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失敗LT大会。ルーキーエンジニアが「あるある」失敗をライトニングトークで10連発イベント【後編】
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失敗LT大会。ルーキーエンジニアが「あるある」失敗をライトニングトークで10連発イベント【後編】

2019.09.13

 
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2019年7月10日、東京・渋谷のTECH PLAY SHIBUYAにおいて、「ルーキーエンジニアが吠える!失敗LT大会」という珍しいイベントが開催された。主催はTECH PLAY、アイスタイルが協賛した。

エンジニアが成功例を披露するイベントは山ほどある。「イベント登壇するような人はやっぱりすごいエンジニアなんだな」と思っている人も多いだろう。そんなことはありません。成功するエンジニアほどたくさんの小さな失敗をしているものなのだ。

このイベントは、10人のルーキーエンジニアが、自分の失敗を分6間のLT(ライトニングトーク)で発表して、失敗経験をシェアしようというもの。学べるところは多く、なにより、過去の失敗は、心置きなく笑える。経験と笑いの両方を同時に共有できるというイベントだ。リアルな成長をするには、リアルな失敗を知ることが重要だというのがテーマだ。

平日の夜にも関わらず、60人以上が参加をした。後編では、後半の5人のLTをご紹介する。

6)渡邊洋平氏(DMM.com):とあるページのファーストビューにエラー文を20時間出しっぱにした話

渡邊氏はDMM.comの同人事業部のエンジニア。FANZA同人のウェブ開発を務めている。業務の中で、viewパーツを改修して本番リリースをした。これはよくある基本的な業務だ。

しかし、問題はまったく関係のないページでエラーが出てしまった。原因は、TOPページのみで使う命名規則のviewパーツが、他ページから参照していたことだ。そのためコードベースでの影響範囲調査を怠り、エラーを出してしまったのだ。



渡邊氏は、作業に入る前から嫌な予感はしていたという。なぜなら、すでに15年も保守され続けてきたレガシープロダクトだったからだ。思い込みで判断することは非常に危険である。

ただし、そのままエラーが出たで終わってしまったらプロのエンジニアではない。Google Analyticsを使用し、損失額の計算と報告、再発防止についての説明を行ったという。余談だが、エラーが起きたページの離脱率は2%改善した。「エラーが起きているから離脱する」のではなく、「エラーが起こってる。他のページはどうなっている?」という行動をとるユーザーが多かったのではないかと推測しているという。

得られた教訓は「改修対象ファイルのファイル名、クラス名、メソッド名、変数名などはリポジトリーごとに愚直にgrepしろ」という基本中の基本。基本に立ち返ることの大切さを実感したという。



7)清水幸祐氏(ハンズラボ):Amazon Personalizeでやらかした話

清水氏は2018年にハンズラボに新卒入社したエンジニア。東急ハンズのECサイトのバックエンドを担当している。

2019年6月10日から、AmazonはAmazon Personalizeというサービスを提供している。これは、自社アプリの中で、機械学習によるレコメンデーションを提供できるサービスだ。Amazon.comと同じように、オススメの商品紹介などが自社アプリの中でできるようになる。ユーザーのデータ、購買データ、商品データを読み込ませることで、ユーザー個別にオススメ商品を紹介してくれるというものだ。



各ユーザーにどのような商品がレコメンドされているのかを知りたくて、レコメンドしている商品を取得するコードを実行。実行したままAWS SUMMITに参加してしまった。すると、同僚から「料金が跳ね上がっているけど、Amazon Personalizeってなんのサービス?」という連絡が。2日で気づいて止めたものの、3000ドル以上(約34万円)もの料金が発生した。AWSのサポートからも、料金がかさんでいるけど大丈夫ですか?という問い合わせが来ていた。

原因は、TPS(transactions per second)を200に設定していたことだった。つまり、1秒間に200回もレコメンドデータを取得しにいっていたのだ。その200回分のデータの中身はほぼ同じ。これが料金が跳ね上がった原因だった。

新しいサービスを始める時は、課金体系をしっかりと確認し、おおよそでいいので計算しておくが大切だという教訓を得た。また、同僚エンジニアと料金予測を共有することも大切で、場合によってはAWSのサポートに相談することも必要だったという。



8)仲澤義広氏(アイスタイル):認識の齟齬から!訴えられるところだった話

仲澤氏はアイスタイルの2年目エンジニア。業務の中で、メールマガジンの受信対象者を抽出する業務を行った。 メールマガジンは全員に送るのではなく、内容に応じて、適した受信者のみに配信をする。

この作業には、過去のSQLをコピー&ペーストして、内容を修正して抽出をするという悪しき習慣があった。仲澤氏も、その方法で受信対象者を抽出した。この時に、おせっかいで条件を広く取った方がいいと勝手に条件を変えて抽出をしてしまった。よかれと思ってやったことだ。

しかし、結果は、ある会員から、長い間アイスタイルからメールマガジンが送られてこなかったのに、突然送られてきたという問い合わせが入った。その会員は、メールマガジンの送信に同意はしていたが、条件抽出に合わないため、長期間メールマガジンが送られてこない会員だった。 長い間こなかったのに、突然送られてきたので驚いて問い合わせをしてきたのだった。



得られた教訓は、「報連相まじで大事」というものだった。条件を設定するときに、勝手にやらずに一度確認をしておけばこのような問題は起きなかった。もうひとつは、顧客のメールアドレスという個人情報の扱いに対していつの間にか意識が低くなっていたことだ。メールマガジンが送られていなかった人に送られても、問題がない、お得情報をもらってむしろ得するのでは?ぐらいの感覚でいた。今後は、報連相を徹底するだけでなく、メールマガジンの発送を依頼する事業部が自分で条件入力ができるような仕組みもを導入できればと思っている。

9)小泉裕之介氏(メルカリ):大規模な組織で新規機能開発が頓挫したことの学び

小泉氏はメルカリのエンジニアで、LINEボットを利用した新施策の実験をしていた。この開発が失敗をした。失敗の要因は、実験ということもあって、じゅうぶんな設計をしないままスケジュールを見積もっていたことだ。そのため、開発途中にリスケジュールが頻発していた。また、どう考えても開発期間中に実装できない機能まで開発スケジュールに組み込まれていた。

さらに、きちんとしたドキュメントを作成しないままに開発に入っていたことも大きな問題だった。ドキュメントがないために、各方面とのコミュニケーション量が肥大化し、エンジニアの時間が取られるばかりでなく、関係部署の時間も無駄にしていた。



得られた教訓としては、「どんな開発であっても、必要最低限のドキュメントを作成しておく」「関係部署にはドキュメントを先出しし、無駄なコミュニケーションを生まないようにする」というもの。エンジニアには開発だけでなく、プロジェクトのマネージメントも求められる。目の前の開発だけでなく、先を読んで動かなければならないと反省したという。

10)田中大資氏(三越伊勢丹システムソリューションズ):データ・フルセットの分析は安心??

田中氏は、三越伊勢丹システムソリューションズのアナリティクスグループに所属するエンジニア。次期分析基盤の構築業務をしている。田中氏はBIツールの導入にあたって、すべてのデータを分析できるフルセットデータを2ヶ月もかけて作成した。それは2億行×100カラムという膨大なものだった。販売担当者などが、このBIツールを使って分析をすることで、販売促進などに活用できる新しい知見を得流ことができる。分析対象は広い方がいいと考え、フルセットのデータを用意した。

2ヶ月もかかり、残業までして用意したフルセットデータだが、結果は、半年間で10回使われただけという惨憺たるもの。その理由はすぐにわかった。選択肢が多すぎて、ユーザーはどの条件を使えばいいのか戸惑ってしまったのだ。さらに、実行してみるとデータが重すぎて、解析に膨大な時間がかかってしまう。どんな分析でもできるようにと、フルセットデータを用意したことが仇になっていた。



田中氏はジャム理論を思い出した。24種類のジャムがあると選択肢が多すぎて買う気になれないが、6種類のジャムであると選択しやすく、購入する人が増えるという話だ。

得られた教訓は「いきなりフルセットにしたから安心できるわけではない。ちょっと足りないぐらいの方がちょうどいい」。それぐらいの方がユーザーにとっては使いやすく、改善点を自発的に口にしてくれるようになると考えるようになった。

LT(ライトニングトーク)は、5分から6分という短いプレゼンテーションを行うというもの。多数の登壇者を出演させることができるため、幅広い話に触れることができる。終了後には懇親会も行われたので、気になった話には、直接登壇者に話をすることもできる。

特に「失敗」にフォーカスをした点が好評で、すでに会場からは次回はいつ?との声も。TECH PLAYの公式サイトをチェックしていただきたい。

失敗LT大会。ルーキーエンジニアが「あるある」失敗をライトニングトークで10連発イベント【後編】

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