「勉強会に行ってみた!」 第35回「VR Tech Tokyo #2」
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「勉強会に行ってみた!」
第35回「VR Tech Tokyo #2」

2016.09.01

Oculus Rift、HTC Vive、そして10月のPlayStation VRと、これから今年の後半にかけて、VR HMDの話題が花盛りになりそうです。しかし、肝心なのはVRの「コンテンツ」、そしてビジネスとしてどう展開されていくかでしょう。そこで今回は7月27日に行われたVRコンテンツ開発者の勉強会「VR Tech Tokyo #2」に参加し、VRコンテンツ開発に携わる現場の開発者の生の声を聞いてきました。10名ほどの登壇者による各10分のLTから、いくつかピックアップしてレポートします。

(鶴田 展之)

■VRコンテンツ開発に必要な発想力

今回、最も事前に関心をもっていたのが、たつのる(@tatsunoru)氏の「VR賽の河原」「よいではないかVR」の「裏側」のお話です。「VR賽の河原」は賽の河原で石を積みつつ、崩そうと飛んでくる鬼に石を投げて撃退するVRゲーム。「よいではないかVR」は悪代官になって町娘の着物の帯を引っ張り、ひたすらぐるぐる回すゲーム(?)です。たつのる氏がゲームの内容をツイートしたところ、「賽の河原」は2万5千、「よいではないか」はなんと4万以上のリツイートを記録しました。話題になるコンテンツを発想する方法として、たつのる氏は「ニッチだけど多くの人が知っているシチュエーション」を考えるそうです。人間はゲームの内容を「聞いた」だけではその面白さを想像できませんが、誰もが知っているシチュエーションを利用することで「想像しやすく」する、ただし、ありきたりすぎると「面白さ」を感じなくなるので、「既存のゲームにはなさそう」な題材を発想するとのこと。当日のデモでは「ラーメンのスープの油の玉を箸で操作してくっつける」というわけのわからないゲームを見せてくれましたが、これも「誰でも知っている」けれど「既存のゲームにはない」(そりゃないでしょうね・・・)という、絶妙にニッチなポイントを突いた発想と言えるでしょう。

なお、氏は最近も「ドードーの逆襲」というゲームをリリースされていますので、興味のある方はツイッターなどで探してみてください。

■VRにおけるゲームデザイン・レベルデザイン

実際のゲーム開発については、金春根(キム・ハルネ)氏が通常のFPSゲームとVRゲームを対比しながらVRゲームで注意すべき点を考察されていて、なるほど、と感じました。一般にゲームは小さな目的・ミッションから中ぐらいの目的、大きな目的へと進んでいきますが、それぞれのミッションの中にも序破急が用意されていて、プレイヤーが飽きないように工夫がされています。VRゲームでもその構造は基本的に同様ですが、特に導入部の小目的、例えば「武器を入手するための移動」のような局面で、プレイヤーに「自分はこの世界で何ができるか」を理解させるデザインが重要になります。VRは「現実」ではないので、現実との違和感をなくすようにプレイヤーを誘導できることが大切なのです。現実に在り得そうな空間や違和感のないオブジェクトを配置して「VRシンクロ率」を上げることで、プレイヤーは仮想現実の世界にスムーズに入り込めるわけですね。
また、現実との違和感を減らすことは、VRに対するネガティブな要素である「酔い」への対策においても重要です。カメラ(視点)が予測できない挙動をすると、人は酔いやすくなります。なるべく加減速のない等速直線運動をする、速度が上がる場合は壁や地面が近くなりすぎないようにする等の配慮をすることで、VR酔いはかなり低減できるそうです。今後そういったセオリーやノウハウも蓄積されていくと思いますので、これからVR開発をされる方は勉強会やWebで知見を収集していくことも重要になるでしょう。

■2016年はVR元年となるか

当日は他にもたくさん面白いお話が聞けましたが、文字数の都合もあるので残念ながらすべてをレポートすることができません。ただ、Unity、UE4といったツールや360度撮影が可能な全天球カメラ、安価に購入できる簡易なHMD等のおかげで、間違いなくVRが身近なエンターテインメントとして根付きつつあること、また、ゲームだけでなくアイデア次第で新たな面白さやビジネス的な価値を作り出せることを感じました。お台場のVR ZONE等、最新のVRコンテンツを楽しめる機会も増えつつありますので、みなさんもどんどん体験してVRの面白さを感じて頂ければと思います。

原稿:鶴田 展之
qnote代表取締役。オープンソースソフトウェアを用いたシステムインテグレーション及びコンサルティングの傍ら、技術書を中心に多数の著述活動を行う。
なお、オフィスには7匹の猫がいる。

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