勉強会に行ってみた!第42回 「ワークスタイル変革」
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勉強会に行ってみた!第42回
「ワークスタイル変革」

2016.11.02

ワークスタイルを変えるということ

エンジニアであれば、誰しも一度は「もっと自由に働きたい」と思ったことがありますよね。時間的、地理的な制約に縛られず、好きなときに好きな場所でコードが書けたらどんなに快適だろう。絶対にその方が生産性も上がるのに…と。
実際、フリーランスや成果主義を公言する企業を中心に、ずいぶん前から多様なワークスタイルを認めよう、旧来の労働形態を変えていこう、という動きは出てきています。いわゆる「ノマドワーカー」のように、ネット接続さえ可能ならどこでも仕事ができる、という人も増えてきました。

しかしその一方で、自由なワークスタイルが認められない、もしくは認められにくい要因も顕在化しています。第一に、情報セキュリティの問題があります。多くのノマドワーカーは、社用のPCを自宅に持ち帰ったり、外にノートPCを持ち出したりして仕事をしています。ですが、これは電車や居酒屋にPCを置き忘れて顧客の個人情報を漏洩させるリスクを増大させてしまうため、現状は多くの企業が「社用PCは持ち出し厳禁」としています。たとえ物理的なPCの紛失を防げたとしても、安全ではないWi-Fi接続による盗聴、ウィルス感染による漏洩等々、リスクはいくらでも考えられるのです。企業としては、自社のコントロールの及ばないリスクにはいくら慎重になってもなりすぎるということはありません。結果、多くの経営者は、オフィス外・自社ネットワーク外での仕事は「全面禁止」にする、という判断を下さざるをえないのです。

第二に、労務管理、勤怠管理の難しさという問題があります。筆者個人としては徹底した成果主義なので、実績に繋がってさえいれば、1日の労働時間が3時間だろうが年間200日休もうがOKだと思っているのですが、業種や職種によっては成果の定量的な評価が難しいこともあります。ひとりで完結する案件よりもチームで携わる案件の方が多ければ、あまり自由気ままに動かれてもコミュニケーションがうまくいかなくなります。新しいワークスタイルに変えていこうとしても、最低限の「ルール」を決めないと不安だ、という声が上がるのは当然のことです。

しかし、たとえ以上のような問題があるとしても、ワークスタイルの自由度の向上は企業、社員双方に大きなメリットがあります。まず、在宅勤務が可能であれば、出産・育児、介護等で出社が困難な人材が活用できます。震災や台風などの災害時も、物理的な制約にとらわれない環境が整っていれば、業務の遅滞を最小限に留められます。不合理な束縛が減って自由に働くことができれば、スタッフの心身の健康も維持しやすくなるでしょう。大切なのは、セキュリティや労務管理等の問題を「技術的に」解決していくことなのです。

鶴田 展之

NEC Cloud DaaS

前置きが長くなりましたが、今回はワークスタイル変革に向けた技術的な解決手法を学ぶため、「ワークスタイル変革って結局、何?〜働く環境を変えることで変わること〜」と題したNECのセミナーを取材してきました。

日本電気株式会社 プラットフォームサービス事業部 主任 曽我 理映氏

NECでは、ワークスタイル変革のための技術的な解決策として、クラウド型仮想デスクトップサービス「NEC Cloud DaaS」を提案しています。簡単に言うとクラウド上の仮想化Windowsデスクトップをネットワーク経由で利用する仕組みで、日常的にRDCを使っている人ならイメージはしやすいと思います。ただ単にオフィスのPCをRDC経由で利用するのとは、デスクトップ環境がクラウド上に展開されている点が大きく異なります。物理的なハードウェアやネットワークインフラの管理・運用、セキュリティパッチの適用等はサーバ側に集約できるので、エンドユーザーはPCの管理から解放され、より本業に集中できます。

また、クラウド上のデスクトップ環境をシンクライアント端末から利用することで、出張先や自宅からでも常に変わらない環境で業務を遂行できます。万一紛失しても、シンクライアント端末にはハードディスク等の記録媒体が搭載されていないので、情報漏洩のリスクを最小化できるでしょう。専用のシンクライアント以外にも、スマートフォンやタブレットを端末として利用できるので、「BYOD (Bring Your Own Device) = 私的デバイスの業務利用」による柔軟な作業環境の選択も可能になります。

ユーザーの業務内容によって、利用するアプリケーションや仮想化方式を選択できる点も大きなメリットです。NEC Cloud DaaSでは、通常のPCと同じように利用できる「VDI (Virtual Desktop Infrastructure)方式」、WindowsサーバOSで動作可能なアプリケーションを利用する「サーバVDI方式」、複数のユーザーが共通のアプリケーションを利用する「SBC (Server Based Computing)方式」の3つを提供しており、それぞれを組み合わせた混在利用も可能です。定型的なコールセンター業務にはSBC、既存PCの全機能が必要な非定型業務にはVDI、と整理することで、OSやアプリケーションのライセンスコストも大幅に削減できそうです。

現実的になってきたDaaS

より人間的に仕事をするため、また、より生産的な働き方を実現するためのリモートコンピューティングに関しては、これまでも長い間いろいろな試みや提案がなされてきました。例えばシンクライアントのアイデアも、最近になって出てきたものではありません。古くはオラクルのNCやサン・マイクロシステムズのJava Station、最近ではGoogleのChromebookなど、様々なITベンダーが推進しようとしてきた技術です。しかし、ネットワーク経由でデスクトップを利用する際の「レスポンスの悪さ」や、機能制限による「使い勝手の悪さ」を克服できなければ、ファットクライアントであるノートPCを代替することは難しく、故に一部の大手企業においてオンプレミスでのシンクライアント環境導入しか普及していないというのがこれまでの経緯でした。しかし、通信の高速化、低価格化や仮想化技術の進展など、様々な関連技術の革新が進んできたことで、DaaSもいよいよ現実的な活用フェーズに入ってきました。Windowsデスクトップをメインに利用している企業は、そろそろDaaSへの移行も真剣に検討すべきではないか、今回のセミナー取材では特にそう感じました。

NEC Cloud DaaS
http://jpn.nec.com/outsourcing/daas/

原稿:鶴田 展之
qnote代表取締役。オープンソースソフトウェアを用いたシステムインテグレーション及びコンサルティングの傍ら、技術書を中心に多数の著述活動を行う。
なお、オフィスには7匹の猫がいる。
http://mitsuchi.net/

iOS, イベント, エンジニア, 井上純, 勉強会

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