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未経験からITエンジニアへの転職に役立つIT基礎知識(6)30年IT業界にいて思うこと
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未経験からITエンジニアへの転職に役立つIT基礎知識(6)
30年IT業界にいて思うこと

2019.06.11

 
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4月に55歳の誕生日を迎えた。若い頃と違い、誕生日が近づくと”また歳を重ねて寂しい”という感覚や”新入社員研修が始まり多忙な日々が始まる”など、色々な思いが廻る。50代になってよく思う事は、現場で仕事を続けられたことへの感謝だ。

特に私を理解し、サポートしてくださっている方々への感謝の気持ちは強い。感謝の気持ちは人の原動力の中で最も重要な精神的要素だと私は考えている。これからもこの気持ちを大事にして精進していこうと思う。前置きはこれくらいにし、最終回なので30年以上IT業界にいて私が思い、感じていることやIT企業を選ぶときに気をつけなければいけないことなど、方向性は異なるが伝えられるだけのメッセージを発信していきたいと思う。

古川正寿

日本のIT業界が心配

私はIT業界に30年以上いるが、まさに日進月歩の発展を感じてきたし、それにより業界全体が大きく成長してきたのを目にしてきた。ITテクノロジーはどんどん進歩しながら社会の隅々にまで浸透し、交通機関の利用方法が変わり、スーパーマーケットや小売店での買い物が変わり、私たちのコミュケーション方法も変わってきた。

しかし、2010年くらいから業界全体の未来に対する危機感を感じ始めたのも事実である。

2010年以前は圧倒的に企業や社会が、より便利になるためのITであったのに対して、2010年以降はSNSを始めてとする個人が主役のITに変わってきたように思う。個人がITを利用することで様々なデータが蓄積され、やがてビッグデータと呼ばれるようになり、さらにビッグデータを利用することで今まで不可能と思われていたAIテクノロジーも大きく発展した。

このような流れの中で大きく成長、発展し世界的な存在感を示しているのがGAFAである。中国のIT企業もGAFAと同じくらいの存在感を示すようになってきた。



ITを国の産業の主軸と捉え、国や地域レベルで発展させていこうという動きはインドやマレーシア、ベトナムなどのアジア諸国だけでなく、北欧諸国など、世界レベルになっている。これらの国々の中にはいずれGAFAのような存在感を示すような企業が出てくるかもしれない。私たちが暮らす日本に目を向けてみよう。アメリカに次いで古くからIT産業がある日本だが、世界に存在感を示すようなIT企業は皆無に等しいのが現実である。これは、私がITの世界に飛び込んだ30年以上前と何も変わっていないような気がする。日本は他の国や地域とは異なる独特の産業モデルを作り、それによって発展してきた歴史がある。日本のIT産業モデルは建設業界の産業モデルをベースにした大変古いモデルで今の時代に全くマッチしない。

現在も古いモデルのままでガラパゴス化しているのだ。古い価値観に縛られ身動きが取れない状況が続けば産業としての力が失われ、日本はIT後進国になってしまうのではないかと危惧している。しかし、中には古いモデルを否定し新しいビジネスモデルを採用して時代に合った働き方やエンジニア育成を始めている企業もたくさん出てきている。日本のIT業界は世界を見渡すと、だいぶ遅れた業界になりつつあり、大きな転換期にあること忘れないでいて欲しい。

企業選び

IT業界に興味を持ち、企業に就職あるいは転職を考えている人たちに企業を選ぶ際に気をつけておくべきことを話していきたいと思う。IT企業に限ったことではないが今は人手不足であり、売り手市場である。企業側は会社に入ってもらおうと、あの手この手で工夫をしている。

これからIT業界に入ろうと考えている方々に会社選びのアドバイスを1つ。

企業を選考する際に会社のHP、ブログやFacebookなどを見る事は誰もがやっていることだと思う。私も同業界の1人として無作為に企業のHPやブログなどを閲覧している。閲覧して驚かされる企業も少なくない。IT企業なのにブログはあるが記事が無いとか、SNSはあるがほとんど投稿が無いというケースが多いことに憤慨する。また、HPにいたっては何年も更新されていないというケースも多い。これは私個人の意見だが、このような企業には行かない方が良いだろう。理由は様々あるが、このような企業の経営層はITやテクノロジーにあまり興味を持っていない。このような企業はほんの少しだけITの知識を勉強させて、派遣社員として他の企業に派遣させてしまう。つまり、企業としてどのような分野でITを通して社会貢献していくかビジョンもアピールポイントも無いから外に対して発信するメッセージが無いのだと思う。1年以上何も更新が無いような企業は気をつけた方が良いだろう。これまで述べてきた企業が古い価値観を色濃く持った企業なのだ。

面接は会社を知るために重要な手段

面接などの機会があったら会社の様子を見学させて欲しいとお願いして見学してみることをお勧めする。前に述べたような、古い価値観を色濃く持った企業のオフィスは、事務スタッフが数名いるだけで閑散としていて活気が無い。エンジニアを育成するという観点も希薄なのでスキルアップするチャンスも無いだろう。

機会があれば面接官だけでなく、エンジニアの方と直接会わせてもらうのも良いと思う。出来る限り、なるべく多くのエンジニアに仕事内容や会社の特徴を聞いてみることで、面接だけでは見えてこないことも知ることができる。私ならお会いしたエンジニアの様子も観察する。明るい表情をしているか、服装は清潔感があるか、など確認すると参考になる事はたくさんあるように思う。

面接をすることになったら、その前に質問事項をきちんとまとめておこう。



今は売り手市場であり、企業側は良い部分ばかりを言ってくるケースが多い。会社の良い部分だけではなく、会社の悪い部分はどこか、会社が課題としていることは何か、などを積極的に質問して欲しい。真剣に面接してくれる方であれば会社の良い点、悪い点、課題を分かりやすく適切に説明してくれるだろう。質問に対しての誠実さという点は、面接においては重要なポイントであることは双方に言えることだ。

簡潔に言えばどれだけ真剣に向き合ってくれるのかを見るということだ。面接では自身がどのようなビジョンを描いて面接をしに来たのか、会社のどのような点に共感したのかをはっきりと述べた方が良い。質問に対して「なんとなく」という雰囲気が伝わるのが一番良くない。

自身が選ぼうとしている会社がどんなビジネスをしているのか、どんなスキルアップの可能性があるのかだけでなく、些細なことでも積極的に面接で尋ねることも大事だし、面接以外でもメールなどで質問に対して親切に対応してくれるかも試してみると良いだろう。

時々あることなのだが、御社はどのような評価制度ですか?と質問をしてくる方がいる。

人の評価には定量的な評価(数字で評価できる要素)と定性的な評価(数字では表しにくい)がある。AIのときにもお話したが数値で評価できる仕事の多くがAIに取って代わられる時代が、すぐそこまで来ている。そして、数値では表しにくい知的イノベーションが今よりも一層価値を持つ時代になりつつある。これからの時代、会社も社員も成長していくには両方をバランス良く用いていくことが重要になる。評価制度が気になる方がいればあえて言っておく、完全無欠な評価制度はこの世に存在しない。社員の構成やビジネスの特徴、時代など様々な要素が相まって常に変化しているものであることを忘れないで欲しい。

贈る言葉

最後に、ここまでお付き合いしてくれたあなたに感謝する。

人生というドラマの主人公はあなたであることを忘れないでいて欲しい。自分の知らない世界にチャレンジしていくのが良いのか、ひとつの道が見えたらそこに向かってしっかり歩んでいく方が良いのか、若いうちは自問自答しながら色々な経験を積んでいって欲しいと思う。

「人生に無駄なことは無い、無駄だと思う人がいるだけだ。」

どんな企業で仕事をするにせよ、自分としては不本意で、やりたくない仕事をしなければならないこともあるだろう。そのような時こそ、この言葉を思い出して欲しい。

どんなにつまらなく感じる仕事であっても見方を変えれば得るものがたくさんある成長の種になるのだ。IT業界にいるひとりとして、希望に満ちて人生を輝かせようとしているあなたに出会えることを楽しみにしている。

原稿:古川正寿(ふるかわ まさとし)

1964年4月3日生まれ。
株式会社フルネス 代表取締役CEO
https://www.fullness.co.jp/
【略歴】1997年、有限会社フルネスを設立。当初はフリーランスのSEとして、システム開発から技術コンサルティング、書籍執筆、雑誌への寄稿、セミナー活動など幅広く手がけていたが “現場任せの教育”に異議を唱え「忙しい日本のエンジニアに、もっと学びの場を」と、次第に教育研修をメイン事業に。
2003年、株式会社に組織変更。現在のメイン事業はIT研修とシステム開発。多数の有名大手企業に、幅広いジャンルの教育研修を展開。
特にSpring4、Go、Python等最新の技術についは注力し研修を行っている。

【フルネス紹介動画】https://youtu.be/jrajYySsMrY

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