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【介護テック最前線】介護ソフト『CareViewer』がChatwork機能を取り込んで進化
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【介護テック最前線】介護ソフト『CareViewer』がChatwork機能を取り込んで進化

「介護業界を変えたい!」という熱意から日本KAIGOソフト株式会社とChatwork株式会社が強力なタッグを組み、AIケアプラン・介護記録ソフト“CareViewer”が進化を遂げました。新しいユーザエクスペリエンスを伴ったバージョンアップの背景にはどのような思いや取り組みがあったのか、関係者に話を伺いました。

一歩前に進んだCareViewer×Chatworkのコラボ

――まずは、両社が連携するようになったきっかけを教えてください。

廣瀬和桂さん(以下、廣瀬):私はChatwork社で営業などを担当しているのですが、多くの介護事業所から「記録や事務処理に時間がかかりすぎる」「情報が膨大でリアルタイムでの共有が難しい」といった相談を受けていました。センシティブな個人情報を扱うため、SNSなどで連絡を取り合うのはできるだけ避けたいとChatworkをご検討いただくわけですが、介護業界ならではの部分にまで手を伸ばして現場の業務効率化をサポートしたいという思いから、日本KAIGOソフトさんに相談させていただいたのです。


(Chatwork株式会社で事業推進本部セールス部アカウントセールス第1チームに所属する廣瀬和桂さん)

福原亮さん(以下、福原):初めてこのお話を聞いたとき、「当社が開発・販売するCareViewerにベストマッチだ!」と確信したことを覚えています。もともとCareViewerは、介護現場のペーパーレス化を主眼に開発したソフトですが、引き継ぎや申し送りといった様々な場面で情報共有しやすくなれば、スタッフ間のコミュニケーションが大幅に改善されるはずです。しかし、そうしたツールを一から開発するのは簡単ではありません。ならば、すでに広く普及・定着しているChatworkと連携させていただき、新たな展開をしていくことが最善の道だと考えました。


(日本KAIGOソフト株式会社で取締役兼CTOを務める福原亮さん)

福田升二さん(以下、福田):289,000社以上(2020年10月末時点)を超える会社様にChatworkを導入いただいていますが、このうち医療・介護業界の占める割合は低くありません。日本の社会を支える基盤ともいえる業界ですが、非効率的なコミュニケーションのために問題が起こりがちで、業界の人材不足にもつながっているようです。こうした背景があって、2019年にCareViewerとChatworkの連携が実現。介護記録をグループチャットで即時共有できるようにするなど、スタッフ向けの機能を組み込んでいきました。


(Chatwork株式会社で執行役員CSO兼事業推進本部長を務める福田升二さん)

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――2020年5月から、さらに情報連携機能が強化されたそうですが、具体的な内容を教えてください。

福原:最も大きな変化は、グループチャット数の拡大です。従来の「1事業所につき1室まで」という制限を取り払い、ご利用者様や目的ごとに複数のグループチャットを作れるようになりました。管理者権限がないメンバーでもグループチャットを作れるようにしたことで、より自由度が高まったこともポイントです。こうした機能を実装した背景には、新型コロナウイルスの流行があります。面会制限によってご利用者様のご家族からは「状況が分からず不安」という声が多く聞かれ、ご家族と会えなくなったご利用者様の認知機能やADLの低下も懸念されるようになりました。また、サービス担当者会議なども実施しづらくなり、記録や情報共有に難しさを感じるスタッフが少なくなかったのです。

廣瀬:今回の連携強化で、CareViewerで記録された写真も各グループチャットで共有できるようになりました。これにより、文字だけでは伝え切れなかったリアルなご利用者様の姿を、簡単にご家族や他職種へ伝えることができます。もともとChatworkにはビデオ/音声通話機能があるので、これらを上手に使い分けることで、コロナ禍にあってもご利用者様とご家族の心をつなぐことが可能です。つまり、介護に関わる人すべてのコミュニケーションを促進するサービスとして大きくパワーアップしたわけです。

記録&情報共有の機能が介護スタッフを支える

――実際の介護現場では、CareViewerはどのように活用されていますか。

福原:PCのウェブブラウザ経由でケアマネジメント管理(利用者情報の初期登録、アセスメント表やケアプランの作成、モニタリング情報の更新など)を行い、日常的な記録は専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレットを活用する事業所が多いですね(PCで記録を付けることも可能)。「食事」「排泄」「移動」などの項目ごとに記録された内容は時系列に沿って一覧表示され、ご利用者様の一日の動きが一目で分かるようになっています。こうしたデータはもちろんのこと、食事やレクリエーションを楽しむご利用者様の様子なども写真で保存し、グループチャットからご家族や他職種へ共有できる仕組みです。

柴田悠理さん:私は日本KAIGOソフトのグループ会社が運営するグループホーム「満快のふる郷 さくら東苗穂」で介護職員として働いています。Chatworkのビデオ/音声通話機能「Chatwork Live」でオンライン面会をしたり、詳細な情報提供を行ったりすることで、ご家族から感謝の声がたくさん届くようになりました。また、CareViewerでの記録に切り替えて驚いたのは、紙への記入と違って視線を落とさずに済み、場所も選ばないので、他の業務の合間にサッと入力できる場面が増えたこと。従来は記録に1時間~1時間半かかっていましたが、今では平均20分程度まで短縮。入力項目が少ないときは、数分で終わることさえあります。


(「満快のふる郷 さくら東苗穂」で、CareViewerを活用しながら働いている介護職員の柴田悠理さん)

現場ニーズを積極的に取り入れる開発姿勢

――介護現場での満足度を高めるため、開発で心がけた点を教えてください。

欧陽兪さん:何を置いても、現場のリアルな声を収集することです。私は日本KAIGOソフトでCareViewerの開発を担当していますが、当社はグループホーム「満快のふる郷 さくら東苗穂」と同じ建物内にあるため、開発現場と介護現場の間でスピーディーに情報交換できる環境です。実際、多くの介護スタッフの意見を聞いて開発に生かしてきました。その一例が、アプリ版のタッチ領域の拡大です。動き回りながら入力するケースが多いので、特に年齢を重ねたスタッフは細かな作業が難しいことが分かり、当初と比べて指でタッチしたときに反応するエリアを3倍程度に拡大したところ、以前より使いやすくなったと好評でした。


(日本KAIGOソフト株式会社でCareViewerの開発に従事する台湾出身の欧陽兪(オウヨウユ)さん)

福田:介護現場では幅広い年齢層の方が活躍しており、ITリテラシーの差も大きいもの。そのため、誰にとっても使いやすいUIを意識することが重要だと思います。また、職場でのコミュニケーションがChatworkの機能だけで完結するというケースも少なくないため、「安定的に運用できるシステム」であることは欠かせません。これはどの業界でも共通するポイントではありますが、人の命や生活を預かる医療・介護業界ではなおさらでしょう。

介護業界のICT化は待ったなし

――今後の介護業界とICTの関わりについて、最後にメッセージをお願いします。

福田:Chatwork社では、日本の中小企業のデジタル化推進を「使命」と位置付けています。中でもICT化がなかなか進まない医療・介護分野は優先的に取り組むべき領域の一つです。「とにかく、うちのサービスを使ってみてください!」というレベルではなく、介護業界への理解を深めた上で「この課題はChatworkの機能をこう使えば解決できます」と一歩踏み込んだ提案ができるレベルをめざし、現場のお役に立ちたいと考えています。

中元秀昭さん:私は日本KAIGOソフトの代表として、「ポケットにスマートフォンが1台あればOK」という現場環境の創出を目標としています。特に、介護スタッフの大きな負担となっている記録業務を完全にペーパーレス化することが、この業界を変えるカギではないでしょうか。記録をデジタル化すれば、介護スタッフの「英知」が詰まったデータをフル活用できる上、ご利用者様と向き合うことに注力できます。そうなればご利用者様やご家族にとっても喜ばしいことですし、働く人のモチベーションアップにもつながるでしょう。こうした「三方良し」を実現するためには、ICTを活用して介護業界をスマート化することが必須なのです。


(日本KAIGOソフト株式会社の代表である中元秀昭さん。母体となるさくらCSホールディングス株式会社でも代表取締役を務めている)

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