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コロナ収束後もテレワークは定着する!? テレワーク普及を阻む3つの理由とは!?
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コロナ収束後もテレワークは定着する!? テレワーク普及を阻む3つの理由とは!?

新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅テレワークに切り替わったという方も多いでしょう。この在宅テレワークが、コロナ収束後の「ニューノーマル」(新日常)になってほしいと考えている方も多いのではないでしょうか。ただ、企業がテレワークに踏み切れない理由として、以前から6つの課題が挙げられており、この6つの課題は、3つのカテゴリーにまとめることできます。

目次

1. 在宅テレワークの最大のメリットは「通勤時間不要」

2. テレワークの定義と3分類

2.1.「在宅型」

2.2.「サテライト型」

2.3.「モバイル型」

2.4. テレワークの定義に注意!

3. テレワーク導入企業の経年推移

4. テレワーク導入を阻む3つの理由

4.1. セキュリティ対策が難しい

4.2. 労務管理、評価制度、定型業務の課題

4.3. 働き方の問題

5. まとめ

1. 在宅テレワークの最大のメリットは「通勤時間不要」

新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅テレワークに切り替わったという方も多いでしょう。突然のことであったため、企業側も社員側も準備不足であることは否めず、いろいろ苦労をされたり、困惑されたりしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、在宅テレワークはおおむね歓迎をされています。その最大の理由は、通勤時間が不要になるということです。感染リスクも大きく下げられますし、何より体力、精神、時間の3つを大きく節約できるからです。

この在宅テレワークが、コロナ収束後の「ニューノーマル」(新日常)になってほしいと考えている方も多いのではないでしょうか。

2. テレワークの定義と3分類



このテレワークが、今後定着をすることになるかどうかを考える前に、テレワークという言葉の定義を確認しておきましょう。

国土交通省の定義によると、「ICT(情報通信技術)等を活用し、普段仕事を行う事業所・仕事場とは違う場所で仕事をすること」であり、「在宅型」「サテライト型」「モバイル型」の3種類があります。

2.1.「在宅型」

いわゆる在宅勤務です。自宅のPCと携帯電話が主な道具で、書類共有やテレビ会議システムなどを利用して業務を進めます。

2.2.「サテライト型」

企業がサテライトオフィスを用意している場合です。基本的にはオフィスと同じ環境が提供されます。

2.3.「モバイル型」

PCなどを持ち歩き、外出先のカフェ、ホテル、移動中に業務をすることです。出張時や営業職の方がもっぱら行う働き方です。

2.4.テレワークの定義に注意!

なお、多くの政府統計で、「テレワーク導入企業」とはテレワークの制度を定めている企業のことで、実際に実施をしているかどうか、その頻度はどうかは問いません。また、「一度でもテレワークを経験したことがある人」をテレワーカーと定義しています。

極端なことを言えば、社則に「テレワーク可」の一言があれば、実態はまるで実施してなくても「テレワーク導入企業」になりますし、外出先から上司にLINEメッセージを送っただけで「テレワーカー」になります。

多くの人にとって、テレワークのイメージは、「出社せずに在宅での業務が定期的、あるいは希望によって可能の状態」だと思うので、政府統計を見るときは、この定義とイメージのずれに注意する必要があります。

3. テレワーク導入企業の経年推移

では、テレワークは今どの程度普及をしていて、新型コロナウイルス収束後に定着をして「ニューノーマル」となる可能性はあるのでしょうか。「平成30年通信利用動向調査」(総務省)によると、平成30年のテレワーク導入企業は19.0%です。この数値は現在ではもちろん大きくなっているはずです。



(企業のテレワーク導入状況は、最高19%を頭に上下している。2003年(平成21年)には、新型インフルエンザのパンデミックにより、テレワーク熱が高まったが、その後下がっている。「平成30年通信利用動向調査」(総務省)より引用)

しかし、それ以前の動きに注目をしてください。実は2009年にも19.0%という2018年と同じ値を示していたことがあったのです。そこからテレワーク導入企業は減少をしていき、最近になって再び上昇してきました。

2009年には、新型インフルエンザが流行をしました。世界的なパンデミックとなり、1万4286人の死者が出ました。日本でも最終的に203人の死者が確認されています。空港や港では水際対策がとられ、医療機関は発熱相談センター、発熱外来を設置、兵庫県は緊急事態宣言をしています。

企業では、事業継続のひとつの策として、在宅テレワークに注目をし、導入準備を進めました。しかし、従来の季節性インフルエンザと同じ対応でじゅうぶんであることが明らかになるとともに、企業のテレワーク熱も下がっていきました。

この時の新型インフルエンザと現在の新型コロナウイルスでは、パンデミックの規模がまるで違っていますが、2009年の状況を見ると、今回も、「喉元すぎれば」にならないと断言することはできません。



(非テレワーカーに、テレワーク実施意向を尋ねた結果。テレワーク制度がある企業では63.7%がテレワークをやってみたいと答えた。理由は通勤時間が削減でき、自由に使える時間が増えるから。一方で、テレワーク制度が導入されていない企業では、テレワークをしたいという人が38.8%と低く、企業側がテレワーク制度を導入することが重要であることがわかる。「平成29年度テレワーク人口実態調査」(国土交通省都市局都市政策課都市環境製作室)より引用)

4. テレワーク導入を阻む3つの理由

企業がテレワークに踏み切れない理由として、以前から次の6つの課題が挙げられています。

(1)セキュリティ対策が難しい

(2)テレワークに適した業務が少ない

(3)労務管理がしづらい

(4)評価制度の見直しが必要になる

(5)コミュニケーション不足が懸念される

(6)プライベートとの切り替えが難しい

在宅テレワークが、ニューノーマルになるかどうかは、この6つの課題が解決できるかどうかで決まります。

この6つの課題は、3つのカテゴリーにまとめることできます。

カテゴリー1.システムの問題:(1)のセキュリティ対策

カテゴリー2.業務の問題:(2)、(3)、(4)の業務、労務制度の見直し

カテゴリー3.働き方の問題:(5)のコミュニケーション、(6)のプライベートとの切り替えなど社員などの働き方の意識、習慣の問題

4.1.セキュリティ対策が難しい

(1)のセキュリティ対策は、技術としてはすでにセキュリティを確保できる仕組みがたくさんありますが、問題はコストです。特に、大量の顧客個人情報を扱う企業、秘匿性の高い技術機密情報を扱う企業の場合は、情報流出が事業継続にとって致命的となることも懸念されるため、堅牢なセキュリティシステムが必要で、その分、コストもかかることになります。ここは、そのコストをかけても、テレワークを導入すべきかという経営判断の領域です。



セキュリティでは、システムとは別にもうひとつ、人の問題があります。いくら堅牢なセキュリティシステムを導入しても、在宅テレワークをするスタッフが、画面をカメラで撮影すれば情報を流出させることが可能です。非正規雇用、短期アルバイトなど企業側の都合を優先した雇用形態を解消していき、すべてのスタッフが企業に対して自発的に忠誠心を持てる環境を育てていく必要があります。一朝一夕でできることはなく、長い時間が必要になる問題です。

4.2.労務管理、評価制度、定型業務の課題

(2)の業務の問題は、そもそもテレワークを導入する目的から考え直す必要があるかもしれません。先に挙げた「平成30年通信利用動向調査」(総務省)で、企業がテレワークの導入目的として回答している圧倒的な1位は「定型的業務の効率性(生産性)の向上」なのです。

定型的業務とは、作業内容が標準化、パターン化、マニュアル化、外注化が可能で、作業手順書が整っていている業務のことです。一般的にはデータ入力、伝票整理、記帳、請求書作成などです。つまり、多くの企業がこのような業務がテレワークに向いていると考えているのです。

このような定型業務は、1件あたりの標準的な処理時間がわかっています。また、スタッフに対する報酬も時給ベースで考えます。そのため、サボられては生産性が下がるため、管理をしなければなりません。このような事情で、テレワークだと「労務管理がしづらい」「評価制度を見直す必要がある」「テレワークに適した業務が少ない」という課題が生まれてきています。

本来、このような定型業務は、自動化をすべき業務です。すでに先進的な企業では人工知能技術を使って、高度な判断まで行わせています。あるいは外注化を模索すべき業務です。

この「テレワーク=定型業務」という発想は切り替えなければなりません。現在、進んでいる在宅テレワークは非定型業務が対象になっています。経営戦略の提言、事業計画の策定、新製品の企画、対外的な交渉などです。裁量労働制が適用可能な業種のテレワークが求められています。

裁量労働制とは、業務遂行の方法や時間配分を労働者本人に委ねる働き方で、実際に10時間働いたとしても、成果ベースで8時間分の労働に相当するのであれば、8時間分の賃金を支払うという考え方です。逆に実働が2時間であっても、みなし労働時間が8時間であるなら8時間分の賃金が支払われます。

このような非定型業務の在宅テレワークであれば、「労務管理がしづらい」「(裁量労働制が導入されていれば)評価制度を見直す」必要はありません。

つまり、在宅テレワークをニューノーマルにするには、まず定型業務の自動化を進める。そして、裁量労働制を大幅に導入する。そこまでのステップを踏めば、会社に出勤をして仕事をすることに大きな意味はなくなるので、在宅テレワークもごく当たり前に行われるようになります。

これは言葉で言うのは簡単ですが、企業の働き方、構造、仕組みを根底から変えていく必要があります。在宅テレワークは、それだけを取り出して「やる、やらない」を選択できるものではありません。会社の構造を根本から変えることで、在宅テレワークが可能になる環境を作ることができるのです。

4.3.働き方の問題

(3)の働き方の問題、コミュニケーションが不足する、プライベートとの切り替えが難しいは、大きな問題ではありません。それぞれ裏返せば「無駄な擬似コミュニケーションにより業務が中断されなくなる」「業務時間とプライベート時間を融合し、自分にとって最適な配分ができるようになる」というメリットにもなるからです。

5.まとめ

現在は、いきなり在宅テレワークを強制されている方も多いので、デメリットを感じことの方が多いかと思いますが、時間が経てば、自然に工夫をするようになり、メリットを感じられる状態に持っていけるはずです。

いずれにしても、最も大きな課題は、定型業務から非定型業務へシフトしていけるかどうかです。これは経営者も真剣に努力をしなければなりませんし、社員も真剣に努力をし、会社全体で同じ方向に向かわなければ達成できない課題です。

この課題に向き合えるかどうかで、在宅テレワークがニューノーマルになるかどうかが決まります。

【関連記事】「テレワーク(リモートワーク)のメリットとデメリットとは!?」

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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