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Growth Hack Talks #6で、漫画アプリの仕掛け人のノウハウを聞く!
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Growth Hack Talks #6で、漫画アプリの仕掛け人のノウハウを聞く!

2017.11.02

 
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漫画アプリ、使っていますか?通勤などのスキマ時間にスマホなどで手軽に楽しめる漫画アプリはまたたく間に普及し、現在ではアプリ市場でもっとも勢いのある分野のひとつだそうです。漫画アプリの成長を仕掛ける人たちの話が聞けるイベントに行ってみました。

Misa

Growth Hack Talks」は、アプリの戦略立案から企画、運用までの総合的なサービスとソリューションを提供するRepro(リプロ)株式会社が主催するイベントで、その名の通り、グロースハックのノウハウをシェアし合うことを目的としています。
アプリ市場の第一線で活躍中のディレクター、マーケター、エンジニアの生の声を聞ける、貴重な機会ですね!

6回目である「Growth Hack Talks #6 秋だ、読書だ!漫画アプリ特集」の会場は渋谷のブックカフェ、BOOK LAB TOKYO。本に囲まれた空間でマンガビジネス最前線の話を聞きます。受付開始からすぐに席が埋まり、立ち見の方もいらっしゃるほどの大盛況でした。

Repro株式会社 代表取締役 平田祐介氏

主催者を代表して、Repro株式会社 代表取締役 平田祐介さんの発声による乾杯からイベントはスタートしました。平田さんはパネルディスカッションの進行役も担当されます。

マンガボックスのマネタイズ手法、編集方針

株式会社ディー・エヌ・エー IPプラットフォーム事業部 事業部長
兼 マンガボックス編集部 編集長 安江亮太氏

マンガボックス、エブリスタ、海外向けのマイアニメリストを担当されている安江さんのテーマは、現在では経常黒字化しているマンガボックスのマネタイズの変遷です。

サービス開始当初の、ほとんどマネタイズされていなかった時期を原始時代にたとえ、マンガボックスのマネタイズの歴史が紹介されました。

縄文時代:連載作品でのマネタイズ

連載作品を単行本として販売するだけでなく、連載開始と同時に単行本を出す取り組みや、「先読み(SNSでシェアすると次号分を先読みできる)」で収益をあげた。

戦国時代:広告でのマネタイズ

DFP(DoubleClick for Publishers)を使った純広告、ゲームや一般商材とマンガをタイアップする広告、広告配信プラットフォーム(DeNA Ad Platform、AMoAd共同開発)を提供した。一定の売上は上がったが、継続的な収益モデルにはならなかった。

江戸時代:電子書店でのマネタイズ

マンガボックスで連載していない作品を電子単行本として販売。継続して成長を続け、安定して利益が出せる状態になった。

平成:マルチメディア連携

利益の追求だけでない漫画アプリの原点に立ち返り、マルチメディア連携によるコンテンツ販売に取り組んでいる。
2014年12月に「次に来るマンガ大賞」(ダヴィンチ)を受賞した『恋と嘘』という作品は、初版1万5千から2万部だったが、講談社と協力して販促に取り組んだ結果、累計160万部に達し、アニメ化(2017年7~9月放映)、実写映画化が実現した。
マンガボックスでは編集部を持ち、「ホリデイラブ」に代表されるオリジナルタイトルにも力を入れている。「マンガボックス編集部杯」を行い、ユーザーの人気投票で連載作品を決める新人発掘、新連載の立ち上げ、小説投稿サイト「エブリスタ」を原作とした作品づくりなどを進めている。

現在では、広告・書店・印税の収益はバランスよくとれているそうです。

COMICOグローバル展開の課題と施策

NHN comico株式会社 大藤充彦氏

全年齢を対象としたCOMICOと青年誌の位置づけのCOMICO PLUSの2つの漫画アプリを提供しています。若年層を想定したCOMICOは利用料金を基本無料とし、「先読み」の利用が有料となるビジネスモデル。今回はCOMICO海外展開の課題と施策というテーマです。

COMICOは台湾、韓国、タイ、中国のアジアに戦略的に展開しており、チャレンジ段階のスペイン語圏を含め、5地域で公式サービスを提供しています。人気作品の傾向やマネタイズの手法などに地域性があり、それぞれの課題があります。

海外展開ではフットワークを軽くして意思決定をすることが求められますが、各拠点に意思決定を委ねると部分最適となる面もあるため、現在は日本のグローバルヘッドクォーターが全拠点のコンテンツマネジメントと意思決定を行っています。それにより、グローバルのビジネスが加速させることができるようになりました。

ひとつのローカルでヒットした作品は他地域でも成功する確率が高いことがわかってきたため、他地域での展開を促進していますが、リリースにタイムラグがあるとコピーが出回ってしまうため、同時に公開するなどの対策をとっています。

一気通貫に方向性を決定できる体制と各ローカルで検証されたコンテンツを導入することで、グローバル展開の成功率が高まりました。決定権と展開のノウハウを日本に集約することでビジネスのスピードを上げることにつながっています。

女性特化漫画アプリ“コミックエス”のアレコレ

株式会社フーモア 取締役 斉藤隼大氏

株式会社フーモアが提供するコミックエスは、女性に特化した漫画アプリ。課金無しの広告収入型のビジネスモデルです。マンガやイラストの受託制作やクリエイターを紹介する会社で、仕事の場を求めるクリエイターの支援、自社が提供する乙女ゲームの連携、オリジナルマンガ発表の場として立ち上げられました。累計DLの約70%がオーガニックユーザー(自然検索ユーザー)という驚異的な状況であるコミックエスの、お金をかけないユーザー獲得術と広告マネタイズがテーマです。

コミックエスで培われたASO(App Store Optimization、App Store最適化)対策で、重要なものは以下の3点です。

アプリタイトル

漫画アプリはほとんどがビッグワードの「マンガ」で検索される。ここをしっかり対策するとオーガニック流入のユーザーを獲得できる。タイトルを短くして、ワードの占有率を上げる、「マンガ」を2回繰り返す、重要なワードを左に寄せるなど。

レビュー評価

最新バージョンのレビュー評価が重要。ユーザーにポジティブなレビューをできるだけ多く書いてもらうこと。レビュー作成をお願いするメッセージで、「満足したのでレビューを書く」「不満があるのでレビューを書かない」の2択にする工夫も。

一定以上のDL(ダウンロード)数があること

ASO対策にはDAU(Dairy Active User、1日にサービスを利用するユーザーの数)が必要で、一定数のDLが必要。CPI(Cost Per Install、ダウンロードからインストール・起動までの単価の指標)を抑え、ASOに必要なDL数を稼ぐ努力をしている。
Twitter、AppLovin、Tapjoy、Facebookなどを利用しており、広告のクリエイティブの工夫により低CPIでのユーザー獲得を実現している。その他、女性が好むソーシャルゲームのコミカライズによる相互送客なども成果を出している。
離脱ユーザーの再獲得には、ドイツのRemergeというサービスを利用している。他のアプリでは、このタイプのユーザーが課金せずに苦戦しているという話も聞くが、コミックエスは広告モデルなので、新規ユーザーと遜色なく効果的。

漫画アプリはASOを極めると強く、そのためにはポジティブなレビュー評価と一定のDL数を集める必要があります。DL数を獲得する施策としての広告出稿は工夫次第で費用を抑えることができます。

コミックエスの広告収益では動画が60%を占めています。画像が多い漫画アプリでは静止画のバナーを見過ごされてしまい、あまり効果があがっていません。表現力の高い動画系の効果が高いです。

アクションとしては、マンガのダウンロード中に表示されるもの、閲覧画面の下のバナー、読了後に表示される全画面広告など、読書中に表示される広告の収益が全体の41%以上を占めています。マンガを検索する際の広告はあまり効果がありません。閲覧中の広告は嫌われる懸念がありましたが、データで見る限り、それで離脱するユーザーは少なく、ユーザーには受け入れられているようです。

収益を上げるには広告を増やす以外に、マンガを読んでもらう回数を増やしていく方法があります。好きなジャンルでセグメントを絞った人に、「おすすめ」をアプリ内メッセージで送り、回遊させるのにReproを利用しています。

収益を上げるために重要なことが以下のようにまとめられました。

・広告は目立つフォーマットを採用する(マンガに埋もれない)
・むやみに広告を増やすより、マンガをいかに読ませるかという設計を考える

漫画アプリのポートフォリオ戦略

株式会社Nagisa 執行役員 マンガプラットフォーム事業部長 樋田 顕氏

株式会社Nagisaが運営する「マンガZERO」は、マンガのレンタル販売による読み放題サービスで、ユーザーは毎日配布されるチケットでマンガを閲覧できます。広告と課金でマネタイズしています。
今日のテーマは、ユーザーが定着するまでのUXフローを分解して施策に展開していくことです。

他のアプリと同様に、KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)としては、DL数、継続率、ARPU (Average Revenue Per User、1ユーザーあたりの売上)を重視していますが、その中でも「継続率」はサービスの成長には必須であり、ユーザーの本質的な満足度が表れます。サービスの成長とLTV(Life Time Value、顧客生涯価値)の最大化に影響する重要度が高いものである一方、収益化やDL数と違って計算式が成り立たず、習慣化を生み出すことが難しいため、継続率の向上は難易度が高いです。ブラックボックスになりがちな指標をどう分解していくかが課題でもあります。

・ユーザーが習慣化するまでのUX(User Experience、ユーザーの体験)フローを整備
・各タイミングにおけるサブKPIを継続率が高いユーザーの条件から逆算して定義


ここから継続率を上げるための施策を展開します。ざっくりとしたフローですが、この読書前・読書中・読書後のサイクルをユーザーが繰り返すかどうかが重要です。もっともハードルが高いのは読書前で、ユーザーは受動的で知らないものは手に取らない傾向があるので、多くのコンテンツがある中で、いかにユーザーに多くの時間を楽しんでもらえるようにするかがとても大変です。

UXフローに応じて、累計読書作品数、作品の詳細PV、ビューワ開始数、ビューワ最終ページ到達率などをすべて出し、何がもっともインパクトが大きいかを議論や分析をして、サブKPIに向かって施策を行うことで、ある程度の継続率の上昇は見込めると思います。

読者コメント、ランキング、雑誌風まとめ読み機能は効果が高い、リッチすぎる情報は新規ユーザーには嫌われる、プッシュ通知はユーザーに対してユニークなものが効果的、などの事例が紹介されました。

パネルディスカッション

コーディネイター平田氏、4名の登壇者によるパネルディスカシッョンの内容を抜粋してご紹介します。

○アプリ市場では、漫画とマッチング分野の新規参入が多い。マッチングについては理由が明確ですが、漫画アプリの新規参入が多いのはなぜでしょう?

新規参入しているのはIT系と大手出版社ですが、IT系は本格参入していない様子。大手出版社は次世代のユーザーを成長させたいという理由で、IT系はすばやく稼げそうという見込みで参入している印象を受けています。

「勝ちパターンが見えてきた」という噂もあるようです。

僕は「すばやく稼げる」で参入したタイプ。作品の情報を持っている知人と漫画アプリを作っている開発会社があり、双方を合わせれば良いアプリができるという考えで参入しました。後発なので運用体制も整備しており、今後もプロモーションには投資していきます。

30%成長する電子マンガの市場は魅力的。紙のマンガのリプレイスが中心なので堅い成長でもあり、参入したい人がいるのは当然だと思います。

ゲームに参入するには数億かかります。同じエンタテインメントでも着手しやすいということで注目されているのでは。

大藤さんは海外のクリエイター発掘も担当されているそうですが、スキームが確立されているのか、泥臭くやっているのでしょうか。

海外はまだですが、国内は泥臭いことをやっています。漫画は描くのが大変なので黙っていては、やってくれないので。

海外の漫画好き、日本のコンテンツ好きはアニメから入る人が多い気がします。それについて地域性のようなものはありますか。

アニメと比較したデータはないが、好きなもの、ウケるものが似ているアジアからという順番にやっています。今のところはそれ以上の理由はありません。

○海外展開の展望は?

マンガボックスもありますが、7〜8年前にリリースしたアニメ・マンガのファンサイト「マイアニメリスト」はアメリカのサービスで、ほとんどが海外ユーザー。日本の情報が同時に訳されていて、日本の声優ランキングが公開されたら数時間後には記事になっています。そのユーザーがいる強みを生かして、マンガボックスと絡めてアメリカ市場、北米をとっていきたいと考えています。

日本と日本以外の市場でポテンシャルに、どの程度の違いを感じていますか。

リベニューは日本が大きすぎて話にならないですが、ユーザー数は、とんとんになる可能性はあると思います。後はどれだけマネタイズしていくかだと思います。

ゲームを先に狙っていこうと考えています。マンガについてはノウハウや知見もない状態なので具体的には決めていませんが、徐々に始めているオリジナルマンガをローカライズしたり、翻訳して出したり、マンガZERO自体を海外に出すことも考えています。

コミックエスの海外展開はしたいと考えています。別事業の乙女ゲームの売り上げは90%が海外・英語圏なので、狙える領域だと思っています。出版社さんの許諾がとれるかということ、翻訳のクオリティチェックができるかなどを調整しています。

漫画アプリはビジネスとしても面白かった

最近、電車の中などで、スマホで漫画を読んでいる人が増えたなと感じていました。
このイベントを通して漫画アプリの事業者の皆さんは競合相手というだけでなく、一緒に市場を盛り上げる仲間であること、そして出版不況の現状で漫画アプリが世界に誇る“マンガ”を盛り立てて、発信する役割を担っている自負をお持ちでいらっしゃることが感じられました。
同時にマンガというコンテンツのポテンシャルを生かした多角的な展開や、作品を育てていく面白さがあることも発見できました。

原稿: Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。

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