女性管理職を増やすための国の取り組みについて|求人・転職エージェント

メニュー

更新日:2023/12/06

女性

女性管理職を増やすための国の取り組みについて

womanwill_1625.jpg

「女性が輝く社会」を作ることは現内閣の重要課題の一つ。その政策の一環として「女性活躍推進法」が2016年4月に施行されました。

女性の社会進出を国が後押しする法案ですが、働く私たちにどんな影響があるのでしょう?
改めてその内容を解説します。

目次

女性の転職をサポート マイナビエージェント女性の転職をサポート マイナビエージェント

日本の女性が働く環境は?管理職の割合は?

まず働く女性を取り巻く環境について、現状を把握しておきましょう。厚生労働省が発表した平成30年度雇用均等基本調査結果によると、女性管理職を有する企業の割合は、部長相当職ありの企業は10.7%、課長相当職ありの企業は19%、係長相当職ありの企業は21.7%でした。

また日本の管理職に占める女性の割合を、欧米諸国やアジア諸国と比較してみると、きわめて低くなっています(女性登用に対する企業の意識調査)。2019年度時点で、日本における管理職に占める女性の割合は9.9%に留まっています。一方で、アメリカは43.8%、フランスは32.9%など、欧米諸国における管理職に占める女性の割合は約半数です。またアジア諸国では、シンガポールが32%、フィリピンが48.9%、マレーシアが20.4%と、アジア諸国と比較してもかなり低いことが明らかです(データブック国際労働比較、2018)。

また男女共同参画に関する国際的な指数の一つであるGGI(ジェンダー不平等指数)は、162か国中23位と、かなり低い値になっています(男女共同参画局)。

女性管理職の割合を30%に!「女性活躍推進法」とは?

女性活躍を促進するために、平成26年(2015年)8月28日に「女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」が成立、平成27年(2016年)4月1日より第三次安倍内閣のもと施行されました。この法律は、従業員301人以上の企業に対して、「その事業における女性の職業生活における活躍に関する状況」の把握と、その改善のための行動計画の策定・実行を求めるものです。(一部改正により、令和4年4月より対象事業主が301人以上から101人以上に拡大)

ここで改善されるべき状況としては、「採用した労働者に占める女性労働者の割合」「男女の継続勤務年数の差異」「労働時間の状況」「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合」などが挙げられています。政府は2020年に指導的地位を占める女性の割合を30%にする、という目標を制定していました。実際内閣府男女共同参画局の資料によると、2012年から2019年の7年間で、上場企業の女性役員の数は約3.4倍に増え、着実に成果は上がっているものの、その割合はまだ5.2%と低く、課題を多く抱えています。

女性管理職の割合が増加しない理由として、女性社員自身の意識が大きいと言われています(朝日新聞)。具体的には、管理職につくことで、「仕事と育児の両立が難しくなる」ことや「まわりに同性の管理職がいない」ことが男女共同参画局の調査で挙げられています。

女性がより活躍するためには、一人ひとりの事情に応じての就労が可能となるよう、多様で柔軟な働き方の選択肢を増やすことが必要であります。たとえば、新型コロナウイルス肺炎によって広まった在宅ワークの、積極的な導入も女性が働きやすい環境づくりにおいて重要ではないでしょうか。

女性が活躍する社会のメリットとは?

女性が活躍することは、企業にとってさまざまなメリットがあります。たとえば、男性中心であった某大手自動車メーカーは、女性活躍に乗り出した結果、自動車の売上を伸ばすことに成功しました。乗用車の購入の6割は女性が意思決定に関与しているという調査もあり、このメーカーでは女性のニーズを反映した商品開発を盛んに行っています。

女性の活躍は、人材コストの削減にもつながります。男女差別を行う企業は、優遇したい人財(男性)に対してプレミアム(余計なコスト)を支払っています。人財の能力に見合ったコストを支払うことで(能力以上のコストをかけている人財を選ばない)、効率的な生産を実現できます(『The Economics of Discrimination』)。

また女性の活躍を推進することは、働く女性の意識や行動にも影響を与えます。533社に対して行った日本生産性本部の調査(2016)では、女性社員の活躍推進の効果によって、「女性社員の仕事意識が高まる」(50.1%)、「ワーク・ライフ・バランスへの取り組みが進む」(49.9%)、「女性社員の離職率が低下する」(46.2%)、「コミュニケーションが活性化する」(46.0%)などの効果が得られています。女性社員は、仕事がしやすい環境を得ることで、仕事を通じて、成長や自己実現を味わえたり、経済的に自立できたりと、経済的・精神的な側面でもメリットがあります

まとめ

国をあげて推進する女性の社会進出。まだ大きな効果は見えてはいませんが、令和元年内閣府が発表した資料によると、女性役員比率が10%以上の上場企業は前年度より174社増えて887社となっているなど、光は射し始めているようです。

これまでも「男女雇用機会均等法」(1985年)や「育児介護休業法」(1991年)などの施行により、女性の修行率は上昇してきましたが、今後リモートワークなど、働き方の多様化がさらに進みことが考えられ、それが女性活躍の後押しになることが期待できます

女性の転職をサポート マイナビエージェント女性の転職をサポート マイナビエージェント

執筆・編集

株式会社回遊舎

“金融”を専門とする編集・制作プロダクション。 お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。金融・経済関連を中心に、ビジネス、女性のキャリアアップ、起業のノウハウなども幅広く取材・執筆している。代表酒井富士子の近著に『知りたいことがぜんぶわかる!つみたてNISA&iDeCoの超基本』(Gakken)、『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』(インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)ほか。

SNSシェア

注目コンテンツ