ITエンジニアのための勉強会・イベントレポート情報メディア

消費税ポイント還元、スマホ決済に落とし穴残高に有効期限がある場合も!?
trend

消費税ポイント還元、スマホ決済に落とし穴
残高に有効期限がある場合も!?

2019.09.13

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

10月からの消費増税、
問題を複雑にしている
キャッシュレスポイント

10月1日から、消費税が8%から10%にあがる。しばらくは混乱が続きそうだ。ひとつは軽減税率の問題。食料品の8%据え置きはありがたいのだが、ファストフードやコンビニなどで、テイクアウトした場合は8%、店内で食べた場合は10%というのもわかりづらい。コンビニなどのイートインコーナーは、8%なのか10%なのか。現在では、食器やトレイを提供し、回収をする場合は「店内」という位置付けで10%になり、レジ袋で提供し回収するものがない場合は「店外」で8%という説が有力だが、これも実際に始まってみないことにはよくわからない。

さらに問題を複雑にしているのが、キャッシュレス消費税ポイントだ。キャッシュレス決済を利用すると、購入代金の5%または2%をポイントとして還元する。ほとんどのキャッシュレス決済が参加をしているので、例えばLINE Payで支払った場合、LINE Payのポイントとして5%が還元される。一方で、ポイント還元ではなく、コンビニやAmazonなどはその場で2%値引きをするという方法をとる。

さらに、決済手段、クレジットカードによっては、月額上限を15000円程度に定めていることが多く、月30万円以上使うと還元の上限金額に達するので、別のカードや決済手段を使わないと損をすることになる。

うまく使いこなせば、消費増税分を取り戻して、かえって得をすることができるが、慣れるまでのしばらくの間はいろいろ混乱も起きそうだ。

スマホ決済は、始めるのは簡単でも
やめるにやめられない

ということで、どの店でもキャッシュレス決済ができるように、片っ端から決済アプリを入れて、どの場合にどの決済を使えばいいか、一覧表やフローチャートを作り始めた方もいるのではないか。実際、主婦向けの雑誌や情報サイトでは、「どのキャッシュレス決済がいちばんお得か」特集が人気になっている。そのような記事のひとつでは、9種類のスマホ決済を使い分けるスーパー主婦の話が紹介されていた。

しかし、スマホ決済は、始めるのは簡単でも、やめるにやめられない罠があるということを覚えておきたい。あまりに手を広げすぎると、得をするどころか、かえって損をすることもあり得るのだ。

スマホ決済アプリの「残高○○円」は
あくまでも運営独自のポイントを
購入したという考え

スマホ決済のアプリを開くと、「残高○○円」と表示されるが、この残高は厳密には日本円ではない。あくまでも運営独自のポイントを購入したという考え方なのだ。残高は○○円ではなく、「○○円相当のポイント」なのだ。そのため、各社によって有効期限が設定されていて、その間、チャージも決済をしないと、残高がなくなってしまう。ひどい話だが、日本円ではなく、あくまでもポイントなので、そのようなことになっている。例えば、LINE Payでは、5年間、残高が変動しないと失効して残高は0円になる。

わかりやすいのは「楽天Pay」と「d払い」だ。楽天Payは楽天スーパーポイントを決済にも使える、d払いはdポイントを決済にも使えるというサービスなので、それぞれ1年間、4年間という有効期限がある(楽天キャッシュは有効期限10年間)。スマホ決済の中では、PayPayが有効期限の撤廃に踏み切っている。

つまり、還元ポイント率が高くお得だからと、あまりにたくさんのスマホ決済に手を出すと、いつの間にか失効して、残高がパーになるという事態もあり得る。わずか2%の増税で、5円、10円を積み重ねて得をした気になっても、最後の最後で1万円の残高がパーになってしまったらトータルで損をすることになる。

さらに還元ポイントも要注意だ。還元ポイントは、多くのスマホ決済で「ボーナス」などという名称で、残高とは別扱いになっていて、有効期限1ヶ月から6ヶ月程度の期間限定ポイントになっている。決済をするときは、有効期限の短いポイントから使われるようになっているが、それでもしばらく使わないでいると、ポイントは無効になってしまう。

また、還元ポイントが複数あり、それぞれで有効期限が異なっている点も注意したい。このような還元ポイントは、「失効します」という通知を送り、消費させることが目的なので、各社いろいろ戦略を立てて、短期の有効期限が設定されているのだ。



(各運営公式サイトの「よくある質問」などから作成。有効期限については変更もあるので、利用するときは必ず各社公式サイトを参照のこと。)

つまり、月に1回程度しか使わないようなスマホ決済は、使わない方が賢い。銀行口座に出金する機能もあるが、その場合は、出金手数料が200円から300円程度必要になる。もちろん、退会をするからといって払い戻しがあるわけではない。スマホ決済は、あまり手を広げず、1つか2つに絞り込んでおく必要がある。

「電子マネー」は「マネー=日本円」

一方で、Suica、nanaco、WAON、楽天Edyの「電子マネー」と呼ばれるものは、中に入っているのは「マネー=日本円」なので、有効期限は存在しない。残高が消えることはない。Suicaには5年ないし、10年の有効期限があるとよく言われる。確かに5年でカードが使えなくなるが、駅員に処理をしてもらうことで再び使えるようになる。10年でカードそのものが無効になるが、みどりの窓口などで、新しいSuicaを発行してもらい、残高を移し換えることができる。いずれの場合も残高はなくならない。また、残高の返金も、手数料220円が必要になるが、可能だ。電子マネーは使える場所が、発行主体により限定されるが、有効期限の面では安心ができる。

また、QUICPay、iDなどのポストペイ型電子マネーでは、そもそも残高という考え方がなく、決済ごとに紐づけているクレジットカードから引き落としなので、こちらも有効期限の面で安心ができる(QUICPay、iDはそのものに消費者還元ポイントがつくのではなく、紐づけているクレジットカードなどに還元ポイントがつく)。

メインでポストペイ型電子マネーと
クレジットカード、スマホ決済は
サブとして1つか2つ、がおすすめ

人によって考え方や買い物習慣が異なるので、一概に言うことはできないが、メインの決済手段としては、有効期限を考えなくていいポストペイ型電子マネーとクレジットカードを使うと、余計なことに気を煩わされることが少ない。一方で、有効期限のあるスマホ決済は、利用できる店舗も増えてきて、なおかつ大型の還元キャンペーンを行なっているため、サブの決済手段として1つか2つを入れ、ポイントを回収し、キャッシュレス消費者還元事業が終わる2020年6月以降に整理をしていくというパターンがいいのではないかと思う。

スマホ決済の中では、PayPayが大型還元キャンペーンを行なっていて、しかも残高の有効期限を撤廃して、永久に残高が残るようにポリシーを改めた。他のスマホ決済も、有効期限をなくす流れになってほしいものだ。

スマホ決済をクローズするときは、残高をきっちり使い切って、0円にするのがなかなか難しい。ひとつの方法は、1円単位でチャージができるので、低価格の商品を買うときに、きっちり支払額になるようにチャージをして決済をするという方法がある。

もうひとつは現金と併用して決済する方法だ(ただし、お店には迷惑な方法なので、断られることもあるかもしれない)。300円のものを買うのに、残高が200円しかない場合、決済そのものができない。しかし、現金で決済をしようとしたが100円しかない。足りない部分をスマホ決済で支払うという場合は可能だ。300円のものを買って、100円を出し、「足りない分をスマホ決済で支払いたい」と言えば、だいたい対応してくれる。

高額商品を買うときに、2枚のクレジットカードに分けて支払いをすることがあるが、それと同じだ。ただし、レジ操作は複雑となり、お店にはかなり迷惑な行為となるので、あらかじめ、店主やスタッフに相談をしてから決済をすることをお勧めする。

これでも、数円分の還元ポイントは残ってしまう。これはもう手数料としてあきらめるほかない(スマホ決済によっては、還元ポイントも家族などのアカウントに送金できるケースもある)。

キャッシュレス決済を
うまく使いこなすと、
消費税分ぐらいは取り戻せる

残高が0円になったからといって、そのままアプリを削除してはいけない。削除する前に必ず銀行口座やクレジットカードの紐付けを解除しておくことが必要だ。キャッシュレス先進国の中国では、紐付けしたままの休眠アカウントを利用して、口座から資金を盗み出す事件が起きている。紐付けを解除した後に、顧客センターに連絡をして、アカウント削除の手続きまでしておけば完璧だ。

消費税があがり、いろいろ対策を考えられているかと思うが、キャッシュレス決済をうまく使いこなすと、消費税分ぐらいは取り戻せる。目先の還元率だけに惑わされず、「用済みになったスマホ決済は削除する」というところまで視野に入れて、戦略を練っていただきたい。やり始めると、ゲーム感覚でけっこう面白くなるはずだ。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

消費税ポイント還元、スマホ決済に落とし穴残高に有効期限がある場合も!?

この記事はどうでしたか?

おすすめの記事

キャリアを考える

BACK TO TOP ∧

FOLLOW