「勉強会に行ってみた!」 第21回「アクセンチュア デザインスプリント ~2時間でできる! ペーパープロトタイプを作ろう!~ by Mashup Awards」
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「勉強会に行ってみた!」
第21回「アクセンチュア デザインスプリント ~2時間でできる!
ペーパープロトタイプを作ろう!~ by Mashup Awards」

2016.01.07

今回はデザインスプリントの勉強会に行ってみました。デザインスプリントというのは、新製品のプロトタイプ開発などを短期間で行うための手法とのこと。Googleで開発され、すでに実績も多数もあるそうです。いったいどんな手法なんでしょうか。

三土たつお

勉強会の会場は渋谷のアップルストアの6階、TECH LAB PAAKでした。

渋谷はイルミネーションがきれい。もうクリスマスの雰囲気ですね。会場の中はこんなふう。

こういう雰囲気の会場、最近ふえてるような気がします。いい感じですね。

勉強会の主催はMashup Awardです。事務局の伴野さんから、まずはデザインスプリントについての説明がありました。

伴野さん

デザインスプリントというのはGoogle Ventures がスタートアップ支援のために使っている方法で、5日間でアイデアをプロトタイプとして具体化するものだそうです。

スプリントという名前のとおり、スピードを重視します。ふつうの新製品の開発プロセスは、アイデアを考える→つくる→リリースする→評価する→また考える、の繰り返しといった感じになりますが、デザインスプリントはこれをショートカットします。アイデアを考える→プロトタイプを作る→テストする、です。

「つくる」の部分をプロトタイプですませ、「リリースして評価する」の部分はテストしたユーザーへのインタビューですませます。スタートアップにとって、実際の製品を作り込んでリリースしてから修正するのでは遅すぎるという考え方なんですね。

中島さん

実際にそのような考え方で業務を進めている例として、アクセンチュアの中島さんがUXデザインチームの設計プロセスを紹介していました。

アイデアの創出からデザインのプロトタイプを作るまでの過程を、顧客と一緒に反復するんだそうです。デザインスプリントの考え方と同じですね。

■1日目:理解

ここからは実際にデザインスプリントを進めていきます。本当は5日間かけてやるプロセスですが、今回はなんと3時間で駆け足でやります。

今回のテーマは「イベント用のスマートフォンアプリ」です。それを誰が使うのか、どんなイベントなのかを含めて自分たちで考え、そこにある課題を解決するためのアプリのペーパープロトタイプをつくります。

数人ずつのチームに分かれて進めます

まず最初、1日目にあたるプロセスは「理解」です。それを誰が使うのか、どんなイベントで、どんな課題があるかまでを考えて理解します。

みんなの手元に「まき」「ゆうき」「あきこ」「まりな」の4人のプロフィールが配られました。その中からチームごとに一人を選び、その人がどんな人か、何を大切にしていて、どんな体験を求めているかを考えます。

「いっせーのーせ」で指をさしたり、どんな方法でもいいのでまず一人を選びます。それからどんな人なのかを考える。ペルソナのインサイトを理解する、というんだそうです。この先も出てくるんですが、用語がいちいちしゃれてるんですよね。

その人がどんな人か、何を大切にしているかを考えるプロセス(ペルソナのコアバリュー決定)では、こんなふうにポストイットにアイデアを書き出すチームが多く見られました。

男性の「ゆうき」を選んだチームでは、例えばこんなふうになりました。

まず「ゆうき」の基本データです。
・男性28歳、独身
・社会人5年目のSE。
・最近は男女とも新しい出会いがない
・楽しみにしているイベントは「野外フェス」

そこから、チームが考えたコアバリューは次のようになりました。
・ゆうきが最も大切なのは「職場以外のつながり、特に異性」
・最も求めている体験は「チャラ男経験」
・大事にしているのは「人からの評価」

ゆうきのペルソナを発表中

このチームでは、人からの評価を維持しつつチャラ男経験もしたい、というペルソナが浮かびあがりました。

そうしたら、次は「イベントにおけるペルソナの課題」を考えます。求める体験をするのになんの課題もなければ、ゆうきはただそれをすればいいだけです。何か課題があるはずです。このチームの例でいえば、野外フェスでチャラ男経験をするために異性と出会うにはどうしたらいいか、といったことですね。

課題が決まったら、「ユーザーストーリーダイアグラム」を作成します。ユーザーストーリーダイアグラムでは、イベントにまつわるユーザーの体験をストーリーに従って3つの場面にわけます。

たとえばさきほどの「ゆうき」のチームでは、
・野外フェスへの申し込み
・参加
・参加者とつながる
の3つの場面に分けていました。

これはまた別のチームですが、こんなふうにイラストが上手だと各場面のイメージが湧きやすいなと感じました。

なんと、ここまででようやく一日目の「理解」のステップが終わりになります。実際の時間は2時間くらいでした。

■2日目:発散

次は2日めの「発散」です。ここでは、アプリでそれぞれの場面にどんな解決ができるかをいろいろと考えます。

そのための手法が「Crazy8(クレイジーエイト)」です。解決のためにどんなアプリの画面が考えられるかを、場面ごとにとにかく8つ考えるというものですが、言葉がいちいちかっこいいんですよね。

こんなふうに大きめのポストイットに書き出していきます。そうしたら、それぞれの場面をさっき書いたストーリーダイアグラムに貼っていきます。

こんな感じですね。そしてここから、場面ごとに実際に採用する画面を絞り込みます。その方法が「ドット投票」です。チームのメンバーがそれぞれの画面を見て、いいと思ったものに○印を書いていくというのが本来の方法ですが、ここでは全員が他のチームのものも含めて投票するという方法になりました。

こんな感じですね。丸いシールを貼っていきます。

実際の業務だと声の大きい人の意見でぜんぶ決まってしまうということもありますが、こうやって立場に関係なく民主的に決めるというのがこの方法の肝です。

■3日目:決定

ドット投票の結果をもとに、画面を決めて行きます。本来は投票の結果のとおりにしますが、今回は投票結果を参考にチーム内でまとめていきます。似たような画面をまとめたり、解決方法をみんなで共有できた画面だけを残したりします。

みんなで選んでいるところ

■4日目:プロトタイプ作成

決まった画面をもとにプロトタイプを作ります。きょうは実際のアプリを作る時間がないので、画面を紙に書くペーパープロトタイプで代替とします。

こんな感じで進めていきます。その間にピザが届いたので、みんなピザを食べながらの作業となりました。

残りのピザをじゃんけんで分けているところ

■5日め:評価

プロトタイプができたら、実際にそれをユーザーにテストしてもらい、インタビューすることで評価を行います。今回はチームごとに成果を発表してもらい、他の参加者からフィードバックすることで代替とします。

「ゆうき」を選んだチームの発表を見てみましょう。ゆうきは28歳の独身男性で、対象となるイベントは野外フェスです。このチームでも、ゆうきの求める体験を「新しい出会い」としました。さて、どんなアプリになったでしょうか。

アプリを開くと、まずはフェスのタイムテーブルが表示されます。事前に登録したプロフィールをもとに、おすすめのステージも表示されます。

みたいステージを選ぶと、その詳細が表示されます。そのステージを見たいと思っているユーザーが何人いるかや、趣味や趣向の似た友達候補も表示されます。

その中から、友達になりたい人を選択します。

相手もこちらと友達になりたい場合は、マッチング成功です。さらに会場で実際に出会うことができたら、スマートフォン同士をぶつけあうことで、「出会えた人」として登録されます。

出会えた人とは、こんなふうにトークをすることが出来ます。

面白いですね! こんなアプリがあったら実際に使ってみたいと思います。

意見を伝えるアクセンチュアの方々

他のチームからは「Tinder的なアプローチで面白い。音楽の趣味が合うかどうかだけでなく、入口をもうちょっと広くとってもよさそう」といった意見、またアクセンチュアの方からは「個人情報を渡さなくても連絡を取り合えるところが今の時代にあっている」といった意見がありました。

■まとめ

デザインスプリント、面白かったです。そしてとても実用的な手法だなと思いました。ユーザーが何を求めどんな課題があるかを理解することで、それを解決する方法も考えることができる。プロトタイプの時点でユーザーからフィードバックをもらうことで、速いペースで改善することもできる。ちょっと試してみたいなと思いました。

今回行った勉強会:「アクセンチュア デザインスプリント ~2時間でできる!ペーパープロトタイプを作ろう!~ by Mashup Awards」
https://mashupawards.doorkeeper.jp/events/34317

三土たつお。1976年生まれ。プログラマー、ライター。プログラマーとしてはふだんPHPを書いてます。
ライターとしてはニフティのデイリーポータルZとかで書いてます。
http://mitsuchi.net/

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