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「できるエンジニアがこっそり読んでいる傑作マンガ」第2回アルゴリズム思考を養う5作品
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「できるエンジニアがこっそり読んでいる傑作マンガ」第2回
アルゴリズム思考を養う5作品

2018.06.29

 
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エンジニアにとって、いちばん重要なアルゴリズム思考。日頃から、目に入るものをすべてを頭の中でアルゴリズムで記述して理解する習慣をつけておく必要があります。交差点の信号機の仕組み、カフェで注文から商品がでてくるまでのオペレーション、エレベーターの効率的な動かし方、炒飯の作り方など、アルゴリズム思考を磨く題材はどこにでも転がっています。
そこで、あなたのアルゴリズム思考を磨く傑作マンガをご紹介していきます。Kindleで電子化されていて、スマートフォンでいつでも読めるものだけに限定しました!(順位はあくまでも個人の主観です)。

牧野武文

第5位 ラノベ感覚で数学が身につく
『浜村渚の計算ノート』

(青柳碧人原作、モトエ恵介画、講談社刊)

一見、ラノベっぽいストーリー、少年誌っぽい絵柄ですが、中身はかなり本格派。四色問題や円周率、フィボナッチ数列など、エンジニアなら押さえておきたい数学の基礎知識を軸にストーリーが展開していきます。

急増する少年犯罪の対策として、日本政府は、義務教育で心を伸ばす教科を重視。一方、理系科目である数学は廃止されます。数学の復権を謳ったテロリスト集団「黒い三角定規」は、数学復権を訴えてテロを行います。このテロリストに対抗する民間協力者とした選ばれたのが、千葉市立麻砂第二中学校二年生の浜村渚でした。数学的テロに、数学の天才浜村渚が数学的に解決をしていく。ちょっとボンヤリしているところもある浜村渚ですが、「役に立たない数字なんて、この世にはないはずです」と、鋭い観察力と洞察力で、黒い三角定規が仕掛けてくるテロを未然に防いでいきます。

荒唐無稽なストーリーだけに読みやすく、扱われている数学トピックスは本格派。気楽に読んで、数学の知識が身についていきます。

第4位 自然言語処理アリゴリズムの宝庫
『ナナマルサンバツ』

(杉基イクラ著、KADOKAWA刊)

クイズ研究会をテーマにした王道熱血マンガです。登場するクイズのテクニックがいずれも超絶技巧!例えば、早押しクイズの「確定ポイント」。「なぜ山/」「正式名を特に水鳥/」。ここまで問題文が読み上げられただけでボタンを押して答えることができます。あるいはパラレル問題の「アクセント」。「鎌倉幕府の初代将軍は源頼朝ですが…」と問題文が途中まで読み上げられた時、「将軍」にアクセントを置いて強く読まれた時は、後半で将軍に対応する「執権」が問われる。鎌倉幕府の初代執権は「北条時政」。だから、正解は「北条時政」と、問題文の途中でわかってしまうのです。

これといった取り柄のない高校一年生、越山識は、美少女の同級生、深見真里に誘われ、クイズ研究会に入り、次第に競技クイズの深い世界に魅入られていきます。身につけていく競技クイズの超絶技巧は、自然言語処理そのもの。機械学習させれば最強のクイズ回答人工知能ができそうです。しかし、越山くんは最後には、人間にしかできない問題作成者の気持ちを深読みして回答するという高みに達します。「越山くんにとって、クイズは…単なる文章でも情報でもない。作品なんだ」。なお、ナナマルサンバツ(7○3×)とは競技クイズの王道のルールで、7問正解で勝ち抜け、3問不正解で失格というものです。

第3位 和算と改暦の世界を美しい絵で描き切った
『天地明察』

(冲方丁原作、槇えびし画、講談社刊)

和算をめぐる物語。幕府の碁打ち、安井算哲は、真剣勝負が許されない御城碁の現状を嘆き、次第に神社に奉納されている算額に夢中になっていきます。算額とは、本来、和算の問題を解いて神社に奉納したものですが、次第に、問題を作成し算額を掲げ、それを見た人が解答を書き込むという遊戯として発展していきます。その算額の問題を瞬時に解いてしまう「関孝和」の存在に気づいた算哲は、会ったこともない和算の天才、関孝和にも解けない問題を作成して、算額を通じた真剣勝負を挑んでいきます。しかし、あまりに大きすぎる関孝和の存在に、何度も挫折しそうになりながら、改暦という大事業を手がけていきます。

和算の設問が紹介されるだけでなく、江戸時代の天文術についても詳しく触れられ、当時の人々のレベルの高さを限界がよくわかります。原作は数々の賞を受賞したベストセラー時代小説で、映画化もされましたが、漫画の方は画が「絵師」と呼んだ方がいいような美しさです。それでいて軽妙なギャグも挟まれていて読みやすい。映画よりもゆったりと物語世界と和算の世界を味わうことができると思います。

第2位 本格数学をわかりやすく解きほぐしてくれる
『数学ガール フェルマーの最終定理』

(結城浩原作、春日旬作画、KADOKAWA刊)

マンガでここまで本格的な数学を扱っていることにまず驚きます。そして、中学か高校初級の数学知識さえあれば、じゅうぶん読みこなすことができるわかりやすさにも驚きます。こんな感じで、最後には本当にフェルマーの最終定理にたどり着いてしまうのですから、下手な教科書よりも役に立ちます。

「原始ピタゴラス数は無数に存在するか」「原点中心の単位円上に有理点は無数に存在するか」と言った問題が提示され、これを試行錯誤しながら、さまざまなアプローチで解いていきます。感動的なのは、数学の楽しみはこのような問題を解くことではなく、解くまでにさまざまなアプローチを考え、その考えている時間こそ数学の楽しみなのだということを主張している点です。数学の設問だけで、スリリングなドラマが展開され、しかもこの2つの問題は、実は同じことを表しているというどんでん返しまで用意されているのです。

ゆっくりと読んでいけば、初級の数学知識でじゅうぶん読み進められるように作られているので、高等数学の知識を整理しておきたいという人にもお勧めです。

第1位 数学の天才たちの心の内をのぞく
『はじめアルゴリズム』

(三原和人著、講談社刊)

数学の話ももちろん出てきますが、それよりも数学の天才たちの心の動きにフォーカスがあたった物語です。「臭い…。なんて臭い式だ」「これは正解だけど正解じゃない。もっときれいな道があるハズだ」というような天才ならではの感覚的なセリフがどんどん出てきます。

老いた数学者、内田豊が、小学校5年生の関口はじめの数学の才能に惚れ込み、数学者として育てようと決意します。そこに、はじめのライバルも登場して、はじめは数学の奥深い世界に導かれていきます。

数学の天才たちが絡み合う物語ですが、きれいごとだけではなく、みなそれぞれに嫌な性格を持っていて、下世話なプライドも持っています。そういう生々しい人間たちが、数学という完全美を軸としてドラマが展開していきます。

まだ連載中で、単行本は3巻まで。今後の展開も楽しみなマンガです。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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