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「どこまで発展する!? 中国のびっくりIT最新事情」第13回レールがない路面電車。リニアモーターカー地下鉄。進化する中国の都市交通
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「どこまで発展する!? 中国のびっくりIT最新事情」第13回
レールがない路面電車。リニアモーターカー地下鉄。進化する中国の都市交通

2019.06.26

 
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中国のあらゆる都市で人口が急増、
どの都市も都市交通の整備が間に合わず

中国のあらゆる都市で人口が急増している。高い賃金と快適な生活を求めて、周辺の農村部からの人口流入が止まらないからだ。Wikipediaの「世界の市域人口の順位」によると、3000万人超えの重慶を筆頭に、50位までに中国の都市が17都市もランクインしている。さらに、2020年までに100万人都市が80都市程度新たに誕生すると予測されている。

豊かになる中国で、ある意味自然の成り行きではあるが、どの都市も都市交通の整備が間に合っていない。すでに道路は許容量を超え、交通渋滞が常態化し、バスは定時運行が難しい状態になっている。地下鉄や高架の都市鉄道が必要だが、計画を立てて建設、開通までには時間がかかる。都市交通問題は、すでに中国の都市の持病になっている。

注目されているのが、
中車株洲電力機車研究所が開発した
『スマートレール』

この状況下で注目されているのが、中車株洲電力機車研究所が開発したスマートレールだ。スマートレールは、レールが必要なく、特殊塗料でペイントした白線の上を走行する。この塗料を追跡しながら走行するので、運転士はハンドル操作などは必要ない。通常の路面電車と同じように、速度と発進、停止だけを制御すればいい。

最高速度は70km、1車両に100人程度が乗車でき、3両編成から5両編成での運行が標準となる。動力はバッテリーで、ターミナル駅などで充電をする。10分の充電で約25kmの走行ができるという。

このスマートレールの特長は、レールを敷設する必要がなく、特殊塗料によるペイントをするだけなので、他の都市交通に比べて低コストで、建設期間も短縮できることだ。

中国での一般的な1kmあたりの建設コストは、地下鉄の場合で約100億円、路面電車の場合で約30億円だが、スマートレールの場合は6億円程度ですむ。



(中車株洲電力機車研究所が開発したスマートレール。特殊塗料でペイントされた白線を追跡しながら走行する。株洲市で試験運転が始まっていて、夏には営業運転に移行する(「百度百科」より引用)。)

さらに、建設期間も短い。路線計画を立てるところから営業運転まで1年ほどで可能だという。1年の時間が必要なのは、路面電車と同じように公道を走行するため、信号機や走行レーンの整備をする必要があるからだ。

安く早く作れるため、急激な人口流入をしている都市にはうってつけで、各都市から注目されている。レールを敷設する必要がなく、ペイントだけでいいので、複数の路線を設定し、道路状況に応じて異なる路線を選択し、道路渋滞を避けるようなこともできる。

すでに湖南省珠洲市でA1路線3kmの建設が終わり、5月から試運転が始まっている。3ヶ月の試運転(後半では実際の乗客も乗せる)で問題がなければそのまま営業運転に入る。また、A1路線はすでに9kmの延長工事も始まっていて、全長12kmになる予定だ。

また、北方の都市からも注目をされている。鉄のレールでは走行中に結氷を弾き飛ばし、車両故障の原因となるため、ほぼ毎日路線の点検が必要になるが、ペイントだけのスマートレールではその必要がない。雪が被っても、特殊塗料を感知することができるため問題がない。道路が走行できる状態であれば運行ができる。



(積雪、結氷などの低温環境にも強いことから、スマートレールは、北方の都市からも注目されている。ハルピン市では乗客を乗せる試験運転が今年の初めに行われた。こちらも営業運転が始まるものと期待されている(「中車株洲電力機車公式サイト」より引用)。)

黒竜江省のハルピン市では今年の1月にスマートレールの試験運行が行われた。24日間の試験後半では、実際の乗客も乗せ、1日4往復で毎日1500人が乗車した。試験の累積走行距離は、815.4kmに達したが、問題は生じず、低温環境でもスマートレールが有効であることが証明された。

今後も、人口が急増している都市、北方の都市で試験運行が行われ、営業運行していくことになる。

北京、上海などの大都市で
注目をされているのが
『低速リニアモーターカー』

北京、上海などの大都市で注目をされているのは低速リニアモーターカーだ。低速とは最高時速100kmから120kmで走行するリニアモーターカーのことだ。



(北京市を走る低速リニア。登坂能力が高く、路線敷設空間が乏しくなっている大都市から注目されている。北京市は次世代鉄道の実験場のようなことになっている(「百度百科」より引用) 。)

大都市では地下も高架もすでに新路線を建設する空間に乏しくなっている。これ以上の路線を建設しようとすると、深いところを走るか、高架を高くするかしかない。一般的な電車の登坂能力は30パーミルが限界だが、リニアであれば100パーミルまで可能になるという。この登坂能力の高さが都市交通から低速リニアが注目される理由になっている。

また、浮上式のリニアであるため、接触する部品が少ない。そのため、メンテナンス費用も従来の地下鉄に比べて大きく下げられる。騒音が少ないので、都市交通に向いている、カーブでの速度が大きくできるなど数々の都市交通向きの利点がある。

北京市では、2017年3月にすでに地下鉄S1線で、低速リニアを実現している。北京西側の郊外の苹果園から石廠までの10.2kmを結ぶ路線だ(一部建設中)。

さらに、北京市西南郊外を走る全長16.6kmの燕房線では、人工知能による無人運転が行われている。現在は安全確保のため、監視員が運転席に乗車し、いつでも人が操作に介入できるようにしているが、安全性が確認されたら運転士も車掌も乗務しない完全無人運転になる。

中国の都市人口増加問題は、都市の持病となっていて、効率的な都市交通こそが特効薬だと考えられている。そのため、中国の地下鉄は、次世代鉄道の実験場のようなことになっている。鉄道好きな方は、鉄道を見に中国旅行に行くのも楽しいはずだ。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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