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「【ブロックチェーンの基本的仕組みをマスター】ビットコインの技術」を聴講してみた。
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「【ブロックチェーンの基本的仕組みをマスター】ビットコインの技術」を聴講してみた。

2018.01.23

 
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ビットコインという言葉を聴いたことがないというITエンジニアはきっと珍しいでしょう。ITエンジニアなら、ビットコインそのものよりも、ビットコインを始めとする「仮想通貨」の基盤技術であるブロックチェーンに、より強い関心を抱く方が多いのではないでしょうか。素人の聞きかじりではなかなか理解が難しい、ブロックチェーン技術を学べるセミナーにお邪魔してみました。

Misa

ブロックチェーンについて
基本的なしくみから学べるセミナー

今回の会場は恵比寿。恵比寿でも、あまり足を運んだことのないエリアで少し迷いながらもたどり着いたのは、ブロックチェーンハブ株式会社内のセミナールーム。同社が主催するブロックチェーンアカデミーの講座を聴講しました。

ブロックチェーンによる新規ビジネスや自社事業へのブロックチェーン利活用をめざす技術者、ビジネスパーソン向けのブロックチェーンに関する教育プログラムで、基盤技術からプログラミング、ビジネス面まで網羅したカリキュラムから関心のある講座を選べる有料セミナー(一般6,000円、学生2,000円 ※内容により異なる場合あり)です。今回は「ビットコインの技術」というテーマでしたが、暗号技術のリテラシー、分散システムのリテラシー、スマートコントラクトなどの講座があり、関心があるものを選んで参加することができます。

ビットコインの技術とは

本日の講師である斉藤賢爾先生は、デジタル通貨研究歴17年、商用ブロックチェーン開発を経験され、現在も携わっているそうです。研究・実務ともに経験豊富な方です。仮想通貨という言葉の定義、なぜ仮想通貨が必要とされるかということからレクチャーは始まりました。

斉藤 賢爾氏 (ブロックチェーンハブ株式会社 Chief Science Officer、慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員)

日本では想像できないことですが、世界には政治や経済の事情で自分のお金を自由に使えない状況がありうる国も存在します。そうした状況下では仮想通貨が有効ですが、特定の機関や事業者が提供者となるのではなく、利用者同士がP2P(Peer-to-peer)を利用して送金できるモデルが必要になります。送金の事実を証明する提供者が存在しないので、公開鍵と秘密鍵を利用するデジタル署名によって、検証可能性と否認不可能性の担保をしています。

デジタル署名だけでは解決できないのが「二重消費」です。誰かに送金した後で事実そのものを否定すると、送金した通貨を二重に消費することも可能です。デジタル通貨の所有者すべての送金の記録を誰もが閲覧できる履歴に載せ続けることで、取引を証明しています。これがブロックチェーンで、送金の記録という「約束」を「空中に固定する」ようなものです。

ビットコインのしくみについて、ビーカーと新聞のモデルで説明されました。

  • ・人類にとって無価値な液体2100万㎤がタンクに入っている。
  • ・誰もが、1億分の1㎤まで計量できる、本人しか開けられない鍵付きのビーカーをいくつでも所有できる。
  • ・平均10分おきにあたる特殊なくじにあたった人(マイナー)だけが12.5㎤をくみ出せる。各自の箱の中のくじを全力でひき、早くひけるほど有利になる。(マイニング)
    → 「停まらないシステム(ライブネス)」の性質を満たす仕組み
  • ・所有したビーカーの液体は比較的自由にやりとりできる。但し、一度鍵を開けたビーカーの中身は別のビーカーに注ぎきらなければいけない。
  • ・「くじにあたった人」(マイナー)はくみ出した液体のやりとりを「監査」し、新聞の紙面を作って「記録」(ブロックチェーン)を残す。(存在の証明)
    → やりとりのおこぼれとして「手数料」をもらえる。
  • ・ビットコインの唯一性の合意「ナカモト・コンセンサス」にもとづき、新聞のページ番号がかぶったときは、ページ列の長い方の履歴が有効となる。
    → 累積で最大のコストがかかっている履歴がもっとも改ざんされにくい、という判断による。
  • ・時には、ビーカーを壊す(暗号鍵を紛失する)利用者がいる。

続いて、ビットコインの基礎技術について紹介されました。

送金を送ったのが本人であり、改ざんされていないことを証明するのがデジタル署名です。秘密鍵と元のデータから署名データをつくり、提供された元のデータと署名データと公開鍵を用いて署名の正しさを検証します。

ビーカーと新聞のモデルにおける「新聞」にあたるのがブロックチェーンです。マイナーは取引データをブロックに格納し、マイニング(くじ引き)を成功したら、ブロックをネットワーク内にブロードキャストします。他のマイナーがそれをチェーンの最新の末尾と認めたら、ブロックをつなげていきます。

ブロックが改ざんされていないことを証明するのが、作業証明付きのハッシュチェーンです。全てのページの冒頭に、前ページのダイジェストが書き込まれます。ダイジェストはターゲット以下でなければならず、元のデータをどのように加工すれば条件を満たすダイジェストがつくれるのか、予測が困難であるため、改ざんには途方もない労力がかかります。
ブロックチェーンは改ざんが不可能ということではなく、作業量が膨大すぎて、改ざんの目的に対して費用対効果が見合わないということです。

ビットコインは暗号通貨と呼ばれることがありますが、暗号化されている訳ではありません。ビットコインの存在を証明する記録(POW、Proof of Work)に暗号学の技術が利用されているのです。前述の各ページに書き込まれたダイジェストは、暗号学的ハッシュ関数によって出力されています。元のデータが1bitでも変わると、出力される結果はまったく異なります。特定のハッシュ値となるデータを計算で求めるのは事実上不可能だそうです。

ここまでのお話で、自分の中でフワっとしていたブロックチェーンのしくみがしっかり理解できました。さらに踏みこんだ内容で、以下のレクチャーが続きました。興味のある方はオンラインで受講できるそうです。

-ビットコイン取引とデジタル署名
-マイニング、マイナーの役割と作業証明
-ビットコインの脆弱性と対策
-ビットコインに追随するオルトコインの紹介

まだ黎明期に過ぎない仮想通貨の世界。
受講者の熱意が素晴らしかった

予定の90分を超過してレクチャーは終了しました。その後の質疑応答でも時間いっぱい、受講者の皆さんから熱心な質問が続きました。レクチャーでは、ビットコインとブロックチェーンが中心でしたが、デジタル通貨の展望などにも話題が及び、非常に充実したコミュニケーションになっていました。私自身、デジタル通貨(仮想通貨)の普及にはそれほど期待感を持っていなかったのですが、今回のお話で、デジタル通貨(仮想通貨)が人々のライフスタイルや価値観に変化をもたらす可能性を感じました。

原稿: Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。

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