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アドレスホッパーという新しい生き方オフィスだけでなく、住まいもフリーアドレスの時代がやってきた!?
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アドレスホッパーという新しい生き方
オフィスだけでなく、住まいもフリーアドレスの時代がやってきた!?

2019.07.25

 
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アドレスホッパーとは!?

アドレスホッパーという新しい生き方をご存知だろうか。定住するための家を持たずに、移動しながら生活する生き方だ。このような生き方が注目される背景には、宿泊施設のサブスクリプションサービスが登場してきていることがある。

空き家、別荘などの遊休家屋をリノベして、月額4万円から好きなところに住むことができるADDress(アドレス)、月額8万2000円で好きな場所のシェアオフィス+シェアハウス+カフェが利用し放題になるHalH(ハフ)、月額4.5万円からホステルに泊まり放題になる「ホステルパス」などが登場してきている。



(ADDress(アドレス)。月4万円(予定)から住み放題。空き家や空き別荘をリノベーションした家に住むことができる。ひとつの拠点に連続1週間住むことができる)

すでに多くのメディアが注目し、雑誌やテレビで特集されることも増えてきている。しかし、ネットニュースのコメントや掲示板などでは、評判はあまりよくない。よくないというのは、各サービスのことでなく、アドレスホッパーという生き方になんとなく胡散臭いものを感じている方が多いようなのだ。「ただの住所不定じゃないの?」「旅をしながら暮らすって、どうやって生活費稼ぐの?」「家族はどうするの?」「将来とか老後はどうするの?」といったものが多い。

おそらく、以前話題になったノマドワーカーのことが頭にあるのではないかと思う。ノマドワークとは、喫茶店やコワーキングスペースを転々としながら仕事をすることで、今となっては、普通の会社員でも似たような働き方をするようになっている。しかし、メディアに取り上げられるのは、会社にも属さず、家でも仕事をせず、わざわざノマドワークをするような極端な例が多い。しかも、話題作りのために「これで年収××××万円」と高収入であることをアピールし、挙げ句の果てに「時間と場所にとらわれない働き方」となにか素晴らしい働き方であるかのように取り上げられ、実際にノマドワーカーになった人もいた。

しかし、誰もが疑問に思うのが、「無理して喫茶店で仕事することもないんじゃないか」ということだ。働き方というのは、必要があってそれに見合ったスタイルをとるのであって、無理に特定の働き方スタイルに合わせるのは愚かなことだ。



(HafH (ハフ)。利用し放題の「1ヶ月まるごとプラン」は月8万2000円。利用できるのはシェアハウスだが、コワーキングスペースやカフェが完備をしている。国内だけでなく、海外にも拠点が多数あり、もちろん利用できる)



(ホステルパス。ホステルに無制限に泊まれる「ホステル暮らしパス」は、平日のみが月額4.5万円、平日+休日が月額7.5万円。一度に予約できるのが2泊までという制限付きのパスは月額3万円から(宿泊回数は予約が取れれば無制限))

職場そのものを
フリーアドレスにする企業が増加

今、多くの人が部分的ノマドワークを取り入れている。それは自宅、職場、客先と移動する中で、いちいち職場に戻るのは時間が無駄になるということから、適切な場所のコワーキングスペースなどで仕事をするというものだ。「何があっても、一度、帰社して上司に報連相を」という古い働き方では、無駄な移動時間が生まれるため、多くの人が部分的ノマドワークを取り入れている。

さらに、大きいのが、職場そのものがフリーアドレスにする企業が増えていることだ。普段から社内でノマドワークをしているようなもので、それが移動経路の都合で社外の喫茶店やコワーキングスペースに拡張されただけにすぎない。社内がフリーアドレスになっていれば、インターネットがあれば業務ツールにもアクセスできるなど環境も整っている。

アドレスホッパーも同じで、そういう働き方を必要としている人がいる。例えば、大阪の企業に勤務しているが、中国、四国地域のエリア営業を担当している人がいる。彼は技術営業で、担当地域の客先を訪問し、納入システムの問題点や改善点をヒアリングして、次の営業に結びつける仕事をしている。週5日のうち、3日ほどはホテル泊だという。本社との打ち合わせは、コワーキングスペースなどからスカイプで行う。この人の場合は、家族がいるので、大阪市内に家を持っているが、「独身だったら、家はなくてもいいよね」と言っている。

また、ある人は、自社が開発販売した業務ツールの客先向け講師として、日本全国を移動している。大半がホテル泊で、東京の家に帰れるのは週末だけだという。彼は独身であるため、家は家賃の安いワンルームで、寝るためと荷物置き場として使っている。

ここまで極端でなくても、人材募集の責務を担ったシニアエンジニアは、各地のテックイベントに出席するため、出張がものすごく多い。家をなくして、アドレスホッパーとして生きるというのは極端にしても、家の機能を軽くして部分的アドレスホッパーとして生きる生き方を必要としている人は想像以上にいるはずだ。

家の機能が軽くなってきたことが
部分的アドレスホッパー生む
問題は、役所系

オフィスがフリーアドレスを取り入れることで、部分的ノマドワーカーを生んだように、家の機能が軽くなってきたことが部分的アドレスホッパーを生んでいる。固定電話というのはもはや必要がなくなっている。入れたところで、怪しげな営業電話しかかかってこない。郵便というのも、私的な部分ではほとんど使わなくなっている。ポストを設置しても、ピザの宣伝チラシばかり入ってくる。

問題は、役所系だ。役所は未だに、多くの通知を郵便に頼っており、住民登録を必要として、定住することを求めている。引っ越しをしたら14日以内に住民票を移さないと、5万円以下の過料という罰則を受けることもある。ただし、生活の拠点が移動しないのであれば、移さなくても罰則を受ける可能性は低いという。例えば、大学に通うためにマンションを借りたが、卒業したら実家に帰る予定であるとか、単身赴任をして最終的には生活の拠点に戻る場合などだ。

また、一時話題になったネットカフェ難民の問題では、ネットカフェを生活の拠点にしており、その施設の持ち主が了承する場合は、ネットカフェに住民票を置くこともできる。ただし、どこにも住民票を置かないということは、今の日本ではできない。住民票がないと、自動車免許や健康保険証、マイナンバー、パスポートなどの身分証明になるものも取得できないし、納税ができない。住所不定で納税しないというのは脱税になる。

つまり、100%のアドレスホッパーになることはできないが、実家などがあり、そこに住民票を置いて、宿泊サブスクを利用して移動しながら生きるということはギリギリ問題がないようだ。

あと数年で、
アドレスホップという生き方を
取り入れている時代に!?

今、「生まれた家で死ぬ」という生き方をする人は少なくなっている。ライフステージに合わせて、家を変えていくのは当たり前になっていて、家はもはや生活ツールのひとつと考えられるようになっている。頻度は少なくても、多くの人がアドレスをホップしながら生きているのだ。無理にアドレスホッパーになることは必要ないが、家に固定されたものを整理していき、身軽になっておくことは始めてもいいのではないだろうか。とりあえず、固定電話をやめて携帯電話だけにし、可能な通知は郵便ではなく電子メールに切り替えてみる。不要な家具を捨て、ミニマルライフに寄せていく。それだけでも、気持ちに余裕が生まれてくる。

ノマドワーカーになることはなくても、誰もがノマドワークを自然に取り入れている。あと数年で、アドレスホッパーにはならなくても、アドレスホップという生き方を取り入れている時代になるかもしれない。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

アドレスホッパーという新しい生き方オフィスだけでなく、住まいもフリーアドレスの時代がやってきた!?

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