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日本人に合った「Google Home」の使い方とは!?
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日本人に合った「Google Home」の使い方とは!?

2018.04.18

 
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「Google Home」や「Amazon Echo」が世界的に注目されている中、日本では普及しないだろうという声が根強い。では、「Google Home」や「Amazon Echo」が日本で普及するためには何が必要なのだろうか!? 日本人の文化的側面から考察する。

牧野武文

なぜ!? 日本のスマートスピーカー
所有率はわずか2.5%

Google Home、Amazon Echoなどのスマートスピーカーは、米国ではすでに4,000万台以上が売れ、成人の5人の1人が使っているという。ヒット商品というよりは、すでに「スマートフォンの次のプラットフォーム」として盛り上がりを見せている。

ところが、日本では、今ひとつ評判が悪いのだ。確かにGoogle Home、Amazon Echoとも発売直後には注文が殺到し、さらにアップルのHome Podの発売も期待された。しかし、時間が経って落ち着いてみると、売れ行きが鈍いという声をあちこちから聞く。ECサイト構築企業のエルテックスの調査によると、2017年12月の時点で、所有率はわずか2.5%、今後欲しいと答えた人も14.5%で しかない。

(出典:エルテックスホームページ)

「3日で飽きた」「声で命令は恥ずかしい」

実際、すでに購入した人でも「3日で飽きた」という人が多く、まだ購入していない人は「多分使わない。家族の前で、声で命令するというのがなんとなく気恥ずかしい」という人が多いようだ。唯一熱中している人は、音声で家電をコントロールするという使い方をしている。スマートスピーカー対応家電のほか、赤外線学習リモコンをスマートスピーカーから操作することにより、既存の家電を一気にIoT家電化することができる。

しかし、リモコンの設置場所やWi-Fiとの接続など、トライ&エラーをしなければならないところも多く、ガジェット好きの人には逆にそれが楽しいようだ。個人的にはその楽しさは理解できるが、一般に広く勧められるものではない。

沈黙を美徳とする日本人

「声で命令するのが恥ずかしい」「声よりもスマホやリモコンを操作した方が楽」という感覚が、日本の場合、スマートスピーカー導入の大きな障壁になっているようだ。

日本の沈黙を尊ぶ文化は、どうやら日本特有のもののようで、日本が持つ静寂な美しさの源泉になってる。たとえば、エレベーターに乗り合わせた時、沈黙するのは日本と韓国の一部の人ぐらいだという。欧米人や中国、アジアの人は、ホテルやオフィスビルでエレベーターに乗り合わせると、軽い挨拶をしてくるだけでなく、「どっからきたの? 観光? 」などといった世間話をしてくることも珍しくない。

エレベーターというのは、どこの誰ともわからない人と、突然、狭い空間に閉じ込められてしまうというストレスの溜まる空間だ。日本人以外は、少しでも相手がどんな人なのか知ろうとし、相手との関係を構築しようと、会話をしてくる。沈黙されてその関係を拒否されると、気味が悪いと感じるのだという。

一方、日本人は、相手との関係を一切持たず、できるだけ早く、その空間から逃れようとする。不用意に話しかけると、いったい何のために関係を持とうとするのかと、かえって気味が悪く感じる。

相手に察してもらうのを美徳とする日本人の感覚

また、沈黙だけでなく、日本には「察する」文化もある。飛行機に乗っていて、肌寒い時は「少し寒いのですが…」と言えば、客室乗務員は微笑んで「ブランケットをお持ちしましょうか?」と“察して”対応してくれる。しかし、外国人の客室乗務員に「少し寒いのですが…」と言っただけでは、「だからなに?」と怪訝な顔をされてしまうのだ。はっきりと「ブランケットを持ってきてください」と言わなければならない。

欧米では厳格な社会階級、身分制度があった歴史があり、現在でもその感覚は残っている。しかし、日本人は基本的 には「相手も自分も同じ」という感覚を持っている。そのため、「○○をしろ」と直接的な命令をすることは、相手に対してものすごく礼を失していると感じるのだ。

直接的な命令をせずに、自分の状態を伝えて、相手に察する余地を残す。相手に察してもらうことで、相手はこちらに気遣いをしたことになる。そういう重層的な気遣いをするのが日本人なのだ。

このような沈黙や察してもらう文化は、日本の美しい文化だ。静寂で凛とした日本の雰囲気を生み、相手に心理的負担を与えずに気遣いをする「おもてなし」の文化を生んでいる。しかし、これが、スマートスピーカー普及には障壁となってしまっているのではないか。

「すみませんけど、グーグル」が
日本のウェイクワード

さらに、欧米風のウェイクワードも壁になっている。「オーケー、グーグル」「ヘイ、シリ」「アレクサ」といった、日本人にはなじみのない言葉を使って、スマートスピーカーには命令しなければならない。これも人前ではけっこう恥ずかしい。
そこで、日本でスマートスピーカーを普及させるには、このウェイクワードを「すみませんが」「お願いします」などに変える必要があるのではないかという冗談を言っていたが、今思うと、意外に本質をついた発想かもしれないと思い始めている。

「すみませんが、音楽をかけてください」「お願いします。灯りをつけてください」。これなら日本人にもすんなりと入っていけるかもしれない。

スマートスピーカーには、複数の命令をひとつの言葉で実行できる「定型アクション」という機能がある。筆者はAmazon Echo対応の学習リモコンを使い、「お休み」アクションを設定している。「アレクサ、お休み」と言うと、リビングのテレビが消え、エアコンが停止し、灯りが消え、Amazon Echoが「お休みなさい」と言う。日本人が求めているのは、こういう世界なのだ。

車や病院、ホテルでも活用が始まる
スマートスピーカー

スマートスピーカーは家庭だけでなく、そのほかの場所でも利用が始まっている。すでに、自動車に乗せて、スマートフォンでテザリングしてネット接続し、運転しながら音楽を聞いたり、検索をするのに使っている人もいる。

また、病院や証券会社、ホテルなどの受付で試験的に導入しているところも現れ始めた。この時、スマートスピーカーの横に「オーケー、グーグルと話しかけてください」というのでは、誰も恥ずかしがって利用しないだろう。外見をなんらかのキャラクター風にして、人を感知したら、スピーカー側から「いらっしゃいませ、ご用件をお話しください」と話しかける必要があるのではないだろうか。

多くの人にIT、IoTの扉を開くスマートスピーカー

スマートスピーカーは、スマートフォンに比べて、より人間に近いポジションにあるデバイスだ。私たちは、慣れてしまっているので、スマートフォンを指先で操ることが便利だと感じるようになっているが、意外に高いリテラシーを必要とする。特に、テキスト入力については、五十音やローマ字を学んでいないと入力ができない。

しかし、音声であれば、ちょっとしたコツをつかむだけで入力ができるようになる。今まで、スマートフォンを苦手としていた子どもやお年寄り、機械が好きではない人にも、ITやIoTの利便性の恩恵に与ることができるのだ。より多くの人が参加することで、ITの世界はより豊かになっていく。そこが、スマートスピーカーが次世代のプラットフォームとして期待されている理由だ。

確かに、スマートスピーカーは日本人にとって、そのまま使うには、ちょっと気恥ずかしい面もある。でも、それはちょっとしたローカライズで解消できる。各スマートスピーカーは、ほぼ半額に近い割引キャンペーンを時々行っている。その機会をとらえて、ぜひスマートスピーカーの世界を体験してみていただきたい。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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