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スマートスピーカーでの複数の家電コントロール、解決すべき課題とは!?
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スマートスピーカーでの複数の家電コントロール、解決すべき課題とは!?

スマートスピーカーの魅力はスクリプトが組め、複数の家電をひとつの音声コマンドで操作できる事

在宅テレワークをする機会が増え、外出も気楽にはできないことから、自宅の模様替えをする人が増えている。ECでも小型家具やフィットネス器具、キッチン家電などが売れているという。日本では一過性のブームで終わりそうになっていたスマートスピーカーにも注目が再び集まり、各ECではセール、キャンペーンを行っている。手軽に音楽を聞けるデバイスとしてだけでなく、家電を音声でコントロールしてみようと挑戦する人が増えているのかもしれない。

家電製品をスマートスピーカーで音声制御するということには否定的な人も多い。「声でオンオフしなくても、リモコンを使う方が楽」という。確かに、家電をひとつだけオンオフすることを考えたら、音声で制御するのはあまり意味がない。リモコンを使えばいいことだ。

しかし、スマートスピーカーでは、スクリプトが組める。複数の家電をひとつの音声コマンドで操作できる。例えば、「アレクサ、おやすみ」と言うだけで、リビングのテレビ、エアコン、サーキュレーター、照明を次々とオフにすることができる。就寝前にリビングから寝室に移動する時だけでなく、寝室にもスマートスピーカーを置いておけば、寝室からリビングの家電をオフにすることができる。また、スマートスピーカー用の専用アプリからも操作ができるので、外出してしまってから家電をオフにしたかどうか不安になった場合も、外出先から全オフさせることもできる。同様に、外出先からエアコンをオンにする、お掃除ロボットをオンにするということもできるようになる。

このようなスクリプトを作っておけば、複数の家電をどこからでも制御できるようになる。これがスマートスピーカー による家電コントロールの魅力だ。


スマートスピーカーでの複数の家電コントロール、解決すべき課題とは!?"

(Amazon Echo、Google Homeなどのスマートスピーカーでは、スクリプを組んで、ひとつの音声コマンドで複数の家電製品を制御することが可能になる。この音声コマンドの実行は、スマートフォンからも可能で、別の部屋や外出先からも実行することができる)

スマートスピーカー による複数の家電コントロールの問題点

ただし、現実的には解決しなければならない問題がいくつかある。それは、過渡期であるために家電側がこういうリモート制御を想定しない設計になっているために起こる問題だ。どうやったら、解決できるか、考えてみるのは、コーディングにも似た面白い問題になりそうなのでご紹介する。

現在、スマートスピーカーで家電を制御するには、主に3つの方法がある。

1:スマートスピーカー対応家電に買い換える。

2:赤外線リモコンハブを購入する。

3:対応のスイッチプラグを購入する。

1は最もスマートな解決だが、メーカーが限定されることになる。また、専用のハブデバイスを必要とするものや、スマートスピーカーのグループ設定に対応してしないものもあるので注意が必要。最大の問題は、スマートスピーカー対応のためだけに家電を買い換えなければならないということだ。次に家電を買い換える時期に、候補のひとつとして考えるというのが現実的だ。

2の赤外線リモコンハブを購入するというのは最も現実的な方法。赤外線リモコンに対応している家電であればほとんどが制御できるようになる。ハブの多くは、赤外線を360度放射する設計になっているので、ハブを置く場所も限定されない。

3のスイッチプラグは、スマートスピーカーからオンオフできる電源プラグのこと。制御したい家電にこのプラグをかませて、電源コンセントに挿す。オンオフしかしない家電であればこれでもじゅうぶん。

多くの人が2の赤外線リモコンハブを選ぶことになると思う。赤外線リモコンのある家電はすべて制御できるようになるし、ハブの価格は5000円前後なので、コスト的にも見合う。

しかし、この方式で、スクリプトを組む場合は、いくつかの課題を解決しなければならない。

テレビの場合

ひとつはテレビのトグル問題だ。テレビリモコンの電源ボタンというのはトグルスイッチになっている。同じ信号を出すことによって、テレビがついている時はオフにし、テレビがついていない時はオンにする。一般のテレビのリモコンは、テレビの目の前で使うのが当たり前なのでこれで問題がなかった。しかし、別の部屋や外出先から使う場合は、テレビの現在ステータスを知る方法がない。

最悪なのは「おやすみ」スクリプトだ。考えなしに組んでしまうと、テレビが消えているのに、わざわざオンにしてしまうことになる。テレビは、最近、スマートスピーカーに対応する機種が増えてきていて、アレクサやグーグルアシスタントを搭載している機種も増えている。テレビの場合は、こういう対応テレビを購入するのが最も賢い解決方法のようだ。これであれば、テレビが消えている時に「テレビを消して」の命令を出しても、無視されることになり、赤外線リモコンハブのようにテレビをつけてしまうということがない。さらに、音声で「アレクサ 、テレビの音を消して」で消音することや、音量やチャンネルの操作も可能になる。赤外線リモコンハブの場合は、オンオフ以外はスキル(アプリ)経由の操作となるので、「アレクサ 、家電コントローラーでテレビのチャンネルを1にして」など音声コマンドそのものが複雑になってしまい実用的ではない。

エアコンの場合

一方で、エアコンはオン信号とオフ信号が別になっている。その点では、スマートスピーカーの操作になじみやすい。しかし、ステータス初期化問題が課題となる。エアコンをスマートスピーカーでオンにした場合、多くの場合、自動運転がオンになる。自動運転は設定温度と現在温度を比較して、自動で冷房、暖房の運転を始めるモードだ。

ところが、困るのは「静か」「静音」などの機能があるエアコンだ。エアコンの音というのは意外に耳障りで、快適になったら「静音」ボタンを押すことが習慣になっている人も多いだろう。しかし、機種にもよるが、この状態でオフにして、再び自動運転を始めると、「静音」モードを記憶したまま運転が始まる。これは具合がよくない。運転をしたい時は、できるだけ早く快適な室温に近づけたいのに、静音の微運転になるため時間がかかってしまうのだ。

一方で、余計な機能がついていないシンプルで安価なエアコンは、風量も自動に設定しておくと、最初は高速で運転し、設定温度に近づくたびに風量を下げていき、自動的に静かなモードに落ち着く。

この辺りの自動運転の挙動がどうなっているのかを確認しておく必要がある。皮肉なことだが、高機能で高価なエアコンほどスマートスピーカーからの制御では苦労することになり、単機能で安価なエアコンほど扱いやすい。家電ももはや周辺機器の感覚なのだ。

シーリングライトの場合

シーリングライトにもサーキット問題が存在する。近年のシーリングライトには赤外線リモコンが付属をしていて、リモコンから調光をしたり、オンオフしたりできるようになっている。そのため、これも赤外線リモコンハブを使ってスマートスピーカー から制御できるようになる。

しかし、赤外線リモコンで消灯した場合は、次に灯りが必要な時、壁のスイッチからは点灯できなくなる。リモコンで消した場合はリモコンからしかオンにできず、壁スイッチから消した場合は壁スイッチからしかオンにできないのだ。このことは、シーリングライトの取扱説明書にも注意書きがある。

このような不思議な仕組みになっているのは、壁スイッチで主電源、リモコンで本体電源を操作する仕組みになっているからだ。主電源を落としたら、主電源を入れなければならない。本体電源を落としたら、本体電源を入れなければならない。壁スイッチとリモコンのどちらで消したかを覚えておき、正しい方の電源を入れなければ点灯することができないのだ。

スマートスピーカーからオフにした場合は、壁スイッチでオンにすることはできなくなる。壁スイッチでオフにした場合は、スマートスピーカーからオンにすることができなくなる。

簡単な解決策は、壁スイッチに覆いをして、シーリングライトをスマートスピーカーのみから制御することだが、壁スイッチというのは意外に便利なところについている。ましてや自宅であれば、真っ暗であっても手探りで場所を探り当てることができる。これもメーカー側では、「オンオフは壁スイッチで、調光はリモコンで」という想定なのだろう。


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(あるシーリングライトの取扱説明書から。下の注意欄に注目。「リモコンで消灯させた状態で…」の文章は、多くの人が初見ではいったい何を言っているのか理解できないことだろう。シーリングライトは、壁スイッチによる主電源と、リモコンによる本体電源の二重電源制御になっている)

家電メーカーは、製品が見える範囲で赤外線リモコンを使うことを想定してリモコン機能を設計

これらの問題は、家電メーカーの落ち度だとは思わない。家電メーカーは、製品が見える範囲で赤外線リモコンを使うことを想定して、リモコン機能を設計しているからだ。しかし、スマートスピーカーの登場により、別の部屋からでも外出先からでも制御したいというニーズが生まれてきている。今後、家電製品のリモコン設計も変わっていくことになるだろう。

また、IFTTTに対応している家電、赤外線リモコンハブも増えている。IFTTTはリモコンハブだけでなく、IoTセンサーやウェブサービスなどにも対応をしているため、温度センサーやスマートフォンと組み合わせて、「室温が○○度以上になったら冷房をオンにする」「人が自宅に近づいたらエアコンをオン、離れたらオフ」などより多彩な制御が可能になり、音声コマンドすら不要の完全自動化も可能になる。

家電コントロールは、実際にやってみると、さまざまな課題が残っていることに気づかされる。趣味としても、サービス構築のトレーニングとしても、楽しみながら実践力を見つけることができる。ぜひトライしてみていただきたい。


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(IFTTT(イフト)の公式サイト。IFTTTは、If This Then Thatの略。Alexa、Google Assistantだけでなく、ツイッター、Gmailなどのサービス、赤外線リモコンハブなどが対応をしている。これをうまく使うと、音声も不要の家電制御の完全自動化が可能になっていく)

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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