。
コミュ力も文句なしのバリバリくんは、飲みに誘えばよほどのことが無い限り断ることはありません。2杯、3杯と気分が良くなってきたら、仕事とは何たるか、熱く語って聞かせます。ヤル気満々で入社した彼の心に強く響き、良き先輩として信頼を得ることができるでしょう。もちろん、上司やお客さんへの愚痴はNGです!
放っておいてもどんどん仕事をこなせるようになっていくバリバリくんには、その仕事力に制限をかけないことが重要です。こうしなさい、あれはダメ、と縛りをかけるのではなく「この案件はお前に任せるから、経過報告だけしてくれればあとは好きにやって構わない。責任は俺が取る」ぐらいの覚悟で仕事を任せてみましょう。うまくいけばバリバリくんの手柄としてしっかりと評価し、失敗すれば居残り業務に嫌な顔ひとつせずに付き合う、上司に一緒に謝る、といった具合です。まだまだ不安でいっぱいの頃に受けた恩を、人はそうそう忘れません。ときにはプライベートの付き合いにも連れ出すなど、オンとオフの両面でサポートしていきましょう。そうして築かれた関係は、あなたにとってもきっと大きな財産になるはずです。
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新しい人間関係は、どうしても面倒なもの。しかし、新入社員たちをゲームのように攻略することで仕事人生がより有利に、有意義になるとしたら、これを楽しまない手はありません。あなたの身近に配属された新入社員は、どのタイプでしょうか?