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シンスペクティブ・エンジニアインタビュー(2)--ソリューションサービス ソフトウェアエンジニア・マルフ アブダラ アル(Abdullah Al Maruf)氏
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シンスペクティブ・エンジニアインタビュー(2)--ソリューションサービス ソフトウェアエンジニア・マルフ アブダラ アル(Abdullah Al Maruf)氏

SAR衛星(合成開口レーダー衛星)の開発・運用することで地球観測データを取得し、その膨大な地球観測データを、データサイエンス・機械学習を用いて解析し、政府や企業にソリューションとして提供している株式会社Synspective(シンスペクティブ、以下シンスペクティブ)。2020年12月15日には、自社で開発したSAR衛星「StriX-α」を、Rocket Lab社のElectronロケットに搭載し、ニュージーランドの発射場から打ち上げた。

今回は、躍進を続ける同社を支えるエンジニアの方々5人にインタビューした内容をお届けしたい。

第2回は、ソリューションサービス ソフトウェアエンジニアのマルフ アブダラ アル(Abdullah Al Maruf)氏。

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目次

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1.衛星から送られてきたデータを解析するソフトウェアなどのソリューション開発

私は、ソリューション開発チームで、ソフトウェア開発を行っています。衛星から送られてきたデータを解析し、それをクライアント向けに可視化するソフトウェア、さらにクライアントが使いやすくするためのダッシュボードなどを開発しています。

ソリューション開発チームには、データ分析チーム、ビッグデータを扱うプラットフォーム開発チームがあって、私が所属をしているのはプラットフォーム開発チームです。UI、ビッグデータ解析基盤、データパイプラインなどの開発を行なっています。

【関連記事】「ソフトウェアエンジニアになるためには?必要なスキルや仕事内容について」

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2.クライアントのニーズに合わせたデータビジュアライゼーションに対応

大学の時は、コンピューターサイエンスを専攻して、卒業後は、AI開発やAIプラットフォームの開発をしていました。大学生の頃は、宇宙や衛星というものにはあまり関わりがなかったので、まさか自分が衛星関連の仕事をするとは思っていませんでした。でも、私の得意分野はデータ分析とデータパイプラインで、ビッグデータ分析やAI、機械学習というスキルは持っていて、画像解析も経験を積んでいたので、衛星のデータであっても、うまくできるのではないかと思いました。

GMやセールスメンバーとコミュニケーションを取りながら、クライアントがどのような課題を抱えていて、どのように衛星データを使おうとしているかを理解する必要があります。その上で、衛星データの解析結果を可視化するツールを、クライアントが使いやすい形で提供できるよう 、新しい手法も学びながら開発をしています。

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3.日本の人は仕事でも優しい口調で接するため、働きやすい

私はバングラデシュで生まれ、日本で働くことになりました。日本に来てみて、すごく働きやすい国だなと感じました。人が優しいんです。多くの国では、他人のミスなどを厳しい口調で責め、喧嘩になることもありますが、日本人はそれを優しい口調で言ってくれる。それがとても好きになりました。多くの国では個人で成果を上げると考えますが、日本ではチームで成果を上げるという意識があるのだと思います。

日本に来ることはドキドキもしましたけど、ワクワクもしました。バングラデシュという国は、同じ国の中に、さまざまな民族がいて、さまざまな文化があるので、別の文化に触れるということには慣れていましたし、日本で暮らすのってどういう感じなんだろうという興味がものすごくありました。私はムスリムなので、食品の買い物に少し工夫が必要ですが、実際に暮らす中で、日本はすごく便利で、暮らしやすい国だと思っています。

4. 本当の多様性とは、得意分野とスキル、アイディアの多様性のこと

今、シンスペクティブには、日本人だけでなく、さまざまな国の人がいっしょに働いています。でも、いろいろな国の人が働いているというだけではダイバーシティにはなりません。本当の多様性とは、得意分野とスキル、アイディアの多様性のことで、どこの国出身であるかはあまり重要ではありません。

現在私のチームは11人。それと海外に5人いるので、合計16人です。スキルのダイバーシティがほしいので、現在のチームメンバーが持っていないスキルを持っている人に加わってほしいですね。

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5. 最初から高いスキルがなくても、私たちにないスキルがあれば大歓迎

宇宙や衛星の専門知識がないことは心配することはありません。シニアメンバーの仕事のひとつが、新しく入ってきたジュニアメンバーの育成です。ペアプログラミング※などを通じて、育成をしていくので、最初から高いスキルがなくてもキャッチアップが可能です。それよりも、私たちにないスキルを持っている人に加わってほしいと考えています。

(※「ペアプログラミング」…2人のプログラマが1台のマシンを操作してプログラミングを行う手法)

マルチカルチャーのチームで、最も難しいのはやはりコミュニケーションです。まず、言語を統一する必要があります。私たちのチームは英語が基本になっています。もちろん、個人的な話をするときは何語でもいいのですが、業務の会話は同じ言語でないと、全員が共通認識を持つことができ ません。ビジネス側の希望であるとか、クライアントにどのようなメリットがあるのか、そもそもこの開発は何を目的としているのか、そういう大きなピクチャーを全員が共有することが大切だと思っています 。

6. 個人のスキルを使って、チームで成果を出す

私たちのチームではアジャイル開発をしているので、それぞれが自分のペースで動いています。でも、会社が考えている目標は個人ではなく、チーム全体で達成しなければなりません。個人のスキルを持ち寄って、チームで成果を出すのです。そのためにはピクチャーの共有が必要で、毎日、朝会をやって、互いに情報共有をしています。

また、コミュニケーションはツールを使うことでもカバーできます。プロジェクトマネージメントツールを使って、必要なことはできるだけ詳細に記入してもらっています。それによりコミュニケーションの齟齬、すれ違いを防ぐことができます。

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7. これからは、ゼネコン、鉱山開発、金融など個別のニーズに合わせた機能を開発

現在、どの産業にも共通する汎用的な部分の開発がほぼ終わりました。これからは、ゼネコン、鉱山開発、金融などの各産業に向けた機能を開発して、追加していくことになります。

打ち上げ成功も興奮しましたが、私は最初のプロダクトがリリースされた時がいちばん感動しました。開発の初期段階から参加をしていたので、苦労して作ったものが形になってお客様に使っていただける事が嬉しかったですね。でも、やるべきことはまだまだたくさんありますし、今後、形にしたいアイディアもたくさんあります。これからもっと忙しくなります。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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