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API Meetup #17 年末スペシャル
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API Meetup #17 年末スペシャル

2017.01.19

 
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一昔前の知識で、API(アプリケーションプログラムインターフェイス)と言えば、パッケージソフトを基幹システムなどと連携させるために用意されたツール、という印象だったのですが、実際には、APIはパッケージの付属品の域をとっくの昔に飛び出していました。
APIを活用して構築されたサービスなどが私たちの身近にもどんどん増えています。そんな、API活用の事例を紹介するイベントが西新宿で開催されるということで、足を運んでみました。

Misa

APIがいつのまにか熱くなっていた!

会場はTIS 株式会社が、今年9月に開設した西新宿三井ビル内のコワーキングスペース『bit & innovation 』。金曜7時という時間帯にもかかわらず、この盛況ぶりです!

API Meetupって何?

今回のイベントを企画したAPI Meetup運営チーム 小西 啓介さん(TIS株式会社)の進行で開会しました。 主催者であるAPI Meetup (https://api-meetup.doorkeeper.jp/) は、API活用のユースケースの創出や人脈形成、エコシステム創出などを目的として掲載された日本初のAPI Economyに特化したコミュニティです。Web API に携わっている開発・企画担当者の皆さんが会社の垣根を越え、忙しい仕事の合間を縫って自主運営されています。登録者は1,400名を超え、この2年間で開催してきたイベントはなんと17回!(東京16回、大阪1回)18回目となる今回は「APIエコノミー実現のピースが揃ってきた」というテーマで、講演とLT(ライトニングトーク)大会です。

LINEのChatbot展開

今や知らない人はいないLINEは、音楽配信から求人情報などの多様なサービスを展開しています。トライアル版APIを今年4月に限定開放、さらに9月に正式版となるMessaging APIの提供が始まり、話題となっているLINEのAPIについての講演です。

LINE株式会社 LINE企画4チームマネージャー 二木 祥平さん(左)、
LINE株式会社 サービス開発1室 長谷部良輔さん(右)

まずは、LINE株式会社のプラットフォーム事業でAPIのオープン化も担当されている二木さんの、LINEのAPIへの取り組みについての講演です。なぜ、LINEはこのタイミングでAPIを公開したのか、LINEがみつめる将来像がどんなものか興味があります。

LINE社内では2011年から天気情報や翻訳などのChatbotを提供、2012年には企業アカウントの提供も開始しています。今年4月に限定公開したトライアル版のAPIを、より広く外部開発者に利用していただけるよう、9月にMessaging APIを公開しました。

最近のトレンドとして、メール、検索エンジンの利用率が下落し、特に10~20代はTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどのSNSから情報を取得しています。
つまり、メールや検索エンジンに代わってSNSの利用頻度が上がり、アプリの利用が主要なSNSアプリに集中しているということです。
こうした傾向から、LINEを利用したマーケティングの要望やサービスの検索をLINEで、という企業の需要が急増しています。LINEの返信率がメールの7倍になったケースもあったり、レスポンスが速いというメリットもあったりし、カスタマーサポートや問い合わせをLINEで行う企業が増えています。
こうした時流に乗る形で、LINEは外部開発者向けにMessaging APIを公開しました。

9月に正式版のAPIを公開してから、2万アカウント超が開設されています。
LINEから自宅の家電を操作することや、LINE Beaconモジュールの一般販売も始まったので、ビーコンに近づいたらメッセージが届く仕組みを自分で作ることもできます。LINEとしても、外部パートナーと連携してWebでの問い合わせをシームレスでLINEにつなげるパッケージの提供などAPIの活用を進めています。

LINEとしては、より対話型に近い問い合わせ対応ができたり、ユーザーが楽しめたりできるプラットフォームをめざしていきます。その先駆けとして、Chatbotの開発について、多くの皆さんに興味を持って挑戦していただくために、最大賞金1,000万円の「LINE BOT AWARDS」も開催します。

二木さんの講演は以上です。
LINEがAPIをオープン化したのはこうした状況が背景にあったんですね。
オープン化で、思いもよらない斬新なアイディアが生まれるかもしれません。

続いて長谷部さんから、APIの詳細について技術面からの紹介です。
現在は誰でもLINEのAPIを利用でき、自由にbotアカウントを開設することができます。
APIを利用してBOTがメッセージを送信するときのフローです。

BOTがメッセージを受け取るとWebhookがサーバーに届きます。以下のようなJSONで送られてきます。

LINEからのWebhookであることを確認するために、Signature検証を行いましょう。

送信できるメッセージは、文字、画像、動画、音声、位置情報、スタンプのほか、これまでのLINEにはないタイプのメッセージを送ることもできます。

Imagemapの例です。
新しく追加されたButtons, Confirm, Carouselタイプの例です。

詳しく知りたい方は、こちらのドキュメントをご覧ください。
https://devdocs.line.me/ja/
Messaging APIを使ったBotアプリケーションの開発を簡単にするために、各言語向けのSDKも用意されています。

以上がLINE株式会社の講演でした。
増えているとは感じていましたが、LINEのビジネス事例の多さを確認しました。
企業にとってLINEの魅力は返信率の高さとレスポンスの速さですが、ユーザーとしては手軽で便利だから使うということだと思います。ユーザーの支持を背景に、LINEの快進撃は今後も続きそうです。

みずほFinTechのAPIエコシステム

みずほFinTechのAPIの講演にあたり、Fintechについて改めて確認すると、Fintechとは「Finance」(金融)と 「Technology」(技術) を組み合わせて出来た造語であり、ITを駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりする動きの総称です。
みずほFinTechを推進されている講演者の皆さんです。

株式会社みずほフィナンシャルグループ インキュベーションPTの
工藤 麻貴さん(左)、大久保光伸さん(中央)、小野田 直人さん(右)

金融機関がFintechに積極的に取り組むと言うと驚かれることも多かったのですが、みずほフィナンシャルグループは中期経営計画に明示し、専任の組織を設けて多くの人材を投入しています。

Fintechの発展で新規ビジネスの創出や既存サービスの利用機会増加による収益の拡大、業務の効率化によるコスト削減を期待しています。

AIを利用した投資アドバイザリーサービス、コールセンター支援やPepperによる店頭案内など、多岐に渡るサービスや業務で実用化されています。その取り組みの数々が国内外から評価されています。

金融機関の技術革新は、銀行の窓口からATM、インターネットバンキング、モバイルバンキングへと変わってきました。APIにより、スマートホームやIoTの領域などお客様の身近なところで利用していただけるサービスを創出できると考えています。

APIがガラパゴス化すると利用してもらえなくなります。だからこそコミュニティの存在が重要であり、日本で採用されたアプリケーションが海外でも利用されるためには、ある程度の仕様の標準化も必要です。今後、ハンズオンやワークショップなどに取り組んでいきます。
みずほFinTechでは、AI、ビッグデータ、ロボティクスなどの技術を使って、サービスの創出や効果の検討を行っており、すでに実用化されているものもあります。

個々の技術を使ってサービスを確立するだけでなく、これらを組み合わせて新しいサービスやこれまでのサービスをさらに便利にすることができると考えています。それをつなぐのがAPIです。

APIを利用したエコシステムのイメージです。(ちなみにエコシステムとは、経済的な依存関係や協調関係をふまえた。成長分野の産業構造や企業間の連携関係の全体像を表すものです)
今後、必要となるのが本番環境に近い検証環境と、関わる人たちが近くにいてコミュニケーションがとれるスペースです。APIを用いたオープンイノベーションの場として、来年2月にFINOLAB(フィノラボ)に入居します。

<APIを活用したB2B、B2C の事例>

  • 株式会社freee(会社設立手続きと法人口座開設の手続きをワンストップで提供)
  • マネーフォワード株式会社(「MFクラウド請求書」自動消込機能を活用した、入金と請求データの自動照合)
  • マネーツリー株式会社(スマートフォン「みずほダイレクトアプリ」で一生通帳機能を提供)
  • アイ・ティ・リアライズ株式会社(先日付のクレジットカード引落予定金額を事前収集、請求明細と連携)
  • LINE株式会社(LINEでかんたん残高照会サービス)
  • NTTドコモ(GPS、ARを利用したATM店舗検索アプリ、自動音声翻訳技術) など

続いて、みずほ情報総研の中村さん、石川さんから、みずほのAPI開発の取り組みについての講演です。

技術企画部 中村 和之 さん(左)、
決済・チャネル系システム事業部第3部 石川 貴幸 さん(右)

みずほ情報総研は、ITをコアテクノロジーとしたコンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシングを行う会社で、堅めの印象を持たれがちですが、最新の技術に積極的に取り組んでいます。このイベントに出るきっかけとなったCEATECでの発表も、みずほのチーム(5名中2名がみずほ情報総研社員)で取り組み、発表したアプリはNRIハッカソン2016で最優秀賞を受賞しました。
続いてAPI開発の取り組みについて発表される石川さんは、2015年のIBMユーザー論文で最優秀賞を受賞されたそうです。テーマは「人工知能を活用したコールセンター改革」。最新分野ですね!

API開発にあたり、API利用者とAPIを提供する銀行側の間で、開発スピードに差があり、使えないAPIを提供することを懸念していました。そこで、APIそのものを開発するだけでなく、利用者側が必要とするAPIを速やかに提供する仕組みをあわせて開発しました。APIゲートウェイをAPI利用者と銀行システムの間に置き、銀行のシステムに関わらないデータ流量や利用企業の管理を銀行システムの外に出すことで、迅速に対応できるようにしました。

銀行の資源に直接アクセスする内部APIは頻繁なリリースが難しいため、情報取得の役割だけを持たせ、利用者に渡す外部APIには迅速に対応します。
現在、15 種類の開発用APIの提供を予定しています。これらで個人用オンラインバンキング取引の90%をカバーできます。今後も拡大する予定です。

グループ全体の展開としてみずほ信託銀行やみずほ証券のAPIも試行しています。APIを活用した財産保有状況を一括して管理できるアプリなども試作しています。仕様の標準化や提供の仕組みづくりに取り組んでいきます。

API利用者の皆さんには新サービスの開発に集中してもらいたいので、運用上、APIにどのような処理をさせたら使いやすいかなど多くの意見やご指摘をください。

以上、みずほフィナンシャルグループの講演でした。
みずほFinTechだけでなく、Fintech全体や金融のAPI市場をリードしようという意気込みを感じました。チームの皆さんの雰囲気も、私が持っていた金融系エンジニアのイメージを変えてくれました。FINOLABやみずほのAPIから生まれた新サービスや事業を目にするのが楽しみになりました。

ライトニングトーク大会 (5分×6名)

APIの事例や知見などを6名の方が発表されました。API活用は大手企業だけでなく、ベンチャー企業やスタートアップにとってもビジネスチャンスをもたらしそうです。

1.「LINK APIを使って新しいFinTech事業を作りましょう」
マネーツリー株式会社MT LINK責任者 マーク・マクダッドさん
20社以上が利用しているマネーツリーの「LINK API」の機能と事例の紹介
2.「新規サービスでSwaggerを使ってみた話」
レコチョク株式会社 松木 佑徒さん
レコチョクの新規サービス「WIZY」開発時にSwaggerを使った際の知見の紹介
3.「新米広報が出会った印刷工場のAPI」
株式会社フライデーナイト 畑谷 友香さん
人を介さずに製造工程に指示、印刷をパーソナライズできる印刷工場のAPI「コーデンベルク」のご紹介
4.「APIのテスト自動化&APIを仮想化してアプリケーションをテストする話」
テクマトリックス株式会社 飯山 正史さん
APIのテストを自動化する「SOAtest」、APIを仮想化してテストできる「Virtualize」の紹介
5.「APIクッキング~オンプレDBを3分でWebAPI公開~」
CData Software Japan合同会社 桑島 義行さん
RDBベースのアプリケーションのWebAPIを作成する「CDataAPIServer」の紹介
6.「Spring(Java)で作るWebAPIのすすめ」
Apitore 代表 服部 圭悟さん
Spring Framework(実装はJava)でWebAPIのマーケットプレイスApitoreを作った事例の紹介

以上をもって本日のイベントは終了!有志参加の懇親会が開催されました。

まとめ:API活用が新しいビジネスをつくる

主催者;API Meetupの皆さん

パッケージソフトの付属品という認識だったAPIですが、経済環境やIT活用の概念の変化で役割や可能性が拡大していたことが、このイベントに参加してよく分かりました。
API Meetupの皆さんの企業の垣根を越えて活動する意義や志が、ほんの少し理解できた気がします。

原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。
ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。

API Meetup #17 年末スペシャル

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