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ワークスタイルの多様化とエンジニアが目指すべきもの
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ワークスタイルの多様化とエンジニアが目指すべきもの

2017.04.13

 
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今自分が所属している職場に100%満足している人はどのぐらいいるでしょう?SNSに職場への不満の声が溢れているのを見ると、おそらく満足している人、満足はしていなくても納得して仕事ができている人の割合は、そんなに多くないのではないかと思います。本稿では「いい職場」とはなにか、「理想のワークスタイル」とはなにかについて、筆者なりに考えることの一端をお伝えしたいと思います。

鶴田展之

働き方の多様化は進んでいるが

近年、「働き方」を考え直そうという動きが多くの企業に見られるようになってきました。進んだ企業では、個人の性別や学歴、価値観に関係なく、人材を適材適所で活用していこうという考え方が主流になりつつあります。特にITに携わるエンジニアが働く環境では、新しいワークスタイルが急速に浸透しつつあります。しかし、これまでの経験を振り返ってみると、個人的には「やっとここまできたか」という思いが強いです。新しいワークスタイル、すなわち「個人個人がそれぞれの能力を発揮するために最大限合理的に振る舞う」という当たり前のことが認められるのに、ずいぶんと長い時間がかかったな、そしてまだまだ不十分だな、というのが現在の正直な感想です。

改善は実感できているか?

この国、とくに首都圏には人口が密集していて、たくさんの人がオフィスに向かう時間の交通は麻痺状態といっても過言ではない有様です。大雪や台風などの悪天候もものともせず、企業戦士たちは毎日同じ時刻に同じ列車に乗ってオフィスに向かいます。風邪をひいて熱が出たときも、38度を超えなければ頑張って出社するのが美徳とされることすらあります。女性は結婚・出産を機に退職するのが当たり前という企業だって、表立って言わないだけでたくさんあることでしょう。「ブラック企業」に対する風当たりが強くなってだいぶ改善された面はありますが、まだまだ企業の論理は「集団」の論理で、理不尽に「個」を抑圧する「しきたり」に満ちているように思います。

一元的な視点が問題の本質を見えなくする

しかし一方で、「ブラック企業」という言葉がひとり歩きし、本来の「ワークスタイルにおける自己決定」を阻害してはいないか、という懸念も個人的には感じています。みなさんは、「ブラック企業」をどう定義されていますか?多くの場合「安い賃金」「長い労働時間」「サービス残業」「ハラスメント」などが「ブラック企業」の要素であると思いますが、職場を選ぶとき、個々の要素を取り出して判断する危険というものもあるのではないかと思うのです。

例えば、近年の採用面接で「残業時間はどのぐらいですか?」という質問をよく受けるようになりました。しかし筆者の会社はいわゆる裁量労働制に近い形態を採っているので、そもそも「残業」という概念がありません。なので、その場合は実質的な1日の平均就労時間を答えるようにしているのですが、これも平均で8〜9時間だとしても、6時間の人もいれば12時間の人もいるわけです。大事なのは、「仕事にかける時間」を「自分で決められる」こと、それからその結果もたらされた利益が正しく還元されること、だと私は考えています。もちろん、「仕事を重視する人」と「プライベートを重視する人」の間に差別があってはならず、「成果」で正しく評価されることも重要です。そしてそれは「残業時間は何時間ですか?」という質問に対して得られる答えからは、おそらく見えない部分です。たとえ短い就労時間でも、「自分でなにも決められない」「不合理だとわかっていてやらねばならない」環境では、人の心は容易に病みます。要は、「自分の仕事に納得できる」かどうかが大事なのであって、それはおそらく最終的には「自分の人生に納得できるか」どうかに関わってくる大きな問題です。

道立てて見つめ直してみる

エンジニアという職業は、常に「論理的な整合性」や「豊かな想像力」が求められます。些細な例外まで想定され理路整然と書かれたプログラムは美しいものですが、仕事選びもそれと同じようなものです。自分がどういうスタイルで働けたら楽しめるか、幸福に生きていけるかを想像し、それを阻害する要因をひとつずつ潰してみましょう。朝の満員電車がストレスならば、バイク通勤や自転車通勤、時差出勤や自宅勤務はどうか。残業や休日出勤でプライベートが侵食されるのが嫌という場合でも、本当に「仕事をする時間が嫌」なのか、「職場にいること」が嫌なのかによっても話は違ってきます。前者ならば仕事量の調整が可能な企業かどうか、後者ならば職場を快適な環境に変えることが解決に繋がるでしょう。

今あるルールやしきたりを疑おう

まず、「会社とはこういうもの」「ビジネスはこうあるべき」という先入観をできるだけ捨てて、「自分がどうしたいか」「なにが合理的か」を徹底的に考えましょう。なお、「会社を変えるなんて不可能」と思うなら、その会社を職場に選ぶべきではありません。「合理性」を考え抜いて「自分にとっての会社のあるべき姿」を見つけたら、あとはすでに自分の考えに合った会社を選ぶか、会社を自分の考えに近づけるか、または自分で会社を作る(フリーランスになる)か、の三択です。正直、今現在旧い体質の企業に勤務している人や、まだこれから社会に出て働こうという人には、なかなか難しい問題だと思います。でも、「毎朝9時に出勤しなければならないのは何故?」「ネットとPCがあればいいのに出社する理由は何?」「この休日出勤は誰のためにしなければならないの?」「この会議必要?」「この飲み会は仕事なのか?」「フリーランスはリスクが大きいから・・・」などなど、日常の漠然とした不満や疑問をどんどん掘り下げて考えてみて欲しいのです。そしてそこから「こうすればもっと効果的だ」「こうなればみんなハッピーになれる」といった声を上げていってください。それがきっと、社会をよりよい方向に変えていきます。

多様性が真に認められる社会を作ろう

これからの世の中は、全員が同じ方向を向いて足並み揃えて、という時代ではありません。個が個として望む方向を目指し、その結果、成果が最大化される社会になっていくでしょう。論理的に考え、無駄や理不尽をなくしていくこと、それは我々エンジニアの得意分野です。旧い慣習やルールに縛られず、自由な発想で新しいワークスタイルやライフスタイルが生み出されていくこと、そしてエンジニアがそれをリードしていくことに、私は期待しています。私の会社は「ぼくのかんがえる最高の会社」を目指してきましたが、それがすべての社員にとっての最適解であるとは限りません。私にとっての最適解にすら、まだなっていません。しかし、可能な限り「合理的」であろうとする努力を継続していくことが、会社をよくするのだと私は考えています。課題はまだまだ多いですが、「それぞれが違う価値観と立場で、それぞれがハッピーな社会」を目指しましょう!

原稿:鶴田展之
qnote代表取締役。オープンソースソフトウェアを用いたシステムインテグレーション及びコンサルティングの傍ら、技術書を中心に多数の著述活動を行う。
なお、オフィスには7匹の猫がいる。

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