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ローカル5Gとは?パブリック5Gとの違いやメリットとデメリット、今後の展望
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ローカル5Gとは?パブリック5Gとの違いやメリットとデメリット、今後の展望

2020年、第5世代移動通信システム「5G」のサービスが正式にスタートしました。5GはNTTドコモやソフトバンクなどの大手キャリアが提供するサービスですが、一方で企業や自治体などが個別に利用できる「ローカル5G」も2022年度からサービスが提供されることになっており、注目されています。

この記事では、ローカル5Gとはどのようなものか、その特徴やパブリック5Gとの違いなどについて解説します。

目次

1.そもそも5Gとは

5G(第5世代移動通信システム)とは、高速・大容量・低遅延・多接続を実現する次世代通信システムです。従来の4G(LTE)に比べ広い帯域幅であるため、よりたくさんのデータを同時に送受信できます。

また、4Gではクラウド・コンピューティングによって通信処理をおこなっていましたが、5Gではクラウドに加えエッジ・コンピューティングによってユーザーの近くで処理をおこない、低遅延を実現しています。

1.1.日本での5Gの普及状況

現在、日本で5Gが利用できるエリアは都心など一部にとどまっている状況です。5Gは4Gよりも電波が届く範囲が狭く、より多くの基地局の建設が必要になるため、5Gが4G並みに利用できるようになるのは2025年前後くらいになるといわれています。

また、5G対応のスマートフォンは比較的新しい機種に限られ、一番人気のiPhoneでは2020年10月以降に販売されたシリーズのみ対応しています。一方、Androidでは次々と5G対応機種が発表されています。

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2.ローカル5Gとは何か

本来5Gとは通信事業者が提供するネットワークサービスですが、ローカル5Gとは企業や自治体が独自に5G基地局の通信システムを構築して利用できるプライベートネットワークのことです。

2.1.特定エリア利用のネットワーク「ローカル5G」

ローカル5Gは特定エリアでの利用を条件として5G無線通信を利用できます。「自社の建物」「自社の土地の敷地内」などにおいて、建物や土地の所有者またはシステム構築を依頼された通信企業がローカル5Gの免許を取得し、ネットワークを構築します。

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3.なぜローカル5Gが必要とされているのか

IoT技術の拡大が進み、さまざまな分野での応用が期待される中、5Gは産業発展の観点から非常に重要視されています。しかし、通信事業者によって提供されているパブリック5Gは前述の通りまだ利用エリアが限られている状況です。

また、セキュリティなどの観点から、企業側としても公衆ネットワークより自社のネットワークを使いたいというニーズが高まっています。

これらの理由から、ローカル5Gが必要とされているのです。

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4.パブリック5Gとの違いは?

5Gというと一般的にはパブリック5Gのことを指します。これはNTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天の通信事業者が全国に提供・展開している通信システムです。対してローカル5Gは、前述の通り企業や自治体が独自に構築した局所的なネットワークです。

また、割り当てられる周波数帯にも違いがあります。

パブリック5Gは下記の周波数帯が割り当てられており、

  • 3.7GHz帯
  • 4.5GHz帯
  • 28GHz帯

ローカル5Gでは、

  • 4.5GHz帯の200MHz幅
  • 28GHz帯の900MHz幅

が割り当てられています。

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5.ローカル5Gのメリット

では、ローカル5Gを利用することでどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

5.1.広範囲をカバーできる

これまで、局所的なネットワークにはWi-Fiが利用されてきましたが、Wi-Fiが通信できる範囲は狭く、工場や屋外など広い場所まではカバーしきれませんでした。

一方、5Gはもともと携帯電話での利用を想定した通信規格であるため、広い範囲での通信が可能です。大規模な工場などの産業用途にローカル5Gを導入すれば、広範囲において高速な通信環境を構築できるようになります。

5.2.外部環境に左右されにくい

パブリック5Gなど通常のネットワークの場合、大規模イベントや災害などによってアクセス集中が起きたりキャリア側で通信障害が発生したりすると接続困難になる場合があります。しかし、ローカル5Gの場合はネットワークが独立しているため、そのような外部環境に左右されにくいといったメリットがあります。

5.3.セキュリティを強化することができる

ローカル5Gは独立した局所的なネットワークであるため、外部のネットワークと切り離して利用できます。これによって、機密情報を外部に漏えいするリスクを抑え、セキュリティを強化することが可能となります。

6.ローカル5Gのデメリット

5Gには多くのメリットがありますが、一方で次のようなデメリットもあります。

6.1.導入コストがかかる

ローカル5Gは独自にネットワークを構築するため、基地局の設置など導入コストがかかります。また、設置や使用する場所の確保も必要となってきます。

6.2.申請・取得までに時間がかかる

ローカル5Gを利用するには総務省が定める要件を満たしたうえで免許を取得する必要があり、その申請・取得に手間や時間がかかってしまいます。

ローカル5Gを導入する土地や建物の所有者、または土地利用者であること、あるいは所有者からシステム構築を依頼された事業者であることの要件確認や、申請前に5G基地局を設置するなどの準備、開設の目的や工事設計などに関する添付資料も必要となります。

実際に総合通信局まで出向く手間もかかり、申請から免許取得までは約2ヵ月弱かかるといわれています。

6.3.障害物や遮蔽物に弱い

ローカル5Gが利用するミリ波は直線型の周波数であるため、直線上の通信には強いですが障害物や遮蔽物に弱いといった特徴があります。工場など広い場所では安定した5G通信が可能ですが、障害物や遮蔽物が多い場所では通信できる距離が短くなってしまう恐れがあります。

7.ローカル5Gの課題

ローカル5Gにはさまざまなメリットがあり各分野での導入が期待されているものの、まだまだ普及が進んでおらず、特にコスト面で課題が多いのが現状です。ローカル5Gを導入するにはプラットフォーム整備が必要となりますが、限られた機器しか対応していないため低価格化がなかなか実現しないのです。また、普及が進まないためにノウハウが蓄積されにくいといった状況もあります。

今後いかに低コスト化が図れるか、またそれによって成功モデルケースがどれだけ誕生するかが、ローカル5Gの拡大・確立のスピードを速めるために欠かせない要素となりそうです。

8.ローカル5Gの現状と今後の展望

2020年3月、富士通は国内初の商用ローカル5Gを運用開始したと発表しました。拠点内で人のさまざまな動作解析をAIによっておこない不審行動などを早期に検知するセキュリティシステムを、ローカル5Gの活用により実現したとしています。

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その他、ローカル5Gの活用事例としては、建設現場での建機の遠隔制御、農場の自動管理、スマート工場、河川監視による防災など、さまざまな現場での活用が進められています。

今後さらにローカル5Gの普及を進めるために、免許主体の考え方の緩和や5G投資促進税制の導入などが検討されています。

9.まとめ

ここまで、話題を集めるローカル5Gについて、その概要やパブリック5Gとの違い、メリットから今後の展望まで解説してきました。

IoT技術拡大の一翼を担うといわれているローカル5Gですが、普及するにあたってはまだまだ課題が多いのが現状です。一方、ローカル5Gが拡大することでさまざまな分野でのスマートインフラ化が期待されているのも事実です。今後の展開にますます注目が集まることは間違いないでしょう。

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