「第1回 IoTビジネス共創ラボ 勉強会」
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「第1回 IoTビジネス共創ラボ 勉強会」

2016.03.31

モノのインターネット「IoT」が話題を集める中、日本マイクロソフトを中心とする取り組み、「IoTビジネス共創ラボ」が2月9日に発足した。創設メンバーとして、東京エレクトロン デバイス、ユニアデックス株式会社など10社が参画し、IoTソリューションの開発促進や共同検証を行っていくという。そのIoTビジネス共創ラボの第1回勉強会が、はやくも3/10に開催され、会場となった品川マイクロソフト本社には200人あまりの参加者が集まった。今回は、一部ではあるがその模様をレポートしたい。
(鶴田 展之)

■分析WG 「おもてなしAI(仮)」

勉強会は全体的になごやかな雰囲気だったのだが、特に独特なゆるいムードのプレゼンテーションで目を引いていたのが、株式会社ブレインパッドをリーダーとして活動する「分析WG」による「おもてなしAI(仮)」の紹介だった。「おもてなしAI」では、2020年の東京オリンピックに向け、海外から訪れる観光客への対応を行う「ちょっと便利」な機能を、Azure、Bingの機能をフル活用して実装した。

会場で披露されたデモでは、行きたいところへの交通案内・道案内をする機能、翻訳、AIとの雑談の3つの機能を見ることができた。それぞれ、スマートフォンのメッセージアプリを介しておもてなしAIとの対話ができるもので、道案内ではbing maps、翻訳ではbing Translatorの機能を、Azure Web Appsを経由して利用する。bingのこれらのAPIは小規模であれば無償で利用できるので、こういった複雑で高度な機能もコストをかけずに簡単に「作ってみる」ことができる。 また、雑談の機能では、AzureのVM上に機械学習(Machine Learning)の機能を構築している。映画の字幕などを用いた深層学習により、ユーザーの呼びかけに対して適切な応答を行うというものだ。他にも、Project Oxfordによる画像認識・音声認識等を活用すれば、さらに面白い機能を容易に実装できる可能性もあり、IoTソリューション開発のバックエンドとしてAzureを利用するメリットが具体的にイメージできた。

■株式会社アドダイス「Bee Sensing」の事例

具体的なIoTソリューションの事例としては、株式会社アドダイスの伊東氏による養蜂業向けIoTソリューション「Bee Sensing」の紹介が興味深かった。 Bee Sensingでは、同社の「SoLoMoN」デバイスをミツバチの巣箱に設置し、「温度」や「湿度」をセンシングする。収集されたこれらのデータは、管理アプリから養蜂業者が入力する飼育履歴情報と統合される。これにより、従来「巣箱がある」現場に行かなければわからなかったミツバチの状態を遠隔監視できるようになり、生産の効率アップを実現できたという。また、蜂蜜の出荷時には、容器にQRコード付きのラベルが貼られる。購入者はQRコードから飼育履歴やセンシングデータにアクセスできるため、蜂蜜の生産過程を容易に知ることが可能だ。「食の安全」や「ストーリー性」を求めるユーザーに向けて、高付加価値な商品を届ける「攻めの農業」ひいては「地方創生」に繋げよう、という狙いがあるわけだ。

今後、センシングされたデータとプロの養蜂家の対応の履歴が蓄積していくことで、これまで属人的なスキルに支配されてきた「養蜂業」も、AIによる自動化が進む可能性がある。もちろん、養蜂業に限らず、農業、工業等様々な分野で同様の技術は活用できる。現場によって、センシングすべきデータ、機械に学習させるべき判断・対応は異なるだろうし、どれだけ例外的な処理が発生するかという点も課題にはなるだろうが、Bee Sensingの事例は、具体的なIoTソリューションとして現時点ではとても先進的な試みであると感じた。

■IoTはムズカシイ?

今回の勉強会に参加してみて、筆者がまず第一に抱いた感想は、「IoT」もそんなに難しくないんじゃないの?ということだった。一般的に、よくわからない用語が盛り沢山なAIとBI、センサーも含めた独自のデバイス・ハードウェア、ビッグデータを解析できるパワフルなインフラ、異なるシステム間の連携など、IoTを考えようとするとたくさんの「もやもやしたハードル」が立ちはだかるイメージは強い。IoTが解決してくれる課題は多いだろうけれど、そのために莫大な費用がかかるとか、そもそも何から手を付けていいかわからない、と感じている人は経営者にも技術者にも多いのではないかと思う。しかし、複雑で厄介な仕組みを簡単にしてくれるbing APIやAzure Web Appsのようなサービスも一般的になってきているし、まず手を付けられるところから「集められるデータを集める」ことが大事なのだと思う。

過去に筆者がデータマイニングの勉強をしたときにも、POSレジなどで捨てているデータが実は宝の山だったという例がいくつもあった。意味のないデータも、意味のあるデータも、集めるにはそれなりに時間がかかる。スマートフォンやスマートウォッチなど、様々なセンサーがついたデバイスが個人レベルにも普及している現在、とれるデータは積極的にとっておく、というのもひとつの取っ掛かりになるのではないかと思う。

原稿:鶴田 展之
qnote代表取締役。オープンソースソフトウェアを用いたシステムインテグレーション及びコンサルティングの傍ら、技術書を中心に多数の著述活動を行う。
なお、オフィスには7匹の猫がいる。

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