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ビジネス/エンジニアが密に連携、AIにより新たな価値を創造ストックマークエンジニアインタビュー(2)
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ビジネス/エンジニアが密に連携、AIにより新たな価値を創造
ストックマークエンジニアインタビュー(2)

2019.10.28

 
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1人で1つのプロダクトが
開発できるスキルが身につく環境

私は、Asalesの開発チームの責任者を務めています。Asalesは、社内外のテキストデータや営業日報・商談メモを解析し、営業戦略を支援するサービスです。また、過去の提案書から顧客ニーズが類似したもの、提案が成功したものを探してきてくれる機能もあります。セールス担当者は、過去の提案書を元に新しい提案書を作成すればよく、資料作成の効率を高め、成約率も高めてくれます。

私は開発の責任者なので、担当分野というのはありません。ウェブも開発しますし、機械学習の開発もします。インフラの開発もすることがあります。プロダクトに取り入れるべき先端技術の難易度を見極め、どの技術を取り入れていくかも決定します。全部やる。フルスタックエンジニアと言うと言い過ぎだと思いますが、方向性としては1人で1つのプロダクトが開発できるスキルを自然な形で身につけていっていると思います。

AIプロダクトの開発というのは、ITシステムのようなきっちりした仕様書を書くことが非常に難しいです。「○○%の精度」があれば実用可能と決めることはできますが、いわゆるITシステムとは勝手が異なります。。例えば、関心のあるニュース記事を自動収集してくれるAnewsでは、どのような記事を収集すれば品質が高いのかを文書で明確に定義することは極めて困難です。主要な記事を集めてくればユーザーは喜ぶのか、それとも関連はあるけど意外性のある記事を喜ぶのか。ユーザーの満足する結果をデータセットとして定義しないと開発ができません。もちろん、フィージビリティも考慮してデータセットを定義する必要があります。ここがAIプロダクトの開発の難しいところであり、面白いところです。



エンジニアだけでなく、
ビジネスチームも交えて「話し切る」のが重要

そこで重要になるのが、エンジニアだけでなく、ビジネスチームも交えて、「話し切る」という感覚です。開発は2週間単位で進めていますが、その2週間を始める2時間の打ち合わせを2、3回は行います。ざっくりとしたドキュメントは作りますが、それより重要なのは全員でディスカッションをし、ゴールはなにかということをしっかりと共有しておくことです。

このような開発の仕方をしていくので、ITシステムのような「分業」と考え方がありません。それぞれ、得意分野をポジションにしながらも、関連する領域の開発にも関わっていく。自分の担当部分だけをやっていればいいという感覚では、開発が前に進まないのです。

それはエンジニアだけでなく、ビジネスチームとの関係でも同じです。エンジニア、ビジネスという境界もどんどん溶けていっています。

例えば、Asalesというプロダクトのアイディアは、ビジネスサイドから提案されたものです。最初は、商談メモの中から、どのような話題がメモされているかを抽出して、可視化したいという要望でした。あらゆる話題を可視化したいので、教師なし学習で学習モデルを構築できないかと相談されました。

しかし、商談メモを教師なし学習で機械学習させてしまうと、ありとあらゆる話題を抽出してしまいます。ビジネスにはまったく不要な話題だけでなく、人間には何のことか理解不能な話題も抽出してしまいます。私たちエンジニアは、機械学習を使ったプロダクトの経験から、ある程度人間が「どのような話題が重要か」ということを教えてやる教師あり学習の方がプロダクトとしては、ビジネス的な成果に結びつきやすいという提案をしました。結局、検証を繰り返しながら、ビジネスチームとも教師あり学習で開発に入ることに合意しました。



エンジニアも業務フローや
マーケティングの知識が必要

あるいは、ビジネスチームが顧客の要望を聞いて、ある機能を追加実装してほしいとエンジニアチームに頼んでくることがあります。しかし、どのような機能であるかを説明されただけでは、AIの機能は開発できません。その機能は、業務フローの中でどのような位置付けで使い、顧客はどのような効果を期待しているのか。それがわからないと開発には入れないのです。ビジネスチームがテクノロジーの知識を持っていなければならないのと同様に、私たちエンジニアも業務フローであるとかマーケティングの知識を持っていなければなりません。

ストックマークでは、プロダクトを開発するのに、ビジネスチームとエンジニアチームがディスカッションをして進めていくのがあたりまえになっていて、開発という観点では、もはやビジネス、エンジニアという境界も溶け始めています。マーケットインで発想する人、テクノロジーインで発想する人の違いがあるだけで、一緒に開発をしている感覚です。



ビジネスサイドにも優秀なメンバーが多く
一緒に働きたいと思った

私は前職ではSEをしていましたが、ストックマークに転職することを決めたのは、第1はストックマークのビジョンに共感したことですが、第2はエンジニアだけでなくビジネスサイドにも優秀なメンバーが多く、この人たちと一緒に働きたいと思ったことが理由です。

彼らは、セールスのための仕組みづくりをきちんとやっています。私の中では、営業というのは気合と根性みたいな先入観があったので、それがものすごく新鮮でした。しかも、どのような仕組みづくりをしているのか尋ねると、セールスやマーケティングの専門的な内容なのに、エンジニアの私にもちゃんと理解できる言葉で説明してくれるのです。自分の専門領域を、素人である外部の人にわかりやすく説明できる人は例外なく優秀です。自分の専門領域を本質的に理解していなければ、わかりやすく説明できないからです。

私は、以前からエンジニアとビジネスが対等な関係で仕事をしたいと思っていました。従来のITシステムには機能要件と非機能要件の2つがあります。ビジネスが客先の要望を聞いて機能要件を決定します。エンジニアはここに関与することはできません。言われた通りに機能要件に基づいて、仕様に落とし込み、ロジックを組んでいくしかありません。エンジニアが自分で考えられるのは、レスポンスとかサーバー構成とか、ユーザビリティにあまり関与しない非機能要件の部分だけでした。

さらに、銀行の勘定システムや金融システムなどでは、業界のルールや規制もあります。例えば、消費税が10%に上がったら、否が応でも10%に修正しなければなりません。それは業務システムとしてはとても重要な仕事ですが、この修正をすることで、人が幸せになるのだろうか、プロダクトの魅力が増すのだろうか、顧客にさらに大きな価値を提供できるのかと考えてしまいます。



AIシステムの目的は
従来になかった価値の提供

ITシステムの目的は、既存業務の効率化ですが、AIシステムの目的は従来になかった価値の提供です。ITシステムを開発するときは、その企業の特有のルール、習慣も考えなければなりません。なぜなら、従来業務の置き換えであり、その業務にいろいろな部署が関わっているために、業務フローまで変えることはできないからです。場合によっては、世の中から見たら謎ルールにしか見えないその企業特有のルールにも対応しなければなりません。

しかし、AIシステムは、そのような謎ルールとも無縁です。なぜなら、そもそもそのような業務フローが存在しなかったサービスを開発しているからです。例えば、商談メモから顧客のニーズを抽出して可視化するAsalesは、以前はそのような業務を受け持っていた部署などはありません。セールス担当者が個人的に小規模な分析をしていたか、多くの場合、セールス担当者個人の「勘」で扱われていたような業務です。

このような業務フローは過去にはなかったため、全体業務フローの中でどのような位置付けで使うと効果的かということをビジネスチームとディスカッションし、一緒に顧客に提案をしていくことになります。私たちエンジニアの仕事は開発ですが、サービスだけを開発しているのではなく、ビジネス手法そのものを開発している感覚があります。



企業人であれば誰も感じている問題を、
AIテクノロジーを使って解決

ストックマークが目指しているものは、企業が抱えているコミュニケーションの効率の悪さ、意思決定の非効率さ、情報格差、こういった企業人であれば誰も感じていながら解消ができない問題を、AIテクノロジーを使って解いていくことです。そのためには、エンジニアとビジネスが対等の立場でディスカッションをして、話し切るということがとても重要になります。

エンジニアもビジネスや業務フローについて考えなければならない。言われた仕様通りのロジックを組んでいくだけというやり方では、企業が抱えている問題を解くことはできません。それはエンジニアにとっても、クリエイティブでやりがいのある仕事です。

もちろん、開発がうまく進まなかったり、結果がでなかったりするなど、つらいこともたくさんあります。でも、「やらされているつらさ」と「自分が選んでやっているつらさ」はストレスがまったく違います。

開発が価値に直結している。この感覚は、AIプロダクトの開発でなければ味わえない喜びだと思います。



岩谷純至
ストックマークチーフビジネスエンジニア。慶應義塾大学で、ネットワークの通信制御プロトコルの研究に従事。2010年に大学院を修了後、NTTコムウェアに入社し2018年まで勤務。システムを利用する現場でのBPR業務を3年行い、現場・ユーザのためにシステムはあるという思考を形成。研究所と連携したインフラ保守運用改革案件では、システム開発のリーダーを務め、所長表彰を受ける。ストックマーク入社後直後は、エンジニアとしてAnewsの機械学習モジュールの開発に3ヶ月程従事。その後、Asalesの立ち上げの開発責任者となり、現在に至る。

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