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キャリア構築が変わる! Googleの求人情報検索「Jobs」のインパクト
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キャリア構築が変わる! Googleの求人情報検索「Jobs」のインパクト

2017.07.18

 
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今年5月に開発者カンファレンスGoogle I/Oで、Googleが発表した求人情報検索「Google for Jobs」の提供が米国で始まりました。ビジネス向けSNSやキャリア情報サイト、掲示板サービスなどに掲載されている求人情報を収集・分析し、Google検索から簡単に検索できるようにしたサービスです。使ってみると、とても便利で見通しが開ける感覚を味わえ、初めてWeb検索やGoogleマップを使った時を思い出しました。

山下洋一

「見つけられない」「見つからない」の原因は?

自分に合っていない会社に入ってしまった、または仕事が自分に合っていないというようなことが起きてしまう大きな原因の1つが求人情報探しの問題です。希望する職種や条件を満たす求人がなかなか見つからず、仕事を得ることを優先して条件を緩めてしまうと後で後悔することになりかねません。一方で雇用する側も、ManpowerGroupの調査によると、米国では雇用主の46%が条件を満たす人材を見つけられず、人材不足に悩まされています。Bersin by Deloitteによると、平均的な求人には150通以上の履歴書が集まっていますが、応募者の45%以上が求人側からの返信を受け取っていません。求人の条件を満たさない応募が多いためです。求職者はより良い条件の会社や職を求め、求人側はより優れた能力を持つ人を探しているのですから、互いに妥協点を見出す必要はあります。しかしながら、能力を生かせる職場があって、条件を満たす人材がいるのに、求人・求職の仕組みの効率が悪く、うまく結びつけられていないのも事実です。そんな問題を解決するために、米Googleが 「Google for Jobs」(以下Jobs)という機械学習を活用した求人情報の検索サービスを米国で開始しました。

Google検索で仕事を探す

Google検索(モバイル、Web)で「ニューヨーク市でケータリング業のマネージャー」「ワシントンDCのエントリーレベルの仕事」というように、仕事を探していることを明らかに示す検索語を入れると、検索結果のトップに条件を満たす求人が数件掲載されたJobsのカードが表示されます。その内の1つをクリックすると、Jobsのサイトに移動します。

Jobsでは、職種、肩書き、情報公開日、条件、州・都市、会社など、様々な条件で検索をフィルターできます。たとえば、通勤にかかる時間で絞り込むということも可能です。結果に表示される各求人情報では、仕事の説明、関連情報、応募条件、応募できるサイトへのリンク、関連検索へのリンクなどを確認できます。開始時点で検索対象になっているのは、ビジネス向けSNSのLinkedIn、キャリア情報サイトのMonster、DirectEmployers、CareerBuilder、Glassdoor、そしてFacebook。これらのサービスで公開された求人情報は、自動的にJobsの検索結果に表示されます。また、オンラインの求人リスティングに指定のマークアップを追加し、最終更新日時のデータと共にサイトマップを登録することで、どのような求人情報も検索対象になります。Webサイト管理者がサイトをGoogle検索で見つけやすくするのが常識となっているのと同じ状況を生み出せれば、Web上のあらゆる求人情報がJobsの検索対象になるでしょう。

Google検索で仕事を探す検索語を入れると、結果のトップにJobsのカードが表示されます(左)。Jobsを使うと求人情報は大規模で、そして流れが速いことが分かります。チャンスを逃さないようにJobsにはアラート機能が用意されていて、それがとても便利です(中央)。求人情報が複数のキャリア情報サイトに掲載されていても、検索結果では無駄なく1つにまとめられます。結果の表示は簡潔で見やすく、それでいて取捨選択に必要な情報が網羅されています(右)。

複雑すぎて検索しにくかった求人情報

キャリア情報サイトやビジネス向けソーシャルネットワーク、求人情報サイトなどを隈なくチェックするのは時間のかかる作業です。Jobsを使う最大のメリットは、大変だった求人情報のチェックを一ヵ所で簡単に済ませられ、柔軟な条件で検索できることです。

Webで公開されている求人情報なら、通常のGoogle検索でも見つけられると思うかもしれません。検索キーワードを工夫すれば不可能ではありませんが、職名や仕事の肩書きの表現は多種多様です。たとえば、同じFedExの運転手でも、FedEx Officeなら「SameDay City Couriers」、FedEx Freightなら「City Drivers」です。またシニアマーケティングコーディネーターが「Marketing Specialist Level 2」と記述されていたり、テクニカルな仕事になるとさらに一般的ではない肩書きだらけになります。

Googleは収集した求人情報を機械学習を用いて分析し、多種多様な肩書きや職種が効果的に検索結果に表示され、ユーザーがうまくフィルターできるように分類しています。だから、「SameDay City Couriers」という呼び名を知らなくても、FedEx Officeの職を想定している人がFedEx運転手を検索して効率的にたどり着けます。

「Don't be evil」なGoogleサービス

Jobsは、Googleの社是である情報を整理して、アクセスしやすくするためのサービスになっています。しかし「Googleによるリクルート市場攻略」と見る人も少なくありません。たしかにローカル検索の成長期を振り返ると、最初はYelpやKayakといったWeb上のあらゆるローカル情報を収集して、Googleで検索可能にしていましたが、人々にとって欠かせないものになるとGoogleの情報やサービスにユーザーを囲い込む方向に進み始めました。同じことが起こらないとも限りません。リクルート市場は、グルーバル規模で2,000億ドル超とも言われる市場なのです。

でも、今のところJobsは「Don't be evil」がGoogleのモットーの一つだったことを思い出させてくれるサービスになっています。初めて使ってみた時、Google検索やGoogleマップを初めて使った時の世界の情報にアクセスできるようになった感動を思い出しました。それぐらい大きな情報を、簡単に、思うように検索できます。

求職者が自分の希望に合った仕事、自分の能力に合った仕事を見つけられるだけではなく、しばらくJobsを使うだけで、求人の増減やそのペース、どのような職種や能力の需要が高まっているかというようなことも把握できます。リサーチにも有効なので、キャリアを積み重ねていく計画づくりにも役立つでしょう。求職者が能力レベルに適した仕事を見つけながら経験を積み、成長していくことで効率的に能力を高められ、ワーカーの成長が生産性の向上を促すでしょう。求人に対して意図した求職者からの応募が増えれば、雇用主側はリクルートの無駄を削減できます。そして必要としている能力を持つ人材をビジネスの成長に生かせます。あらゆる求人情報にアクセスできる仕組みの登場は、経済全体を成長させるドライバーになる潜在性を秘めています。

原稿: 山下洋一
サブカルチャーとテクノロジーの交差点に軸足を置いて、人や会社、文化、時事問題など幅広く取材しています。シリコンバレーで暮らし始めて10数年。PC産業の街がウェブ・ITの一大拠点に姿を変えるのを目の当たりにしてきました。ダイナミズムと人の面白さに魅了されて、このカリフォルニアの田舎街から離れられずにいます。

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