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プロダクティブな人がWi-Fiのないカフェに行く理由
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プロダクティブな人がWi-Fiのないカフェに行く理由

2017.09.04

 
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シリコンバレーにWi-Fiスポットを用意していないカフェが増えています。無駄にしている時間を見直し、少しでも有効に使う時間管理はプロダクティビティ・ハックの基本です。でも、やり過ぎは禁物。仕事の生産性ばかりを追求すると逆にプロダクティビティは減少してしまいます。だから今、プロダクティビティを向上させるために無駄と見なされていた時間の価値が見直され始めています。

山下洋一

オフィス代わりになってしまったカフェ

Wi-Fiスポットがあるカフェとないカフェ、あなたはどちらで時間を過ごすでしょうか。ノマドワーカーでなくても、カフェのWi-Fiスポットを利用する人が増えています。時間管理に努める人にとって、今やカフェのWi-Fiスポットは欠かせない存在です。でも、一昨年の日本上陸が話題になったブルー・ボトル・コーヒーはシリコンバレーから成長したコーヒーロースターですが、サンフランシスコにあるカフェにはお客さん用のWi-Fiスポットが用意されていません。カフェをオフィス代わりにするのではなく、カフェをカフェ本来の楽しみ方で利用してもらうためです。ブルー・ボトルには最初からWi-Fiスポットがありませんでしたが、最近シリコンバレーやニューヨークでWi-Fiスポットのないカフェが少しずつ増えています。

ネット・デトックスのススメ

Wi-Fiスポットを提供しないのはニーズがあるからです。カフェでインターネットを利用したいという人が多数であることに変わりはありませんが、図書館のような雰囲気のカフェを求めている人ばかりではありません。まったりとくつろいだり、友達と取りとめのない話で時間をつぶしたいという人もいるのです。しかも、シリコンバレーでプロダクティビティ・ハックに邁進するような人たちの間で、仕事を忘れられるカフェの需要が高まっています。実はこれもパーソナルプロダクティビティの一環で、生産性ハックにおいてこれまでムダな時間と見なされていた時間の価値が見直されています。

Wi-FiのないBlue Bottleカフェ。ノートPCお断りではないが、店内は人々の会話で賑やかで仕事をする雰囲気ではない。

仕事につぶされた生産性ハックのカリスマ

なぜリラックスする時間が重要なのか。よく引き合いに出されるのが「インボックス・ゼロ」を提唱したマーリン・マン氏の変節です。同氏はパーソナルプロダクティビティのトレンドを作った1人でした。インボックス・ゼロは、メールのチェックではなく、アクションを重視して、受信箱にたまるメールを無くす生産性ハックでした。人々はメールのチェックはこまめにするものの、スケジュールに書き込んだり、返信を送るといったアクションをすぐに起こさずにため込んでしまいます。そうするとメールに埋もれたタスクが積み上がって生産性が下落してしまいます。そこで受信箱にとどめずに、タスクとして処理されるところまでアクションを起こすのがインボックス・ゼロでした。マン氏は2007年にグーグルのテックトークでグーグル社員の前で講演し、その動画が爆発的にシェアされ、書籍の執筆に取りかかりました。

ところが、出版予定日になってもマン氏の著作は出てきませんでした。それから2年が経ち、同氏は長いエッセイと通じて書籍プロジェクトが頓挫したことを明らかにしました。パーソナルプロダクティビティの達人として多忙な毎日を送り、仕事はこなせるけど、受信箱にメールが舞い込み続け、受信箱を空っぽにしても気持ちがスッキリしない。すぐに積み上がるメールが永遠に続くTo-Doリストのように感じられ始め、ひたすら仕事をこなす自分のプロダクティビティに疑問を持ったのです。

自分にとっての生産性を知る

毎日、仕事に追われる生活をしていると、心に余裕がなくなって、自分の心身をケアすることさえ忘れてしまうことがあります。そうなると負の連鎖に陥って、体の疲れが抜けないばかりか、精神的にも追い込まれてしまうことになりかねません。サンディエゴ州立大学のジーン・トゥエンジ氏の研究によると、都会型のモダンなライフスタイルを送る今日の若者は心配性や鬱になる可能性が高いそうです。

プロダクティビティを追求するのが悪いことではなく、また長い散歩や、ただボーッとするような時間を過ごしたら生産性が上がるということでもありません。重要なのはバランスです。リラックスする時間は充電であり、そして自分について考える時間になります。それは睡眠と同じぐらい活動時間に影響を与えます。全ての時間を仕事に費やすよりも、適切に休むことで同じ時間で仕事の生産性やクリエイティビティを高められます。チャールズ・ディケンズ、ガルシア・マルケス、チャールズ・ダーウィンなど、大家と呼ばれる人たちは、余裕のある仕事のスケジュールを組んでいた人が多いそうです。

パーソナルプロダクティビティに関する書籍でニューヨークタイムスのベストセラーに60週間以上もリストされているチャールズ・デュヒッグ氏は、プロダクティビティは毎日変化すると指摘しています。週日の火曜日のプロダクティビティと週末の土曜日のプロダクティビティは全く異なり、同じウィークデーでもコーディングに没頭したい日とその他の日では目的が異なります。プロダクティビティを向上させる第一歩は自分にとってのプロダクティビティの意味をしっかりと定義し、日々のプロダクティビティの違いを把握すること、そして自分のゴールを達成するために、自分にとって無駄と思える時間や努力を減らすことがプロダクティビティの改善であるとしています。

まとめ

Wi-Fiスポットがあるカフェはとても便利ですが、Wi-Fiスポットがあるカフェを優先して、かつてカフェや喫茶店で充電に充てていた時間を失い始めていたら、時間を効率的に使えていてもいずれプロダクティビティが鈍り始めるかもしれません。要注意です。

原稿:山下洋一
サブカルチャーとテクノロジーの交差点に軸足を置いて、人や会社、文化、時事問題など幅広く取材しています。シリコンバレーで暮らし始めて10数年。PC産業の街がウェブ・ITの一大拠点に姿を変えるのを目の当たりにしてきました。ダイナミズムと人の面白さに魅了されて、このカリフォルニアの田舎街から離れられずにいます。

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